作成日:2023-04-28
最終更新日:2023-02-24
「働き方改革」なんて都合のいい言葉で残業代はカットされ、定時になったら会社を追い出され・・・そんな風景も見慣れてきた今日この頃。
「どうせ早くに会社を追い出されるなら、空いた時間は好きなことして稼ごう!」そんなポジティブシンキングな人に追い風となった副業の解禁。政府の後押しもあり、副業も一般的になりつつあります。
そこで問題となるのが税金の支払いです。「確定申告どうしよう・・・」とおびえているあなたのために、副業の確定申告について見ていきましょう。
副業収入がる場合の確定申告の方法
本業の収入と副業の収入は1つの申告書で合算して計算します。副業だけで申告できるわけではないので注意が必要です。
このときに、本業の収入では、年末調整ですでに所得控除などを引いて源泉所得税の精算が行われていますが、確定申告では副業の分を加えて税金の再計算をするイメージです。
そのため、ベースとなる本業の収入の計算は、会社からもらった「源泉徴収票」が必要になります。
収入形態により変わる所得分類
所得税は、その収入の種類により計算方法が異なります。そのため、税金の計算は、まずその収入がどの所得に分類されるのかを検討します。
いくつかの例を挙げると次のようになります。
・アルバイトなどほかの会社で給料をもらう場合 →給与所得
・業務の請負で報酬をもらう場合 →事業所得(又は雑所得)
・フリマアプリなどで売買を行う場合 →譲渡所得
・アフィリエイト収入やせどりなどのネットビジネスの収入 →事業所得(又は雑所得)
このほかに、不動産賃貸による収入や株の売買による収入など、資産の保有に関する収入もありますが今回は上記に絞ってみていきます。
所得計算のポイントは経費相当額
所得税は個人の生活に密着している税金です。そのため、それぞれの収入の性質に着目して、課税方法を決めています。それぞれ、収入からその性質に応じた経費相当額を引いて所得金額とします。つまり、「経費相当額をどう計算するのか?」がポイントです。
副業の場合のそれぞれの課税方法は次の通りです。
《アルバイトなどの収入→給与所得》
備品などの収入を得るために必要なものは会社が用意してくれる給与収入についても、たとえばスーツやビジネスバッグなど、個人で支払った経費がまったくないとは言えません。とはいえ、プライベートの支出と仕事の支出の区別ができないケースが多いため、給与の収入金額に応じて一定割合を経費として計上できる「給与所得控除額」(下記表を参照)を経費相当額として計算します。
※参照:国税庁サイト No.1410 給与所得控除給与所得控除額
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm
なお、本業と副業の給与収入は合算して控除額を計算します。そのため、計算の際は、本業の源泉徴収票と副業先でもらった源泉徴収票を用意する必要があります。
《業務の請負、ネットビジネスなど→事業所得又は雑所得》
業務の請負やネットビジネスなどの収入に関しては、備品の購入などの経費の負担を自分で行わなければならないので、経費相当額も実際にかかった経費を集計して計算します。
このときに、作業を自宅で行っているときは、自宅の家賃や電気料金、作業用のパソコンや車、そのガソリン代なども経費計算の対象になります。
ただし、これらはプライベートの使用目的もあります。こういった経費のことを「家事関連費」といいます。家事関連費は、事業での使用分の割合を掛けた金額を経費として計上します。
なお、事業所得になるのか雑所得になるのかの違いは、収入の規模によります。ただし、金額などの明確な基準がないため、収入の規模によって自分で判断しなければなりません。事業所得に該当すると、後で説明する「損益通算」や「青色申告特別控除」などの税額の軽減措置が使えます。
《フリマアプリなどの売買→譲渡所得》
仕入れた資産以外の不要物品などを売却する収入は譲渡所得です。譲渡所得で経費相当額として控除できるのは、その資産の取得費と送料や決済手数料などその資産を売るために直接かかった費用のみです。
譲渡所得の最大の特徴は50万円の特別控除枠があることです。つまり、年間50万円以内の収入であれば課税されません。
本業所得との損益通算による還付
概算で経費相当額を計算する給与所得に対し、実額ベースで計算する事業所得と譲渡所得は赤字になるケースも考えられます。このときに赤字分は本業の給与所得との相殺ができます。
仮に本業の給与所得が300万円で事業所得が50万円の赤字だとしたら、300万円-50万円=250万円に課税される金額が下がります。これを「損益通算」といいます。
本業の年末調整は300万円ベースで税金が計算されていますので、差額分の税金は還付してもらうことができます。なお、この制度は副業が雑所得に該当する場合は使用できません。
青色申告の最大の特典、青色申告特別控除
副業が事業所得に該当する場合、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出しておけば青色申告の特典を受けることができます。青色申告で最も大きな特典は、「青色申告特別控除」です。これは事業所得から55万円の特別控除が引ける特典です。
すなわち、利益が55万円以内であれば、副業の所得が0円として申告できるのです。
さらに電子申告で申告をすれば、控除額は65万円となります。なお、2019年(令和元年)分の申告までは、電子申告でなくても65万円で控除できます。
青色申告の最大の難関、帳簿の作成
大きな特典のある青色申告ですが、これを適用するには、帳簿を作成しなければなりません。帳簿は簿記を使って作成するので、難しそうだなと思っている人も多いでしょう。
しかし、最近は簿記の知識がなくても通帳のデータやスマホで撮った領収書の写真などの情報から仕訳データを作成し、帳簿を作ってくれる会計ソフトも多数販売しています。
Freee https://www.freee.co.jp/kakuteishinkoku/?referral=aw_freee
こうした会計ソフトを利用すれば、専門的な知識がなくても帳簿の作成が可能なので、使わない手はないでしょう。
また、2月以降の確定申告の時期になると、税務署などで無料の相談会も行われますので、自治体の広報などをチェックして利用するといいでしょう。
申告書の作成は国税庁のサイトを利用
市販の会計ソフトを使わない場合には国税庁のイータックスのサイトにも無料で利用できる申告用のソフトがあります。
国税庁 確定申告書等作成コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
このソフトを使えば、源泉徴収票など必要書類に記載されている事項を画面の指示どおりに記載するだけで申告書の作成を行ってくれるので便利です。
しかも、マイナンバーカードがあればカードリーダーがなくてもスマートフォンアプリを使って電子申告ができます。(給与所得、雑所得及び一時所得がある方が対象)
国税庁からのお知らせ<マイナポータルから控除証明書等を取得!>
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-mynaportal.htm
国税庁からのお知らせ<スマートフォンでの申告がさらに便利に!>
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-smartphone.htm
このように副業をめぐる確定申告の環境は、どんどん整備されてきています。
もう、確定申告なんて怖くない!
申告の仕組みや控除を理解して、充実した副業ライフを送りましょう!