更新日:2020.08.24
会社には、利益を表す多くの言葉が存在します。
例えば代表的なものだけでも「粗利(売上総利益)」「営業利益」「経常利益」「税引前当期利益」「当期純利益」といったものがあります。
その中でも、特に重要といわれているのが、会社の商品やサービスの競争力の目安といわれている「粗利」(あらり)です。
今回は、上の上げた5つの利益の正体と、なぜ粗利が最も大切なものなのかをお伝えしたいと思います。
5つの利益
・粗利(売上総利益)
粗利(売上総利益)とは、売上高から「売上原価」を差し引いた、事業年度中の儲けのことです。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
で計算します。
損益計算書に出てくる様々な利益の中で、いちばん上に記載されています。よく利益の源泉とも表現されています。
・営業利益
営業利益は、企業が本業で稼いだ利益を表します。
売上高から、販売する商品を仕入れるためにかかった売上原価を差し引いたものが上記の粗利(売上総利益)ですが、この粗利(売上総利益)からさらに「販売費及び一般管理費」を差し引くことで、営業利益が計算できます。
「販売費及び一般管理費」とは、仕入れ以外の人件費、広告費、光熱費など、商品を売るための費用です。
計算方法は次のようになります。
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
・経常利益
経常利益とは、会社の本業に本業外で獲得した利益を加えたものです。
たとえば、洋服店なら洋服の販売、宅配業者なら宅配サービスというように、その会社の中心となる事業を本業と呼びます。
これに保有する不動産から家賃収入など、営業外の利益をプラスしたものが経常利益です。もちろん営業外利益にも費用が発生しますので、その分が引かれることになります。計算方法は次のようになります。
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
企業が通常行っている業務の中で得た利益なので、何らかのイベントや災害など臨時で生じた収益や損失は含みません。
・税引前当期利益
税引前当期利益は、その期に支払う税金を差し引く前の利益です。
税引前当期純利益の計算では、上記の経常利益に、固定資産売却益など、その期だけの利益である特別利益を加えます。また火災損失などの特別損失があった場合は、ここから差し引きます。
特別利益も特別損失も、通常では計上されない、イレギュラーな利益や損失です。
計算方法は次のようになります。
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 — 特別損失
・当期純利益
当期純利益は、企業のその期の収益全体から、費用や法人税などのすべてを差し引き、最終的に残った利益のことです。言ってみれば最終的な会社の利益といえるものです。
計算方法は次のようになります。
当期純利益 = 税引前当期純利益 — 法人税等
となります。
法人税等とは、法人税+法人住民税+法人事業税のことです。法人税の税率は、資本金や所得金額によって異なります。
粗利が重要な理由
会社には、上記に挙げたように内容によって5つの利益の種類がありますが、この中でも粗利こそが最も重要な数字とされています。
その理由は2つ。
まず会社をやっていくうえで必要な人件費や販売経費などが、すべてこの粗利から出されているという点です。
簡単に言えば、粗利以内に経費が抑えられていれば、会社には必ず利益が残ります。つまり会社の状態を一番端的に理解する指標でもあるわけです。
「粗利以上に経費を使わない」という鉄則さえ守っていれば、企業はやっていけるとさえ言われています。
さらに粗利とは、会社の商品やサービス、つまり会社のビジネスそのものの力を示している数字です。もし粗利が稼げていない場合には、会社の商品やサービスが、原価以上の価値を持っていないということにもなります。つまり粗利は会社の競争力を判断する基準でもあるのです。