決算書の読み方とは?

決算書の基本や種類など詳しく解説

 

 与信管理をする際など、自社の財務状態を把握するために決算書の読み方を理解する必要に迫られることもあるでしょう。
 この記事では、経営や財務に関わる担当者に向けて、決算書の読み方を解説します。決算書に関する知識がなくても読めるように詳しく解説しますので、自社の財務や経営に役立ててください。
 

更新日:2020.05.28

決算書の読み方を知る|その1:決算書とは?

 ここでは、そもそも決算書とはどういうものなのか解説します。目的や使い道なども把握しておきましょう。

決算書とは何か

 決算書とは、企業の経営成績や財務状態を確認するための書類のことです。一般的には「決算書」と呼ばれますが、正式には「財務諸表」のことをいいます。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などが財務諸表に相当します。決算書の読み方を理解することで、自社が一定期間でどのくらい利益を上げたかなどを把握できます。

決算書の目的

 決算書を作成する目的はさまざまです。具体的には、株主への業績報告、与信管理、確定申告などに使われます。株式会社の場合、経営者は株主に対し経営状況を報告しなければなりません。また、資金調達の際には会社の信用力を示したり、納税をしたりする際にも決算書が必要です。
 
以下で、どのように使用するのかを簡潔に説明します。

業績報告

決算書は、株主への業績報告のために使われます。株主が経営者のみのような企業であればあまり意識する必要はありませんが、会社は本来、株主のものです。そのため、経営者は株主に対して企業の業績を報告する必要があるのです。年に1度株主総会を開催し、その場で株主に対して決算書を使って企業の経営状況を報告しなければなりません。

与信管理

 決算書は銀行からの融資や取引先の信用調査などにも使われます。銀行から融資を受けるときは、決算書の提出が必要です。銀行は、提出された決算書をもとに、企業に対して融資を行うか判断します。また、ビジネスでの取引においても、相手との掛取引に問題がないか確認するために決算書が使われます。

確定申告

 確定申告を行う際にも決算書が使われます。企業は事業年度が終了してから、2カ月以内に確定申告をしなければなりません。実際に、確定申告を行う際は、株主総会で使用した決算書をもとに、法人税などの計算を行う形になります。税務署に提出する際は、「決算報告書」と呼ばれます。

決算書は誰が使うか

 決算書は、企業が銀行に融資を申し込む際に提出します。銀行は融資が可能かどうか判断するために決算書を使用します。また、営業担当者が得意先の経営状態を把握する際にも、決算書を確認するケースが多くあります。
 
 そのほか、投資家が投資判断をするために企業の決算書を確認することも多くあります。これから成長する企業なのかを判断するための資料として使われるのです。

決算書の読み方を知る|その2:決算書の種類とは?

 決算書は、一般的に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3種類あり、まとめて「財務三表」と呼ばれます。これら3つの決算書に共通している点は、事業年度の終わりに作成されることです。
 また、3つの決算書は互いに連動しています。貸借対照表は現在の財務状況をまとめたもの、損益計算書は企業の営業成績を示すものです。また、キャッシュフロー計算書は、資金の流れにより企業の営業成績を表します。

貸借対照表

 貸借対照表は、企業の財務状態を明らかにしたものです。 表の左側は「資産の部」、右側は「負債の部」「純資産の部」のように、左右に分かれて構成されています。また、この左側の金額の合計と右側の金額の合計は一致するようになっていることが特徴です。両者がバランスをとっていることから、「バランスシート」とも呼ばれます。 

着目ポイント

 安定した経営を行うには、自己資本を増加させることが大切です。自己資本とは、返済する必要のない企業の資金源泉のことをいいます。自己資本を増加させるには、貸借対照表の右側の項目にある「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」を増やすことがポイントとなります。 

損益計算書

 損益計算書とは、一定期間における企業の収益と費用を明らかにしたものです。具体的には、「営業活動により生じた利益」「収益を出すためにかかった費用」が記載されています。さらに、収益から費用を差し引いた金額が純利益です。損益計算書では企業の収益、費用、純利益が把握できるようになっています。

着目ポイント

 損益計算書には、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益が記載されています。その5つの利益のなかでも、「経常利益」の数値に着目することが重要です。
 
 経常利益とは、事業全体から得た利益のことで、営業活動以外で発生した「営業外収益」も反映されます。そのため、本業で営業利益を出していても、借入の返済などの負担が大きい場合は、経常利益は少なくなるのです。企業が儲かっているかどうかは、経常利益の数値を見ればすぐに把握できます。 

キャッシュフロー計算書

 キャッシュフロー計算書とは、企業の一定期間のお金の出入りを基本活動、投資、借金の3つに分けて、それぞれの流れを表した表のことです。
 
 基本活動とは、企業の営業活動から生み出された資金を示す項目です。投資の項目は、設備などへの投資によるお金の流れを示します。借金の区分では、銀行からの借入や返済などの財務状況を示す項目になります。

決算書の読み方を知る|その3:財務三表が示すものとは?

 財務三表が示すものとして、資金調達、投資活動、営業活動があります。これらを確認することで、企業の状況を把握できます。

資金調達

 資金調達は、貸借対照表の負債・純資産、キャッシュフロー計算書の財務活動の項目が関与します。企業がどのくらい資金調達をしたのか、どこからお金を集めたのかなどを把握できます。
 

 

投資活動

 投資活動は、貸借対照表の資産の部、キャッシュフロー計算書の投資活動の項目が関与しています。投資活動に関係のある項目を把握することで、固定資産の取得や売却の情報を把握できます。

営業活動

 営業活動は、貸借対照表の営業活動、キャッシュフロー計算書の営業活動が関与しています。これらの項目を見ることで、企業においてどのくらい運転資金があるのかを把握できます。

決算書の読み方を知る|その4:計算書類とは?

 計算書類とは、会社法に基づく書類のことであり、貸借対照表や損益計算書のことを指します。これら計算書類を決算期に作成して株主総会などで使用します。
 計算書類とは、会社法に基づく書類のことであり、貸借対照表や損益計算書のことを指します。これら計算書類を決算期に作成して株主総会などで使用します。 

計算書類の種類

 ここでは、計算書類のうち貸借対照表と損益計算書以外の書類を挙げ、それぞれの内容を解説します。 

株主資本等変動計算書

 株主資本等変動計算書とは、企業の利益を何に使用したのかを示す書類です。貸借対照表の「純資産の部」のみに着目して、変動状況を明らかにします。
 
 たとえば、増資や配当が行われた場合、純利益は変動します。株主資本等変動計算書を見ることで、そのような企業の純資産の変動を把握できるのです。 

個別注記表

 個別注記表とは、貸借対照表、損益計算書といった各計算書類に関する注記、会計方針に関する注記などをまとめた書類のことです。計算書類がどのような基準で作成されているのかなどが記載されています。個別注記表により、数字だけでは読み取れない会計方針の変更点などを把握することが可能です。

まとめ

 決算書には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった書類があります。それぞれの書類の意味や目的、読み方を知ることで、企業の経営状態を正確に把握できます。今回紹介した着目すべきポイントを意識しながら、数値をしっかり読み取ることが重要になります。
 決算書は、株主総会での報告や確定申告のほか、銀行から融資を受ける際にも必ず必要になる書類です。自社でスムーズに作成できるように理解を深めておきましょう。

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