更新日:2020.08.24
小さな会社をやっている経営者の皆さんなら、毎月どのくらいの売上があるのかはご存じのはず。もちろん毎月の経費、そして粗利もご存じのことでしょう。
しかし、意外なことなのですが、多くの経営者の皆さんが、総売上と、利益の関係という、経営においていちばん大切な基本について、意外と理解していない方が多いようです。
例えば総売上が10%上昇したり、下降した場合、手元に残る純粋な利益はどのように変化するのかを皆さんはご存知でしょうか。
もしや「10%売上が上がれば、利益も10%程度上がるのでは」くらいの認識で過ごされていませんか。しかし、これは大きな誤解です。それは、総売上と最終的に残る利益の関係を整理すれば、一目瞭然です。
まず会社の総売上の中には、仕入の費用などの変動費が含まれています。つまり、この変動費を総売上から引いた数字が粗利となります。
しかし粗利は本当の利益ではありません。
この粗利にはさらに、人件費や設備投資の費用、返済の費用などの固定費が含まれていています。この粗利から固定費を引いたものが、手元に残る「本当の」利益になります。
では、もともと100だった総売上が10%上昇し、110になったとしましょう。
仕入などにかかる変動費もそれに伴い上昇し、20だったものが22になります。固定費は変わらず70。すると利益は18、なんと、もともとの利益10から80%の増益になります。売上は10%上がっただけなのに、利益は80%も上昇するのです。
逆に、10%総売上が下がった場合はどうでしょう。
変動費は10%減り18となります。固定費は変わらず70です。すると利益は2になってしまいます。つまり80%減。
皆さんは毎月の売上に対して「今月は何となく売上が少ないな」「先月より少し落ちたか」くらいの認識でいたかもしれません。しかし、たった10%の売上の増減が
実は計り知れない大きな影響を及ぼしていたということをご理解していただけたでしょうか。
図版のような総売上と利益の関係の表は、エクセルなどを使えば簡単に作成することができます。ご自身、あるいは社内に数字を見てくれている経理のご担当者がいる場合には、ぜひこの表を作成し、自社の数字で当てはめてみることをお勧めします。