更新日:2019.10.01
【目次】
・PDFの請求書や見積書は法的に有効か?
PDFの請求書や見積書は法的に有効か?
「お見積り書は本メールに添付しました」「ご請求書はこちらのURLをクリックしてダウンロードをお願いします」などのようなメールが取引先から当然のように送られてくるようになりました。請求書のような大事な書類を紙ベースの原本を郵送することなくPDFなどの電子ベースで送ることは、法的に有効なのでしょうか?
PDFの請求書送付は法的に有効
仮に請求書発行企業に税務調査が入った場合でも、PDFなどの電子ベースで保存してある請求書がサーバーやクラウドに残っていれば問題ありません。税務調査官は、「請求の意思表示をした履歴があり、その請求内容に基づいて適切に入金処理が行われているか」を確認するのが仕事です。請求書自体が電子ベースで保存してあっても、問題がないのです。
ただし、これまで長年の取引をする中で紙ベースの請求書を郵送し続けていたお客様に対して、ある日突然断りも無くPDFの請求書が届いてしまうと、相手がビックリしてしまうかもしれません。事前にご相談・ご一報されておくことをおすすめします。
請求書は修正や改ざんがしにくいフォーマットで送付する
請求書などをExcelやWordなどのフォーマットで取引先に送付すると、請求項目や数量、単価などを簡単に修正してしまえるため、トラブルにつながりかねません。送信する際はPDFなど、簡単には内容を修正できないフォーマットで行うようにしましょう。
PDFで請求書を受け取る側は注意が必要
日本では1998年に電子帳簿保存法が制定され、国税関連書類(見積書・請求書・領収書など)の電子データによる保存が認められました。さらに2005年4月に施行されたe-文書法により電子帳簿保存法が改正され、紙ベースで保管していた文書や書類を電子ファイルとして保存しても良い、ということになりました。
ただし、気を付けていただきたい点があります。それは、「電子帳簿保存法を適用するためには、税務署への届出が必要」という点です。さらにこの申請は、電子保存を開始する日の3ヶ月前までに多くの書類を提出する必要があるため、なかなか気軽に行うわけにはいきません。
電子帳簿保存法の申請様式は国税庁のページを ご確認ください。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/04.htm
令和元年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要についてはこちらをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/09.htm
つまり、「請求書などを送信する側はPDFをメール添付で送っても法的に問題はないが、受け取る側は、税務署から承認を受けている場合を除き原本をプリントアウトして7年間保管しておかないといけない」ということです。
取引先から「PDFで送ってもらっている請求書の原本を郵送してください」という依頼が入った際は、改めて原本を郵送するか、先方にPDFをプリントアウトしていただくよう依頼をするなどの対応をしたほうが良さそうですね。
請求書などをPDFで送信することのメリットと気を付けるべき点のまとめ
【メリット】
1.PDFで送信すれば人件費・郵送費が削減できる
請求書・送付状・宛先ラベルなどの書類作成、プリントアウト、会社印押印、封入、宛先ラベル・切手貼り、投函などの作業のほとんどを割愛できるため、人件費・郵送費の削減、ひいては時間外労働(残業)時間削減などにもつながります。
2.請求書の送付履歴が確認できる
請求書を紙ベースの原本で取引先に郵送する場合は、送付履歴が残りません。もし万が一取引先から納期通りに入金がない場合に督促をしても「請求書が届いていません」と言われてしまうと、引かざるを得なくなってしまいます。
PDFの請求書をメール添付で取引先に送信すれば、少なくとも「送信した」という履歴は残ります。さらに、請求書のリンクURLを送るタイプのクラウドサービスを使えば、取引先がその請求書を「確認した」日時まで把握することが可能なため、取引先と不必要な押し問答をすることがなくなります。
【気を付けるべき点】
1.メールの件名に【請求書添付】と書くなど、しっかりと注意喚起する
数多くの未読メールに埋もれてしまわないよう、件名に請求書が添付されていることを明記しましょう。
2.請求書には必ずパスワードをかけ、パスワードは別メールで送信する
PDFファイル自体、もしくはzipファイルに圧縮してパスワードをかけるなど、情報流出には細心の注意を払いましょう。もちろん、開封パスワードは請求書を添付したメールに記載せず、他のメールで送信するべきです。
ここ数年法律が改正されてきていることもあり、そう遠からず「請求書などは電子ベースで送受信することが当たり前」という時代になるでしょう。御社も取引先に理解を求めながら徐々に電子ベースでの取引を増やしてみてはいかがでしょうか?
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