更新日:2020.11.30
勘定科目とは?
取引を帳簿に記録する仕分け。この仕訳を誰が行っても同じ分類になるように、性質が似た取引につける名前のことを勘定科目といいます。
「そんなの当然でしょ!」と思われるかもしれませんが、日常の作業のなかで、あまりにも頻繁に使用するものであるだけに、体系的に学んだことがないという経理担当者も案外多いのではないでしょうか。
経理のお仕事にとって勘定科目の意味を把握するのは基本中の基本。
今回は、勘定科目を分類する 5つのグループについて解説します。
勘定科目とそれぞれに含まれる代表的な項目は次の5つに区分されます。
- ①資産…現金預金・売掛金・未収金・建物・土地・備品など
- ②負債…買掛金・未払金・預り金・借入金など
- ③純資産…資本金・元入金・繰越利益など
- ④収益…売上・受取利息・雑収入・売却益など
- ⑤費用…仕入・給料・消耗品費・支払利息・売却損など
どの勘定科目を使っても必ずこの5つの項目のどれかに属しています。
まずはこの5つの項目を覚えることが基本中の基本!
それぞれの項目を、もう少し詳しく見ていきましょう。
[1] 資産の勘定科目
資産とは、将来的に会社の収益になる見込みがある流動資産や固定資産のこと。
流動資産には「現金や預金」「売上債権」「棚卸資産」などがあります。
固定資産に有形と無形のものがあります。
有形資産は土地・建物・船舶・車両・機械・工具備品など。つまり形があるもの。
無形固定資産とは借地権・特許権・ソフトウエアなどがあります。
(現金)
硬貨や紙幣、小切手、郵便為替証書、配当金受取書など、事業用のお金を記録する。
(預金)
当座預金、普通預金、定期預金などの取引を記録する。
(売掛金)
商品を販売した後、まだ代金を受け取っていないことを記録する。
(棚卸資産)
販売するために購入した商品や原材料などが残っていることを記録する。
[2] 負債の勘定科目
負債とは、返済する義務のある現金や物のことを指します。流動負債と固定負債があります。
流動負債は、「買掛金」や「支払手形」など。
固定負債には、「長期借入金」「社債」「退職給付引当金」などが入ります。
支払期日が決算日の翌日から起算して1年を超える場合が長期借入金です。
(支払手形)
取引の対価として手形で支払った場合に記録する。
(買掛金)
商品を購入した後、まだ代金を支払っていないことを記録する。
[3] 純資産の勘定科目
資産とは、会社の資産から負債総額引いた金額のことを指します。
純資産には、資本金や資本剰余金、資本準備金、自己株式などの事業の元手になる資金があります。
資本剰余金とは、資本取引から生まれた剰余金のことで、株主への配当原資として認められています。
(資本金)
会社設立時や株式購入時に、株主によって払い込まれる資金を記録する。
(繰越利益剰余金)
株主への配当や資金の積立などを除き、前期から繰り越された利益を当期の利益に加えた金額を記録する。
[4] 収益の勘定科目
収益とは、商品の販売やサービスの販売によって得た収入のことです。
集積には「営業収益」「営業外収益」「特別利益」の3つがあります。営業収益の勘定科目は「売上」「雑収入」などになりますが、特別利益は「固定資産売却益」「償却債権取立益」などになります。
(売上)
商品の販売によって発生した収益を記録する。
(受取利息)
発生した利息を記録する。
[5] 費用の勘定科目
費用とは、事業を行うために支払うお金を指します。
費用は「売上原価」「販売費および一般管理費」「営業外費用」「特別損失」の4つに分けることができます。
(仕入)
商品を仕入れる際にかかった費用を記録します
(広告宣伝費)
商品の広告宣伝などにかかった費用を記録します
仕訳の基本
仕訳では次の3つのポイントが特に重要です。
1.取引では必ず2つ以上の勘定科目が関わる
どのような取引においても、仕訳では必ず2つ以上の勘定科目が関わります。
例えば、現金で商品を販売した場合は、
借方に「現金10万円」と記録し、貸方に「売上10万円」と記録します。
つまり現金10万円の入金があった場合、「現金が10万円増えた」という記録だけでは不十分で、商品の売上なのか、銀行から融資を受けたのかなど、10万円増えた理由も記録しなければなりません。
2.借方、貸方のルールを覚えましょう!
2つ以上の勘定科目を用い、取引を借方(左側)と貸方(右側)に分類することが仕訳です。
基本的には、下記のような関係で分類することができます。
- 借方(左側) 貸方(右側)
- 資産の増加 ⇔ 資産の減少
- 負債の減少 ⇔ 負債の増加
- 資本の減少 ⇔ 資本の増加
- 費用の発生 ⇔ 収益の発生
3.勘定科目は各社で違います
入門書を見たりパソコンソフトを使っている方など、日ごろ見ている勘定科目が社会全体の決まりごとのように認識していると思います。しかし実は勘定科目は法律によって定められているわけではありません。そのため企業によって少しずつ名前が異なる場合があります。
つまり前職の企業や、上記の本やソフトで覚えた勘定科目をそのまま使用すると、食い違いが発生する可能性があります。
例えば極端な例ですが、農業を営む方が利用する会計では、「種苗費」「素畜費」「農薬衛生費」など、これまで見たことのない勘定科目も普通に登場します。つまり、業種によって全く違う常識が存在しているわけですね。
そのため、仕訳する前には、必ず今の会社で使われる勘定科目を確認する事が必要です。