更新日:2020.06.26
集客とマーケティングの関係
集客とマーケティングについてそれぞれ説明し、集客とマーケティングの違いや関係について解説します。
集客とは?
集客には、様々な視点があります。商店街で焼き鳥を売りながら通行人全てに声を掛けるような方法は、売り手の意向しか含まれない集客です。しかし、年齢・性別を絞ってチラシを配る方法になると、チラシの作成自体が消費者のニーズを推測し何らかの戦略を前提としているため、マーケティングの一部になります。
近年では、ターゲットを絞ってニーズを満たし、顧客との長期的な関係を築いて売上を伸ばす考え方が重視されています。マーケティングの一部としての集客では、長期的に安定した収入が見込める固定客の獲得を目指します。
マーケティングとは?
マーケティングの定義はいろいろありますが、「多角的な視点に立って、より効率的に、できるだけ大量の商品・サービスを売るための活動」という点は共通しています。
マーケティングには、広告やキャンペーンによる集客だけでなく、見込客のニーズ調査や販売ルートの構築、ブランド戦略なども含まれます。最近では、ビッグデータを活用したフィードバックで、次の商品開発を実施することも一般的になりました。
集客とマーケティングは切り離せない存在
マーケティングで売上を向上するためには、組織の効率化やサービスの品質向上、価格設定の見直し、販売ルートの開拓、プロモーションなど、総合的に取り組む必要があります。集客はプロモーションの一部であり、認知度の向上と購買意欲の喚起が目的になります。
ただし、最近では集客の対策そのものがマーケティングとなるケースも多くあります。顧客がSNSなどを利用して情報発信をするようになり、それらの顧客の声を聞きながらサービスの品質向上などを行う必要があるからです。集客の対策は、集客のみを目的とする単独での要素が少なくなりました。集客とマーケティングは、切り離して考えることのできない関係といえます。
集客を成功させるためのポイント
集客を成功させるための基本となる5つのポイントを紹介します。
自社の論理ではなく顧客目線で考える
集客では、自社の商品の魅力をアピールすることで顧客を惹きつけようと考えてしまいがちです。もちろんそれも大切なことですが、より効果的な集客は、顧客が求めるものや喜ぶもの、困りごとを解決できるものや情報を提供することです。つまり、顧客目線で集客することが重要となります。このようなアプローチをすることで、成約に至るまでの確率が高くなります。
競合他社を研究する
集客効率を高めるためには、競合他社と比較することが有効です。特に、同じニーズを持つ客層のシェアや評価の分析は、自社の強み・弱みがわかりやすくなります。そうすることで、商品やサービスを改良しなくても、ターゲット層や集客場所、アピール方法などを変更することで、獲得できる固定客を増やせる可能性があります。
マーケティングの全体像とつながりを意識する
商品が売れるときは、アクセス・問合わせ・成約という3つのステップを踏みます。徐々に見込客が減ることからファネル(じょうろ)モデルと呼ばれています。集客効果を上げるために重要なことは、この3ステップのつながりを俯瞰してファネルを設計することです。
BtoB企業では、最初から購入を促すDMを出しても効果は薄いでしょう。困りごとを解決できるといったアプローチのDMを送り、それに関心を持った人が、次にアクションなどを起こせる内容にすることが必要です。具体的には、Webサイトへのアクセスや問い合わせ、営業訪問につながるような内容などが挙げられます。
集客方法は目的にあわせて選ぶ
集客する際は、集客の目的をはっきりさせておきましょう。例えば、新規顧客の開拓や潜在顧客の調査、リピーターへの定期的な購買意欲の喚起などでは、それぞれ効果的な集客方法や広告内容、活用するメディア、広告規模などが変わります。目的を明確にしてから集客方法を選択し、集客を行いましょう。
例えば、訪問(飛び込み)営業による新規顧客の開拓に限界を感じている場合は、検索エンジンで自社商品に関連する情報を検索する人をターゲットとして集客できるような方法を考えるべきでしょう。情報を自ら検索する人であれば、成約に至る確率も高いことが予測できます。
PDCAサイクルを回し続ける
効果的なプロモーションで満足できる集客ができたとしても、それが続くとは限りません。定期的に効果測定をして、必要に応じて集客方法を変える必要があります。また、顧客の反応や意見を取り入れてマーケティング全体を見直す必要もあるでしょう。「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のサイクルを回し続けることが重要です。
オンラインにおける主な集客方法
オンラインで集客するための主な方法を紹介します。
SEO
SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索されたときに、上位表示されるための施策です。検索者のニーズを満たすようなオウンドメディアを構築したり、Webサイト内に自然な形でキーワードを含ませたりします。
店舗がある場合は、MEO(地図エンジン最適化)も重要です。MEOとは、例えばGoogle マップで「喫茶店 恵比寿 パンケーキ」と検索したときに、上位表示されるための対策を講じることです。この場合は、Googleマイビジネスの追加カテゴリに「パンケーキ屋」を設定したり、店内写真や口コミを充実させたりするとよいでしょう。
SNS
顧客と交流しやすく、自社のファン・固定客を作りやすい手段がSNSです。代表的なサービスについて、詳しく紹介します。
【Facebook】
Facebookは、ターゲットを絞って顧客と関係を深めたいときに活用できます。もともと実名で登録し、友達同士の交流を目的としたサービスのため、顧客との距離が比較的近い小さな店舗などに向くといわれています。趣味に関連したイベントの通知などもできるため、密な関係を築けるでしょう。短期間で不特定多数にアプローチしたい企業には不向きです。
【Twitter】
Twitterは、オウンドメディアやキャンペーンサイトなどの自社サイトへ顧客を誘導したい場合に活用できます。例えば、新商品を発表したときやオウンドメディアで記事を書いたときに、自社アカウントで投稿、発信してアクセス数の増加を狙うことが出来ます。多くのシェアによる拡散で、予想外の効果が出ることもあります。
【Instagram】
Instagramは、写真中心のSNSです。インテリア関連や工芸品など、写真でアピールできる商品を販売する企業に向いているSNSといえます。ユーザーは、#(ハッシュタグ)を用いて検索するため、適切なキーワードを設定するようにしましょう。ユーザーの声を収集する際にも、ハッシュタグでの検索が使えます。
【LINE】
LINEは、登録メンバーにプッシュ通知が届くことが特徴です。例えば、子売店が常連客に向けて割引キャンペーンを告知するときなどに使います。ただし、あまり頻繁にメッセージを送信するとわずらわしいと思われるかもしれないので、顧客の気持ちになって運用しましょう。
メールマガジン
顧客のメールアドレスを管理している企業では、メールマガジン(メルマガ)を活用することが多いでしょう。配信コストがほとんどかからないだけでなく、マーケティング支援ツールと連動することで、顧客の状態にあわせた配信もできます。例えば、一度購入してもらった商品の交換時期を見計らってメールマガジンを送ることで、再購入に繋げるといったことができます。
ネット広告
ネット広告にもさまざまな種類があります。それぞれの特徴に合わせて選びましょう。また、これらの方法を用いる場合は、広告にあわせてLP(ランディングページ)の内容を吟味することも重要になります。
【リスティング広告】
GoogleやYahoo!などの検索結果の専用スペースに、出稿する広告です。特定のキーワードの検索者に向け、検索1ページ目の上側に広告の表示がされるので、短期間で集客しやすいことがメリットです。ただし、競合が多いほど広告料が高額になります。
【アドネットワーク広告】
ブログやWebサイトなどに、バナー広告やテキスト広告を配信します。広告枠はアドネットワークの提供企業によって、分類・管理されています。そのため、広告主がターゲットの属性設定をするだけで、効果が高いと思われる広告枠で自動的に配信されることが特徴です。費用は、クリック単位で支払います。
【リターゲティング広告】
リターゲティング広告とは、特定の商品情報の閲覧者の行動を追跡して、別サイトの広告枠に関連情報を表示する方法です。自社商品をすでに知っている人や関心を持っている人に再びアプローチできますが、配信対象者が少ないと効果が低くなります。
【SNS広告】
各SNSでは、性別や興味関心などターゲットを設定して、広告を有料配信できます。メリットは、資金があればすぐに利用できる点で、デメリットは、タイムラインで流れやすい点です。テキストを短めにして印象的な画像を載せるなど、SNS広告特有の対策も重要です。
【アフィリエイト広告】
自社商品のバナーやリンクを載せてくれる個人や企業を募る方法です。一般的には、クリック報酬ではなく成約時に対価を支払う成果報酬型が用いられます。その理由は、事前にコンバージョン単価を見積もることができるからです。アフィリエイト広告へ誘導するための記事作成を、個人や企業に依頼することもあります。
オフラインにおける主な集客方法
ここでは、代表的なオフラインの集客方法を紹介します。
DM(ダイレクトメール)
郵送やポスティングでDMを送る方法は、今でも集客の手段として主流の1つです。DMを送る際に重要なことは、配布先のターゲティングです。現在は、顧客管理システムやマーケティングツールと連動して、DMの対象者を選ぶことができます。また、顧客ごとに送付するタイミングや内容を変えることも可能です。
マス広告
新聞や雑誌、テレビ、ラジオの4媒体での広告を、マス広告といいます。インターネット広告との比較の際に、オールドメディア広告と呼ばれることもあります。マス広告は広告料が高いため、主に大企業が活用している媒体といえるでしょう。広範囲に商品やサービスを認知させたい場合や企業の信頼性やブランド価値を高めたい場合に適しています。
しかし、双方向のメディアのように見込客の反応がわからず行動追跡もできないので、広告効果を分析しにくい点がデメリットです。
テレアポ
労力と時間がかかりますが、高額商品の販売などに有効な方法です。セールストークの力が要求されるので、スタッフを育てて成約率を高めようとする企業もあります。一方、人材確保が難しい場合や人件費を抑えたい場合は、1アポイント獲得でいくらという形で、外注契約することも可能です。
イベント
セミナーや展示会は、一度で多くの人に商品をアピールできる方法です。顧客と築きたい関係に応じて、規模を設定することも重要です。イベントに限りませんが、顧客情報の収集やその後のアプローチを考えると、マーケティング管理ツールを導入しておくことが有効でしょう。
イベントを開催する場合、一般的にはイベントそのものへの集客が難しいため、DMやメールマガジンなどによる告知や参加勧誘も必要になります。
集客に成功した事例
集客に成功した企業の事例を、具体的に紹介します。
SEOに注力して業績を立て直した事例
アメリカのRiver Pools and Spas社は、個人用プールを手掛ける小さな施工会社です。この会社がマーケティング業界で有名になった理由は、SEOに注力して業績を劇的に立て直したからです。プール設置に関する良質な知識をブログで提供することで、見込客のアクセスや問合わせを得るという、今ではごく一般的な手法でした。
成果が著しかった理由は、ニッチな業種のために競合がほぼいなかったからです。SEO対策で、潜在的な見込客が検索するキーワードの検索上位を獲得できました。ある範囲に特化した製品やサービスを提供する中小企業にとっては、大いに参考になるといえます。SEOに関する知識が必要なので、専門業者の力を借りることで、より効果を発揮しやすいでしょう。
Facebookを活用して話題になった事例
ランドセルで有名な土屋鞄は、Facebookを活用してファンの獲得に成功しました。土屋鞄は、質の高い写真だけでなく、全ての画像と動画のトーンを統一して、ブランディングを徹底しています。その世界観に魅了される人は多く、並み居る大企業を抜いて毎年企業ランキング上位に食い込んでおり、固定客を獲得することに成功しています。
検索エンジンで企業や商品を検索する場合は、まずはテキストベースの情報に関心を持ってもらうことが重要です。一方、Facebookでは直感的に商品やサービスの良さを訴える画像や映像などのコンテンツが重要になります。そのため、ビジュアルに強みを持つ企業は積極的にFacebookを使う価値があるでしょう。
パーソナライズDMで効果的なアプローチを実現した事例
あるカーディーラーでは、マーケティング支援ツールの導入によって、パーソナライズDMでの効果的なアプローチを実現しました。ほとんど人の労力を使わずに高度な集客活動を成功させた点や、大勢の顧客に1to1マーケティングを実現した点は、多くの企業にとって営業・集客の理想形といえます。
まずは、1通目の車検案内のDMを起点に、見込客をWebサイトへと誘導します。Webサイトでは、見込客のニーズが車検なのか、新車の購入なのかなどを調査します。マーケティング支援ツールではWeb閲覧履歴も収集できたため、精度の高い分析が可能でした。
そのうえで、2通目にパーソナライズされたDMを送ることで、きめ細やかで顧客ニーズに沿った提案ができるようになりました。オンラインとオフラインの強みを生かした施策で、効果的なアプローチに成功した事例といえるでしょう。
まとめ
集客は、マーケティングの一部です。集客を成功させるためには、マーケティングと連動させながら最適なアプローチ方法で集客することが重要です。しかし、「効果的な集客方法がわからない」「オフラインだけの営業に限界を感じるが、どのようなことから始めるべきかわからない」といった課題を抱えている方もいるのではないでしょうか。