更新日:2020.11.30
通信費と荷造運賃。経費清算の際の勘定科目の中でも、会議費や旅費交通費、消耗品費などと並んでよく目にするのが、この2つではないでしょうか。
特に製造メーカーや商社など、商品発送を伴う業種では、もっとも頻繁に使う項目かもしれません。
しかし、それにもかかわらず、この「通信費」と「荷造運賃」の区別があいまい、という会社も結構多いようです。
理由は簡単。両者の意味合いが微妙に重なっており、どちらで処理しても不自然ではない、という部分があるからです。
ただ一般的に、その使われている用語から「通信費」と「荷造運賃」の内容を次のようにとらえている方が多いのが実情のようです。
[通信費]
スマホ利用料
携帯電話代
電話料金
インターネット回線代
プロバイダサーバー代
ドメイン取得更新料
[荷造運賃]
小包代
宅配便料
運送費用
販売商品の包装
荷造りのための費用
運賃
切手ハガキ代
ネットワークのやり取りに慣れた方ほど(つまり、ほとんどの方)、ネットやスマホにかかわるものは[通信費]、それ以外のアナログのモノの発送は[荷造運賃]ととらえているようです。
しかし、意外に思われる方がいるかもしれませんが、この[通信費]の意味はもっと広く、手紙や郵便代、宅急便なども郵送物も、送るものの内容によってはここに含まれてきます。
そのため、各社、自社の事情、扱いやすい方法で処理しているというのが実情のようです。例えばこんな判断の仕方です。
(A社)
比較的に少額のものを[通信費]として扱い、それ意外は[荷造運賃]
(B社)
郵便(切手)で送るものは[通信費]
小包や宅配便で送るものは[荷造運賃]
(C社)
郵便はがきや封筒などの細かなものは[通信費]
ダンボールなどで商品を送る大きなものは[荷造運賃]
どれも正解のように思えますし、実際自分たちでもこんな判断で仕分けしてきたようにも思います。
結論から言うと、どちらでもOK。
ネットワークやスマホの使用料は[通信費]に区分けされるものの、その他の顧客に郵送物を送る場合は、税法上どちらでも構いません。[通信費]も[荷造運賃]も費用(損金)ですので、どちらで処理しても税務上の違いはありません。
ただし、経理においては、原則として、同じ費用は常に同じ勘定科目にしておくことが大切です。つまり、同じ荷物を送るのに、ある時は[通信費]、あるときは[荷造運賃]ではいけない、ということです。大切なのは一貫性です。
また、
商品発送費は商品の売上ボリュームによって変わる→変動費
それ以外の発送費はほぼ毎月、だいたい同じ金額が使われている→固定費
という場合が多いので、事業計画にも影響が出る可能性もあります。
さて、[通信費]と[荷造運賃]の考え方ですが、いくつか誤解を解いておく必要があります。
まず、 [通信費]と[荷造運賃]の区分けの最も大切な要素は、
「何を送るか」
ということです。
つい誤解してしまうのですが、物の大きさと勘定科目は関係ありません。
またゆうパックと佐川急便、クロネコヤマトなどどの業者を使おうと、それは勘定科目には関係ありません。
それぞれの会社の事情によって解釈は多少の差はあるものの、基本的には
- 商品の発送費は「荷造運賃」
- その他の発送費「通信費」
と考えておけばよいでしょう。
つまり商品の納品は「荷造運賃」。
それ以外のカタログや請求書などは「通信費」ということになります。
ちなみに「荷造運賃」に含まれる段ボール(運賃ではなく「荷造運賃」となっているのはこのため)も、時に書類の整理などに流用される場合があります。この場合、勘定科目は「消耗品費」になります。しかし、購入時にどちらに使用するかわかない場合がほとんどです。この場合、段ボールは全て「消耗品費」としておいても構いません。要は一貫性が大切なわけです。