連載コラム 経理の疑問にお答えします
複雑怪奇?軽減税率導入で複雑になる消費税の申告

消費税の申告

作成日:2021-03-03
最終更新日:2021-11-05

 

経理部署においては、決算手続きがひと段落した後に待ち構えているのが、税務申告です。
今回はその中でも消費税の申告について見ていきましょう。

 

消費税はどんな税金?

 

 消費税は日々の買い物など、消費活動に伴い発生する税金です。1回の買い物についてその10%分の消費税を商品代金の精算時に支払います。

 

 でも、これは消費者側の立場。消費者がお店に払った消費税はお店側が事業年度ごとにまとめて売上の消費税として申告し、納税します。そのため、各企業は決算が終了したら、申告書を作成しなければなりません。

 

 その申告の際に仕入や経費に掛かった消費税を控除します。

 

消費税の申告・納税期限

 

 消費税の申告・納税は決算終了から2か月以内に行わなければなりません。
ただし、2021(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度からは法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人に限り、消費税も確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けることができます。

 

 ただし、この特例の適用を受けるためには事業年度終了時までに所轄税務署に事前の届け出が必要になります。また、この特例の適用を受けても納税の期限は延長されているわけではありません。
 そのため、一般的には本来の申告期限までに見込み税額を計算し、納税を行っておく必要があります。

 

 この見込み納付を行わなかった場合には、申告期限からの日数に応じた利息相当額の利子税がかかります。
 

消費税の申告は決算終了時に終わっている?

 

 それでは、消費税の申告はどのような計算を行っているのでしょうか?

 

 実は、消費税の計算は決算が確定した段階で90%以上の計算が終わっているといっても過言ではありません。というのも、消費税の計算は前述のとおり、売上の消費税から仕入や経費の消費税を控除するだけのシンプルな計算です。

 しかし、その計算の対象となる金額は日々の経理処理の際に、「何が消費税の課税取引となるのか?」を把握し、仕訳入力に反映させておかなければなりません。

 

 申告の際に行うことは、その事業年度における一年分の取引のうち、消費税が課税されている売上や仕入を集計し、算式に当てはめ計算するだけです。

 

 そのため、日々の経理処理の際に、この取引の分類作業を正確に行うことが最も重要なことなのです。

 

軽減税率で複雑になった消費税

 

 2019年(令和元年)101日から軽減税率が導入されたことにより、消費税は導入以後初めて複数税率となりました。通常の税率が10%であるのに対し、食料品や新聞の税率が8%と低い税率が適用されます。

 

 これにより、日常の経理処理は単に課税取引になるかどうかだけではなく、税率が何%の取引かまで確認し、分類していかなければなりません。

 

 これは、食料品を扱う小売店や食品製造業、飲食店だけでなく、それ以外の業種の企業においても福利厚生用のお茶やウォーターサーバーの水の購入、会議の際の弁当やお茶代、得意先に贈答する菓子の購入代、定期購読を行っている新聞代などが軽減税率の適用を受けます。

 

 そのため、経理処理を行う誰もがこの複雑な制度を理解し、正確に仕訳入力を行う必要があります。しかし、入力ができていれば、ソフトの申告書作成機能で取引を自動集計し、自動で申告書の作成をおこなうことができます。

 

申告計算は手計算で難しい

 

 軽減税率制度の適用による2段階税率の申告は、対象となる売上の取引と仕入の取引をそれぞれ8%、10%ごとに分けて計算します。

 

 これまでは、シンプルな2枚の書面でできた申告が最大で6枚にまで増えてしまっています。書面自体の書き方もどこに何を書くのかがわかりづらく、手書きで埋めるにはハードルが高い書面になっています。
 そのため、会計ソフトに申告書の作成機能がない場合には、別途、申告書の作成用のソフトを用意する方が良いでしょう。

 

 消費税は金額的に大きくなる税目であり、軽減税率の導入により高い知識が必要になっています。正しい税額の算定には、日々の経理処理を正確に行うことが最も重要であるということを理解し、日々の業務に留意していきましょう。