更新日:2020.08.24
会社を経営されている皆さんの耳には、「奥さんなどに報酬を支払うと節税できる」という話が入ってくると思います。実際ある程度の効果があるようで、この方法を活用され節税に成功された方も多いようです。今回はあらためて、夫婦で分割はどのように得なのか? を考え、その方法をご紹介したいと思います。
●役員報酬を夫婦で分割するメリット
同族で会社を経営している場合、配偶者が役員になっていることが多々あります。
これは配偶者に役員報酬を支払い、夫婦で報酬を分割することで税金面でメリットがあるからです。
もっとも大きいのは、役員個人にかかる「所得税」と「住民税」が減額される点です。
同じ額をもらっても、一人でもらう場合と、夫婦で分割した場合に、税金の差が出るわけです。
所得税は超過累進税率を採用しています。このため所得が下がると税率も下がる仕組みになっています。
そのため、夫婦で所得が分散されると低い所得税率に該当するため、収入は変わらないのですが、そこから発生する税金に大きな差が出ることになります。
例えば、社長一人で1,000万円役員報酬を受け取っている場合と夫婦で分割し500万円ずつ役員報酬を受け取っている場合を比べてみましょう。
<社長が一人で1,000万円の役員報酬>
1,000万円−220万円(給与所得控除)−38万円(配偶者控除)−38万円(基礎控除)=742万円
742万円×23%−636,000円(所得税の計算の際の控除額)
=983,200円
<夫婦で500万円ずつの役員報酬>
500万円−154万円(給与所得控除)−38万円(基礎控除)×20%−427,500円(所得税の計算の際の控除額)
=188,500円
夫婦合わせた所得税
188,500円×2人=377,000円
どうでしょう。扶養家族や加入保険の計算などを省いたシンプルな計算を行ってみたのですが、社長が一人で1,000万円の役員報酬を受け取った場合にはと夫婦で500万円ずつ役員報酬を受け取った場合にでは、約60万も所得税が下がりました。
税率も23%から20%に下がっています。
●住民税も節税できる
節税効果があるのは所得税だけではありません。役員報酬に対して発生する税金は所得税のほかに住民税もあります。
ことらも所得を夫婦で分散することで、給与所得控除や基礎控除をそれぞれで使うことができるようになるため、所得税と同様、住民税の課税所得も下げることができます。
では妻に役員報酬を支払う場合、金額はいくらに設定するのが妥当でしょうか。
例えば上記の計算のように。社長と同額の報酬を配偶者が受け取るようなケースでは、税務署としてはその役員報酬に見合う実態、つまり本当にそれだけ働いているのかを確認する可能性があります。
もし実態がない状態で役員報酬を支払っていると判定された場合、その報酬は損金として認められません。つまり税金の対象となってしまいます。
またいくら家族だからといって、未成年が取締役となり役員報酬を受け取るような場合、勤務実態が無いとされ損金として認められないこともあります。