作成日:2020-05-29
最終更新日:2023-04-19
「5S」とは?
「5S」とは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字をとってつくられた言葉です。具体的には次のようなことを指します。
整 理 | 必要なものと必要でないものを仕分けし、不用品を処分すること |
整 頓 | 必要なものを使いやすいように並べること |
清 掃 | 身の回りを掃除しつつ点検すること |
清 潔 | 整理・整頓・清掃された状態を保つこと |
躾 | ルールや基準を守り整理・整頓・清掃するように習慣づけること |
5Sは難しいことではありません。当たり前におこなわれることですが、5Sを意識・徹底することにより職場環境の改善が見込めます。
5Sを取り入れる目的とは?
5Sを取り入れる目的は、大きく分けて4つあります。それぞれどのような目的なのか、具体的にみていきましょう。
無駄をなくし作業効率を上げる
5Sを徹底して行うことで何がどこにあるのかが明確になり、「探す」という無駄な時間を削れます。無駄な作業が1つずつ削られ時間を効率的に使えるようになり、作業効率が上がるのです。
社員が働きやすい環境をつくる
5Sを意識することで、社員にとって働きやすい環境をつくれます。きちんと整理整頓が行き届いていることで、モノを探し回ったり無理な姿勢で作業したりする必要がないため、肉体的負担の少ない職場になるのです。また、清潔な状態を保つことで、心理的な負担も軽減できます。
安全性を高める
安全な職場環境をつくることも、5Sの大きな目的の1つです。整理整頓や清掃が行き届いていないと作業や移動がしにくくなり、事故が起こる可能性が高まります。5Sで作業しやすい環境をつくれば、安全に仕事ができます。
一人ひとりがルールを守って動ける風土をつくる
5Sの徹底によって、一人ひとりの意識を改革できます。自然と自分のやるべきことを行えるようになり、ルールを守って行動できるのです。会社全体の風土が変わっていくため、無意識のうちにルールを守れるようになります。
5Sの定着でもたらされるメリット
5Sが定着することでもたらされるメリットはさまざまです。具体的なメリットについて1つずつ紹介します。
業務効率の向上が図れる
5Sが定着することで、無駄な時間を省けます。また、事務所や工場などの作業環境が整うことによって業務効率も上がります。さらに、作業がスムーズに行えることで、生産性のアップも期待できます。
必要な作業のみに集中できる
5Sを徹底し、整理整頓や清掃がしっかりと行われている環境をつくると、例えば工具などといったモノを探す不要な作業がなくなります。そのため、自分がやるべき作業だけに集中することができ、スピーディーで質の高い仕事ができるのです。
コストを削減できる
業務効率が上がることによって残業が少なくなったり、余計な人材を雇わずに済んだりできるため、人件費を削減できます。また、徹底した在庫管理をすることで、不必要な買い物がなくなり、余計な出費を抑えることも可能です。
作業中の安全性が高まる
不要なモノを処分したり、モノを使いやすい場所に配置したりすることで、作業中の安全性が高まります。また、清掃の維持や定期的な点検などが習慣化することにより安全に作業できる環境が整い、事故防止につながります。
商品やサービスの質が良くなる
ルールを徹底することで、業務中のミスや作業のムラを減らせます。また、余計な作業が省かれることで集中力も高まるため、商品やサービスの質が上がっていくでしょう。安定した品質を保てるので、顧客満足度も高まります。
ストレスが減り快適に働ける
清潔で働きやすい環境を整えることで、社員のストレスを減らせます。快適に働けることによって社員の満足度も上がり、仕事に対するモチベーションを保ちやすくなるでしょう。また、5Sを意識して行うことで、自主性も向上していきます。
チームワークが向上する
社員全員で5S活動をおこなっていくことにより、一体感が生まれます。社員間やチーム内でのコミュニケーションが活性化することで業務の連携もスムーズに取れるようになります。風通しの良い職場になり、ストレスも溜まりにくくなります。
5Sが上手くいかない場合の原因は?
5Sに取り組んでみたけれど、うまくいかないこともあるでしょう。その原因は大きく分けて3つあります。
・社員が積極的ではない
・5S活動をすることが目的になっており、効果や目的を説明できる人がいない
・ルールが決まっていない、守られていない
5Sの実行を上から押しつけてしまうと、社員のやる気が生まれず、継続させることが難しくなります。また、社員が目的や効果を把握できないままでいるとモチベーションが上がらず、5S活動が習慣化しません。5Sを継続するには、ルールの明確化や徹底も必要です。
5Sに取り組む前にやるべきこととは
5Sに取り組む前にやるべきことがいくつかあります。事前にどのようなことをすればいいのか、具体的な内容を紹介します。
5Sのレベルを把握してから計画を立てる
まずは、現状で5Sがどのくらいできているのかを把握することが大切です。改善ポイントや課題を見つけて、目的を明確にした上で計画を立てるようにしましょう。目的がはっきりすることで、より具体的な計画が立てられます。
5Sを伝える担当をつくる
5Sを行う場合には、リーダーを指名することが多いでしょう。しかし、リーダーに丸投げするのではなく、しっかりと教育することも重要です。そのため、5Sについてリーダーに正確に伝えられる担当者が必要です。
5Sの各手順におけるポイントとは
5Sを行う際には、手順をきちんと把握しましょう。5Sは基本的に、3Sと2Sに分けて考えます。3Sは整理・整頓・清掃の3つで、5S活動の基礎となる部分です。まずは、3Sを徹底的に続けていくことから始めましょう。3Sを継続して行うことによって、残りの清潔・躾の2Sは自然とついてきます。
整理(Seiri)
整理で重要なのは、必要なモノと不要なモノに分けて、要らないモノを捨てることです。この際、ただの掃除になってはいけません。不要なモノを捨てるだけでは、また同じように無駄なモノが増えてしまいます。不要なモノを増やさないためには、何が必要なのかを明確にして、捨てる基準やルールを決めることが大切です。頻繁に使うことのない備品や文房具は、なるべく共有するようにします。
このように、あらかじめルールが決められていると、不用品が増えずに整理された状態を維持できるでしょう。
整頓(Seiton)
整頓では、必要なモノを誰でも取り出しやすいように配置します。ただきれいに並べるのではなく、仕事がスムーズに進むように並べることが大切です。誰でも見つけやすい、取り出しやすい置き方を意識しましょう。
置く場所・置くモノ・置く量をしっかりと定めて、分かりやすいように名前を付けたり、色分けしておいたりすると、誰でも使いやすくなります。
清掃(Seisou)
整理整頓が済んだら、汚れやほこりなどがない状態を保つために清掃をします。清掃では、どのくらいきれいな状態にするのか、誰が掃除をするのかといった基準やルールを統一しましょう。
どの程度をきれいと思うかは人によって変わるため、基準を決めておかないと揉める原因になります。そのため、チェックシートをつくり、清掃の基準を明確にすることがポイントです。基準に沿ってこまめな清掃をおこなえば、きれいな状態を維持しやすくなります。
清潔(Seiketsu)
清潔とは、3Sを徹底し、清潔な環境を維持できる状態にすることです。3Sが実行できても、その状態を維持できなければ、再び元の状態に戻ってしまいます。整理・整頓・掃除が常になされている状態をつくり、人が変わった場合でも維持できるようにしましょう。
3Sを継続していくためには、ルールが守られているかどうかのチェックが必要です。定期的に点検・改善して、3Sを標準化させていくことで清潔な状態が保てます。
躾(Shitsuke)
躾(しつけ)というと、命令や教育などを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、5Sにおいての躾は違います。この場合の躾とは、3Sが習慣化することで、ルールが守られている状態のことを指しています。
習慣化するためには、5S活動を強制するのではなく、社員が自主的に活動できる環境をつくることが重要です。全員で計画を立てて、ルールや基準を決めることを意識しましょう。
まとめ
5Sの取り組みを行うことで、業務効率や生産性が上がったり、安全性が高まったりと、経営的にもさまざまなメリットがあります。
しかし、目的をはっきりさせずに始めても上手くいきません。5Sを取り入れる目的を明確にする、ルールや基準を全員で決めるといったことを意識することが大切です。
社員が自主的に取り組めるようになれば、5Sも習慣化していきます。職場内の5Sを習慣化させることで、社員全員が働きやすいと感じられる環境を実現しましょう。
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