更新日:2020.08.24
社会保険や雇用保険には加入されていても、なかなかそれ以外の会社、つまり法人が入る保険となると、案外うとい経営者の方も多いようです。
しかし、人に「いざ」というときが訪れるのと同様、会社にも「いざ」という瞬間は必ず訪れます。その時の備えとして、会社で入ることのできる保険をぜひ知っておきたいものです。
法人向けには非常に多種類の保険が存在しています。ほんの一部ですが、代表的なものをご紹介しましょう。
会社で入る生命保険
まず、会社で入ることのできる保険として、法人で加入する生命保険があります。会社が契約者となって保険料を負担し、経営者や社員が保障の対象となります。もし社長や社員に何らかのことが起こった場合、仕事にも会社経営にも少なからずマイナスの状況が発生することが考えられます。その時、金銭面からのフォローを考えた場合、とても大切な存在です。
また、こうした保険に加入することで、次のような利点もあります。
・生命保険で法人税を軽減をする
・生命保険で退職金を準備する
・社員の福利厚生になる
会社で生命保険に加入した場合、保険料の全部または一部が損金として算入できるので利益を圧縮できます。
また生命保険の中でも掛け捨てではなく貯蓄型の商品を選べば、損金で処理を行いながら退職金を貯めていくこともできます。
さらに保障する対象に社員を入れることで、入院や通院が必要になった場合の福利厚生として活用することができます。
定期保険
上記のような、貯蓄型の保険のほかにも定期保険のような形も考えられます。
定期保険とは、死亡保障が中心の掛け捨て(つまり貯蓄をしない)保険で、保障を受けられる期間も決められています。
定期保険の利点は、割安な保険料で大きな保障を受けられるという点です。
また条件が合えば、保険料は全額損金となります。
共済保険
上記でご紹介したような法人の保険は民間の保険会社の商品ですが、もう一つの選択肢として共済に加入するというものがあります。
共済に加入するメリットはおもに2点。
まず掛金が安いこと。
民間の保険は当然ですが営利目的の商品なので、共済に比べると月々の保険料は高くなります。しかし共済の掛け金は、あくまでも相互扶助が目的。つまり非営利事業なので掛け金が安く抑えられています。キャッシュフローが安定しない中小企業にとっては、共済の方がおすすめかもしれません。
また2つめのメリットとして、共済では退職金を渡す際に税金を安くすることができます。
法人の保険の項目でご紹介したように、退職金の準備目的で法人保険に加入した場合、退職金に充てるのを目的に解約返戻金をもらうと、一時所得扱いになってしまいます。一時所得扱いになった場合、課税されてしまいます。
一方、共済では分割で受け取ることで公的年金扱いとすることができます。また一括で受け取った場合には退職所得扱いになります。
公的年金扱いや退職所得扱いになると、一時所得扱いに比べて課税対象額を小さくできるという大きな利点があります。
ただこの共済には、法人の保険に比べ、保障について見劣りしてしまう部分があります。それは法人保険と比べて事業保障が薄い点です。
例えば法人保険では、経営者や役員が死亡したり、病気になったりすると保障を受けることができます。しかし共済はあくまでも退職金などの準備のためにあり、民間が運営する保険とは異なります。そのため死亡や病気・怪我の場合の保障はありません。
中小企業向け共済
共済と一口に言っても、多くの種類が存在しています。
ここでは中小企業向けの共済として2つの例をご紹介していきます。
・中小企業倒産防止共済
中小企業倒産防止共済(経営セーフティー共済)とは、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営をしている共済です。
取引先の倒産から会社を守るために作られた制度で、法人なら掛金800万円までを損金算入することができます。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(つまり掛け金が800万円だった場合、上限8,000万円)まで借入れできます。
中小企業の場合、取引先の倒産は即、命取りになりかねません。中小企業倒産防止共済は、こうした「もし」が起こった場合、貸付を受けられるものです。売掛金などの回収が困難になったときなども、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。
・小規模企業共済
小規模企業の経営者や役員の方が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てるのが「小規模企業共済制度」です。
掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れもできます。 月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能。その全額を課税対象所得から控除できるため、節税効果があります。
共済金は、退職・廃業時に受け取り可能。満期や満額はありません。共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能です。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、節税となります。
契約者の方は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することもできます。低金利で、即日貸付けも可能で、キャッシュフローが安定しない中小企業にとって、これもありがたい制度です。
いかがだったでしょう。保険や共済には、ここでご紹介したもの以外にも多くの種類のものが存在しています。ご自分の会社の規模や保障してほしい内容にあったものを、いまからでもぜひ選んでおきたいものです。