更新日:2020.08.24
みなさん、法人税がどのようなものかご存じでしょうか。
たぶん多くの方が「会社の所得にかかる税金でしょ!」とのご認識ではないかと思います。たしかにその通り。しかし、どんな仕組みで課税されるのか、そもそも会社の所得って何? ということは案外知らないままの方も多いようです。ここでは改めて、法人税の基礎知識について簡潔にご説明したいと思います。
■そもそも法人税の対象となる所得とは?
法人税の課税対象となる所得とは、法人が事業を通じて得たその年度の所得です。
ただ、法人税は、会社の「利益」に対してかかるもの、という誤解があるようです。実は厳密にはそうではありません。
法人税は、会社の「利益」ではなく、「所得」に対してかかるものです。
では、「利益」と「所得」とは何が違うのか。それぞれを算出する計算式をまず見ていただきましょう。
「利益」=「収益」-「費用」
「所得」=「益金」-「損金」
計算の仕方はとてもシンプルなのですが、両者で使っている用語が違いますね。
どちらかといえばお馴染みなのは、「利益」=「収益」-「費用」の計算式で使われている言葉ですね。
「所得」のほうの計算では、
「収益」→「益金」
「費用」→「損金」
となっています。これは法人税を計算する上で使用される専門用語で、意味としてはほとんど一緒なのですが、計算の上で少々差があります。
・「収益」にはなるけど、「益金」にはならないもの
・「収益」にはならないけど、「益金」になるもの
・「費用」にはなるけど、「損金」にはならないもの
・「費用」にはならないけど、「損金」になるもの
というものが存在するため、両者はイコールとはなりません。それぞれに認められる対象が若干異なり、そのせいで「利益」と「所得」が異なる金額となります。
例えばこんな場合です。
接待交際費は、会計上の費用となりますが、法人税法上の損金にはならないケース。
会社の資本金が1億円を超える会社であれば、接待交際費のうち、飲食費の50%までしか損金に含めることはできません。
例えば交際費を2,000万円支出した場合、法人税法上では、1,000万円しか損金になりません。
これに対し資本金が1億円以下の会社の場合は、飲食費の50%と定額800万円を比較して、より多い金額の方法を選んで損金にすることができます。
例えば、交際費が1,000万円で、そのうち飲食が700万円だった場は、50%の350万円より800万円の方が多いので、800万円を選び損金に含めることができます。
他にも様々なケースがあるのですが、こうした制度の差によって、「益金」と「損金」の間に差が出て、イコールではなくなるわけです。
■法人税の計算の仕方
さて、現在(2020年)、法人税の税率はどのようになっているのでしょう。なかには1990年代の記憶が生々しく、今でも所得の半分持っていかれてしまうのでは!と思われている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
実は法人税率は年々下降を続け、現在の法人税率は23.2%。資本金1億円以下の法人などの一定の法人(中小法人)については、800万円以下の課税所得に対しては15%の軽減税率が適用されています。
例えば中小法人の課税所得が1,000万円だった場合。
まず800万円分に軽減税率の15%をかけます。
次に1,000万円から800万円を引いた残りの200万円には法人税率の23.2%をかけます。
800×0.15=120
200×0.232=46.4
120+46.4=166.4
166万4.000円がその年に中小法人が納めるべき法人税の金額となります。