更新日:2020.08.24
会議費と接待費の違い。もっとも頻繁に使われる費用の一つなので、皆さんもその基本はご存じのことと思います。
2つの大きな違いは、「ひとり5,000円以下」であること。皆さんそう認識されていることでしょう。
そして、もし皆さんがお客さんと飲みに出かけても、接待費ではなく会議費で通すほうが良いという意識があります。接待費は税金がかかるから。多分そんな理由ではないかと思います。実際、会議費と接待費の大きな違いは「支払った費用の全額を経費にできるかどうか」の違いにあります。
会議費の場合、支払った金額すべてを経費(損金)に計上することができます。つまり税金の対象から外れます。
一方、接待費の場合、少々仕組みが複雑で、税金について次の2つの選択肢があります。
1)定額控除限度額(年間800万円)以下の接待交際費の全額を損金に算入
2)接待交際費のなかの接待飲食費の金額×50%の金額を損金に算入
これはどういうことか。1)は、年間800万円以下の接待費なら、全額、会議費と同じように経費(損金)として認められるというもの。
2)は単純に接待交際費の半分を経費(損金)として認めるというもの。私たちは1)か2)のどちらかの方法を選ぶことができます。
これは、年間の接待費が1,600万円を超えるかどうかで決まってきます。
年間1,600万円以下の場合、1)2)とも経費(損金)として認められる金額は800万円です。しかし、1600万円を超えた場合、例えば1,700万円だったとすると、1)を選んだ場合、経費となるのは同じ800万円ですが2)の場合、半分が認められるので、850万円を経費(損金)とすることができます。
つまり800万円以上接待費を使う会社では、どの分が課税対象となりますが、それが1,600万円以上かどうかで、1)2)のどちらかを選ぶか変わってくるわけです。
整理すると、接待には次の3段階があるということです。
1)接待費800年円以下で、全額経費(損金)⇒税金の対象外にできる
2)接待費800万円以上、1,600万円以下⇒800万円を経費(損金)にし、それ以上は課税対象
3)接待費1,600万円⇒半分の金額を経費(損金)にし、それ以上は課税対象
さて、こうした条件の中で、経理としてどう判断するのか。
もちろん、できることなら税金は払いたくありません。そのため、もともと接待費を800万円以上使って税金を払うよりは、会議費として処理することを目指すようになります。
つまり、会議費として処理できるよう、あとにご紹介する、人数の条件などをしっかり確認することが必要になるわけです。大きな会社では難しい話ですが、小さな会社では特に大切な案件となってくるわけです。
では会議費とするための条件には、どのようなものがあるのでしょう。
まず会議費の定義とは、業務に関連する打ち合わせなどで発生する費用のことです。会議は(本当に会議のためであれば)従業員同士でも取引先とのものも両方認められています。そしてこの会議費として求められるための基準が「5,000円以下」という条件です。
ただし、1人あたり5,000円以下の会議と、それに付随する飲食代を会議費とするためには、次に挙げる点が確認できなければなりません。
・飲食が行われた年月日
・飲食にかかった金額、利用した飲食店の名称と住所
・取引先の名称と自社との関係
・全体の参加人数
つまり領収書以外に、参加人数をしっかり確認しておかなければならないという事です。
また、会議費に含まれる項目は、会議全体が対象となるので、内訳はお客様と飲食だけではありません。下記のような項目も含まれます。
・会場利用料
・会議で使用するプロジェクター等のレンタル代
・会議中に食べる弁当や飲食代
・会議資料を作成するのにかかる費用
・遠方で会議を行う際の宿泊費
このように、会議にかかる費用全般を会議費として処理します。
会議費は「会議」と付くくらいですので、あくまでも対象は会議です。そのため、会議や打ち合わせ場所については、これにふさわしい社内の会議室や貸し会議室、ホールや喫茶店、レストランなどが対象とされており、こうした場所を使用した際の飲食代も会議費の対象になりえる、というものです。
私たちは、「会議」を勝手に拡大解釈し、お酒の提供が前提となる場所(特にバーやクラブ)での飲食代も5,000円以下なら!と判断しがちですが、実はこうした、(明らかに)業務上の打ち合わせの場所として適切ではない場所は、もし税務調査などがあった場合、会議費として認められない可能性があります。お気を付けください。
また社内の人間だけの飲み会は、厳格には会議費にはなりません。
この場合は金額に関わらず、福利厚生費などの費用として処理する必要があります。