更新日:2020.11.30
コンバージョン(CV)とは?
コンバージョン( CV)とは「 Webサイトにおける最終的な成果」を意味します。代表的なコンバージョンの例は、自然検索(オーガニックサーチ)や、様々なチャネルから自社サイトへ流入したユーザーが「問い合わせ」(資料請求)や「商品購入」をした時です。
企業のマーケティング担当者はコンバージョンを効率的に獲得し、最大化することに日々試行錯誤しているといっても過言ではありません。「どのような導線設計を行えば問い合わせ(資料請求)が増えるだろうか」「どのようなコンテンツを作成すれば商品が売れるだろうか」といったコンバージョンの課題に対するソリューションを導き出すことがマーケティング担当者の重要な業務のひとつです。
ただし、全ての Webサイトにおいて同じコンバージョンが設定されているわけではありません。コンバージョンは Webサイトにおける最終的な成果に当たるため、下記の表のように Webサイトの種類に応じて変化するのが一般的です。
Webサイトの種類 | コンバージョンとすべき項目 |
コーポレートサイト | 問い合わせ(資料請求) |
ECサイト | 商品購入 |
サービス・製品の紹介サイト | 問い合わせ(資料請求) |
コミュニティ・情報提供サイト | 会員登録(メルマガ登録など) |
LP(ランディングページ) | イベントの申し込みや商品購入 |
コンバージョンとなる指標は表に挙げた項目だけに限りません。コンバージョンはあくまで Webサイトにおける最終的な成果です。「自社のサイトに来たユーザーにどのような行動を取ってもらいたいか」を見極めることが良いコンバージョン設定の鍵を握ります。
コンバージョンに関わる重要指標
自社の Webサイトにおけるコンバージョンが設定出来たとしても、コンバージョンの数やコンバージョンする確率を向上させなければマーケティングを行う意味がありません。ただデータを取ってレポートをするだけの Webサイト運用になってしまわないために、下記の用語について内容を把握し、重要指標とする必要があります。
- CVR(コンバージョンレート:サイトへのアクセス数のうち、コンバージョンに至った割合)
- CPA(コスト・パー・アクション:コンバージョン1件にかかった広告費用)
- PV(ページビュー:サイト内の特定のページが開かれた回数)
- UU(ユニークユーザー:特定の集計期間内にサイトやアプリを利用したユーザー数)
コンバージョンと合わせてこれらの用語の意味を押さえ、定期的に数値を計測する重要指標として位置づけましょう。重要指標をどこに置くかは、Webサイトの運用目的によって変化します。
一例として「広告掲載料による収益を重視するメディア」が挙げられます。こうしたメディアはサイト内におけるコンバージョン(広告掲載料による収益)がPVやUUと直接関係しているため、PV数やUU数自体がコンバージョンよりも重視される傾向にあります。
CVR
CVR(Conversion Rate)とは「サイトのアクセス数のうち、コンバージョンに至った割合」を指しており、「CVR=コンバージョン数÷訪問数(セッション数)」で求めることができます。例えば、1,000件のセッションのうち20件のコンバージョンを獲得した場合のCVRは2%です。
CVRは「流通経路」や「個別ページ」といった単位に分けて分析することで、自社サイトにおいて高いパフォーマンスを持つチャネルやページを知る指標となります。CVRの状況から自社サイトで打つべき施策の優先度が分かることも多く、マーケティング担当者がチェックするべき項目のひとつと言えるでしょう。
CPA
CPA(Cost Per Action)は「コンバージョン1件あたりにかかった広告費用」を指す値です。「CPA=広告費用÷コンバージョン数」で求めることができます。例えば10件のコンバージョンを達成するのに100,000円の広告費用をかけた場合のCPAは10,000円です。
CPAの値が下がるほど利益が増加するため、広告費用を削減する場合もありますが、CPAの値だけに気を取られてしまうと広告運用におけるコンバージョン数自体が減少してしまう可能性があります。したがって、CPAは「CVRを改善した上で見るべき指標」だと言えるでしょう。
PV
PV(ページビュー)とはサイト内の特定のページが開かれた回数を指しており「何回ページが閲覧されたか」を知る指標です。PVの値を分析することによって、多く閲覧されているページの傾向を把握することができます。
UU
UU(ユニークユーザー)とは設定した集計期間内にサイトに訪問したユーザー数を表す値です。ひとりのユーザーが集計期間内に同じサイトを何度訪れても1UUとなります。UUはPVの関連指標として捉えることができ、それぞれの数値の差からサイトの影響力・パフォーマンスを知ることが可能です。
コンバージョンの種類
Webサイトにおける最終的な成果であるコンバージョンは、発生状況に応じて下記の通り呼び方が変化します
- ユニークコンバージョン
- 直接コンバージョン
- 間接コンバージョン
- クリックスルー・コンバージョン(CTC)
- ビュースルー・コンバージョン(VTC)
コンバージョンの発生状況に応じて分類することで、顕在層に対するアプローチだけでなく潜在層に対するアプローチも可能となります。長期にわたってサイト運営を行いつつ、潜在層のユーザーを顕在層化させるための施策を打つことは新規顧客を獲得する上で重要です。コンバージョンには複数あることを知り、適切にデータ収集・活用できる環境を整えましょう。
ユニークコンバージョン
ユニークコンバージョンとは、ユーザー単位のコンバージョンを表しています。例えばひとりのユーザーが同一サイトで3つの商品を購入した場合、コンバージョン数は「3」となりますが、ユニークコンバージョンは「1」とです。
直接コンバージョン
直接コンバージョンとは、広告などを経由して自社サイトに訪問したユーザーがサイトを離脱することなくそのままコンバージョンに至ることです。
間接コンバージョン
間接コンバージョンとは、広告経由で自社サイトに訪問した後に一度サイトを離脱し、再度サイトを訪れてコンバージョンすることです。
間接コンバージョンは、直接コンバージョンに至らなかった見込み顧客に対してアプローチを行う上で重要な分類であり、数値の高さによってマーケティング活動全体での効果を測る指標となります。
クリックスルー・コンバージョン(CTC)
クリックスルー・コンバージョンとは、広告をクリックしたユーザーがWebサイトに訪問してコンバージョンした数を指します。同一ユーザーが複数回コンバージョンしても「1」とカウントされるのが特徴です。
ビュースルー・コンバージョン(VTC)
クリックスルー・コンバージョンに対して、ビュースルー・コンバージョンは広告を見たけれどクリックしなかった(スルーした)ユーザーが再度サイトを訪れてコンバージョンすることを指します。ポイントは一度サイトを離れている点です。
Googleアナリティクスのコンバージョン設定方法
自社サイトのコンバージョン設定は Googleアナリティクスで行うことができます。コンバージョン設定方法は以下の手順を参考にしてください。前提として、自社サイトと Googleアナリティクスの連携が完了していることが必要です。 Googleアナリティクスへの登録・サイト連携が済んでいない場合はまずそこから始めましょう。
- 「アナリティクス設定」ページで「目標」を選択
- 「+新しい目標」をクリック
- 目標設定で「テンプレート」もしくは「カスタム」を選択
- 目標の説明で「目標の名前」と「タイプ」を入力
- 目標の詳細について入力
コンバージョンを増やすための準備
Googleアナリティクスを使ってコンバージョンの計測をすることに加え、下記のようなコンバージョンを増やすための準備を行いましょう。
- ロジックツリーの作成
- マイクロコンバージョンの作成
- カスタマージャーニーマップの作成
これらの準備は、自社サイトでユーザーに取ってもらいたい行動(コンバージョン)に合わせて組み合わせるなどして決定し、実行します。
コンバージョンを増やす施策を打つ前にこれらの準備を行うことにより、ユーザーがコンバージョンに至るまでのルートを可視化できるため、マーケティングチーム内や他部署との共有がしやすくなります。
ロジックツリーの作成
ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解していくことで原因や解決策を可視化するフレームワークのことを指します。主に4つのタイプがあるとされるロジックツリーですが、コンバージョンアップのために打つべき施策が分かりやすくなるのは「問題解決ツリー」です。
問題解決ツリーが良い理由は「解決したい問題」から改善案を徐々に細分化していくからです。粒度の粗いテーマから論理的に掘り下げていくことで、取るべき施策が可視化されます。
マイクロコンバージョンの作成
マイクロコンバージョンは、高額商品の購入をコンバージョンと設定する場合などに最適な考え方です。コンバージョン以前のユーザー行動をマイクロコンバージョンとして指標化することで、施策のPDCAをスピーディーに回すことができます。
ただし、マイクロコンバージョンは自社サイトに訪れるユーザー行動がある程度把握出来ている場合に有効な考え方なので、データとして収集・活用できるボリュームに至ったフェーズで設定するようにしましょう。
カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、ユーザー(ペルソナ)が自社の商品を認知してから購入に至るまでのモデルルートを可視化したもので、作成するとフェーズごとに以下のような項目が一目で分かるようになります。
- ユーザーとの接点
- ユーザーの行動
- ユーザーの思考・感情
- ユーザーの抱く課題
- フェーズごとの解決案
カスタマージャーニーマップのメリットは「ユーザーの状態を俯瞰して把握できること」「チーム内でコンセンサスが取れること」などです。カスタマージャーニーマップとして明確なモデルを作成することで、チームの個人が憶測で行動してしまうリスクを減らすことができます。
また、カスタマージャーニーマップの作成においては、ユーザー行動を予測するための想像力が必要不可欠です。そのため、カスタマージャーニーマップの作成は「他部署を巻き込んだワークショップ」が良いとされています。様々な視点でユーザー行動を捉え直すことが重要です。
コンバージョンを増やす方法
コンバージョンを増やす準備をした後は、実際にコンバージョンを増やす施策を打っていきましょう。コンバージョンを増やす方法は他にもありますが、ここでは 2つの方法について解説します。
コンバージョンを増やす方法 | 成果の目安 | サイトコンテンツの室 |
リスティング広告 | 短期 | 変化なし |
コンテンツSEO | 中長期 | 改善できる |
いずれの施策もコンバージョンを増やす上で重要ですが、短期的な成果を求める場合は「リスティング広告」が向いており、サイトコンテンツ改善を含めた中長期的な成果を求める場合は「コンテンツ SEO」が向いています。
したがって、中長期的なサイトコンテンツの改善を進めながら、短期的な施策としてリスティング広告の運用を行う方法が両者の不足部分を補う理想的な組み合わせと言えるでしょう。
リスティング広告
リスティング広告は「検索キーワードに応じて検索結果上に表示される広告」です。リスティング広告では「Google広告」が有名で、検索キーワードに連動して広告を表示することから「検索連動型広告」とも呼ばれています。
リスティング広告の特徴は以下の3点です。
- 迅速な露出が可能
- 興味・関心の高いユーザーにターゲティングできる
- クリック課金であること
適切にリサーチ・ターゲティングを行えば、広告を設定した検索キーワードから多くのユーザー流入を得ることができます。広告を出稿してすぐに効果があらわれるため即効性はありますが、自社サイト内のコンテンツ改善ができるわけではないため、長期的なマーケティング施策には不十分な点に注意が必要です。
コンテンツSEO
コンテンツSEOとは、良質な記事(ユーザーにとって有益な記事)をサイト内に蓄積させていくことによって検索エンジンでの上位表示を図る施策のことです。コンテンツSEOには以下のようなメリットがあります。
- 低予算で始められる
- サイトが資産になるため、中長期的なマーケティング施策として位置づけが可能
- 拡散性が高い
- 特定分野における自社のブランディングができる
徐々に自社サイトのSEO評価を上げていくことによってメディア露出の頻度が高まるので「特定分野でのブランディング」が可能です。結果として、サイト内のコンバージョンが増えるといった効果が期待できます。
サイト運営者自身が分野に精通している場合などは予算をそれほどかけずに実施できるため、比較的取り組みやすい施策とも言えます。
まとめ
コンバージョンは設定して計測するだけでは意味がありません。ユーザーがどのようにコンバージョンに至るのかというプロセスを知り、行動の可視化・予測、施策の実行を繰り返すことが結果を出すためには重要です。リスティング広告以外は予算をかけずに実行することも可能なので、まずは出来るところから始めてみてください。