経営者から見たリモートワークの利点と課題

更新日:2020.11.30

リモートワーク、テレワーク、在宅勤務。数か月前までは今一つ縁遠いような気もしていたこれらの言葉も、今やすっかり身近なものになっています。
言葉だけでなく、もちろん状況も激変する中、リモートワークを体験した方々からは、数か月の経験から、その利点、欠点が取りざたされるようにもなっています。
今回は、そんな中でも意外と目にしない「経営者目線」でのリモートワークの利点、欠点を検証したいと思います。

まず経営者にとって、リモートワークを考えるうえで一つ大事な事柄を先にお伝えしておこうと思います。
それは、会社で今後もリモートワークを活用する(しなくてはいけない)うえで必要なこと。それは価値観を変えるという事です。
とかく経営者の方がたは、会社に社員がいて元気で働くことが仕事!という感覚を持ちがちです。しかし、今後、こうした常識はあまり通じなくなってくるでしょう。
大切なのは、社員がどこにいようと、きちんとアウトプットを出してくれること。ここに価値を見つけるようにすることが大切です。
もう、
時間が来たら会社にいる!
士気を高め、コミュケーションを図るため、週に2回は朝礼!
営業職は朝礼を済ませさっさとお客さんのもとへ
デスクワークは作業開始
なんてことは、過去の風景と考えましょう。
では、さっそく、経営者にとってのリモートワークの利点と欠点、そしてその解決法について整理していきたいと思います。
 
 

経営者目線でのリモートワークの大きなメリットは3つ。

その1)
人材の確保と離職率の減少

オフィスに出社して働く、という大前提がなくなれば、これまで働き続けることが難しかった方々にも、働き続けてもらうことも可能になります。
例えば結婚、出産を機に会社を辞めなければならなかった優秀な女子社員にも、働き続けてもらうことが可能になります。
これは男性社員においても同様です。
親の介護、子供の送り迎え、実家の都合で引越といった事態は、男性社員でも平等に発生することです。こうした事態が発生しても、リモートワークであれば、本人の都合に合わせながら仕事を続けてもらうことも可能になります。
また、採用に際しても、通勤がないリモートワーク可能!という条件が付けば、より多彩で優秀な人材も集まりやすくなります。

その2)
生産性の向上が期待できる

在宅勤務することになるため、長時間の会議や雑用から解放され、社員が自分の業務に集中することができて生産性の向上が期待できます。

その3)
オフィスのダウンサイジング

リモートワークが可能であれば、毎日全員が出社するという必要もなくなります。
そのため、通勤に便利な場所に、人数分のスペースを確保、という必要性もなくなり、オフィスの規模のダウンサイジング、あるいはサテライトオフィス化することも可能になります。
人件費と並ぶ大きなランニングコストである家賃が低減されることになります。
 
ただその反面、課題もあります。

[1] セキュリティの安全性

リモートワーク、在宅作業で最も大きな心配が、データ保護の安全性です。
各人、自宅でPCを使用して作業するわけですが、日常会社で使用しているノートPCを自宅に持ち帰り、同じ環境で作業をするケースは珍しくありません。
しかし、こうしたPCには顧客情報が入っている場合もあります。
そんなPCを、自宅はもちろんですが、時には外の作業スペースやお店で使用する場合なども考えられます。
いつだれがPCをのぞき見するか分からない・・・・。単純にそんな心配がありますし、悪意があればノートPCの持ち去りといった最悪の事態も想定しなければなりません。
顧客情報を扱う場合、守秘義務の契約を結んでいる場合もあります。もし社外に持ち出したPCから情報漏洩が起こったら、それこそ会社存続の危機にもなります。
これに関しては、セキュリティーに関するルールを徹底し、社員の皆さんにもきちんと級育していく必要があります。また、重要なデータは面倒ではありますが、社会のPC以外からはアクセス不可といった方法も取っておく必要があるでしょう。

[2] 社員の育成

新人を育成する、あるいは社員の仕事のスキルを向上させるといったことは、「リアル」な職場でこそ可能なことです。特に新人の場合、仕事内容そのものを分かっていません。通常であれば先輩社員が仕事を見せながら一つ一つ教え、体験させるということで、仕事を覚えていくものです。
これがリモートでは、ほぼ不可能です。
こと育成に関してだけは、リモートとは全く別の手段、つまり従来の方法を取らざるを得ない部分があります。ここにリモートの要素を付加していく。そんな新しい育成の手段が求められていくはずです。

[3] コミュニケーション不足

リモートでは対面で会う機会がどうしても減少します。またリモートで会議を行っても、リアルでの会議と異なり、気軽に会議のテーマ以外のやり取りをする場面もほとんどなくなります。
結果、メンバー同士の関係性が希薄になり、新しいものを生み出す要因にもなっているコミュニケーション、偶発性も不足することになってしまいます。
すでに、こうしたコミュニケーション不足を補うため、仕事、会議のテーマをわざと設定しない「雑談」リモートを行ったり、定期的にリモート飲み会を開催する企業もあるようです。

[4] 管理が行き届かない

経営者の視点から見れば、リモートで管理が行き届かないということも大きな心配事の一つでしょう。
「さぼってるのでは」
見えないがゆえ、こんなことも思ってしまいます。
 しかし、リモートの導入に際しては、冒頭で申し上げた通り、経営者も価値観を変えることが大切です。
社員が会社に居ることが仕事をしていることではなく、アウトプットを出してもらうことが仕事。
極端に言ってしまえば、11時間しか働かなくても、今まで以上に素晴らしいアウトプット、成果があればよい。そんな風に意識を切り替えることも必要かもしれません。
1時間で素晴らしアウトプットをしてくれる社員は残りの時間、素晴らしい情報収集をしてくれているかもしれません。
ただ、それでも最低限の管理はどうしても必要!と考えるのは当然のこと。すでに世の中には多くの勤怠管理ツールが用意されていますので、自社の仕事の状況に合わせて導入されてはいかがでしょうか。
 

<おまけ>

現在、新型コロナ対策として、社会全体がリモートワークを推奨するような状況にあります。こうした中、行政でもそれを支援する動きが盛んです。例えばリモートワークを体験できるサービスや、多くの助成金も用意されていますので、これからテレワークを!とお考えの経営者の方がたは、ぜひご利用されてはいかがでしょうか。