更新日:2020.12.25
デジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングとはどのようなマーケティングなのでしょうか。定義や対象とする範囲などを解説します。
デジタルマーケティングの定義
デジタルマーケティングとは、情報通信技術によって入手・分析できるデジタルデータを活用したマーケティングのことです。似た用語に「Webマーケティング」があります。これもデジタルマーケティングの一種ですが、データの活用対象はWebサイトに限られます。
デジタルマーケティングの特徴は、分析できるデータ量が増え、質が向上したことにより、マーケティングのターゲティング対象を集団(マス)レベルから個人レベルに絞れることです。
デジタルマーケティングの範囲
デジタルマーケティングで扱うデータの入手先や利用先は広範囲です。たとえばインターネット広告やメール、SNSなどがあげられます。また、自社サイトでのWeb閲覧・行動履歴や位置情報、購買データなどもデジタルマーケティングに活用されます。
テレビや雑誌への広告、展示会・イベント、DMなどのオフラインのマーケティングもデジタルマーケティングの範囲外ではありません。これらはオンラインから取得したデータを元に実施されたり、逆にオンライン施策に反映されたりするため、デジタルマーケティングの対象に含まれます。
一般消費者だけでなく企業向けBtoBにも使われる
膨大で広範囲のデータの活用からイメージするのはBtoCかもしれません。しかし、BtoBでもデジタルマーケティングは活用されています。BtoCとの大きな違いは、情報収集から購入までに複数の企業を比較するプロセスが長いことや、選定者と購入決定者が違うことです。
BtoBでは顧客を常にフォローし適切なタイミングで求める情報を与え、見込み客を育てる顧客育成(リードナーチャリング)がより重視されます。
企業にデジタルマーケティングが必要な理由
デジタルマーケティングが必要な背景には、ニーズの多様化が進み、商品・サービスに他にはない強みやオリジナリティが求められていることがあります。また、インターネット普及によって消費者の情報収集や比較検討が容易になりました。特定の分野ですでに地位を築いているBtoB企業であっても、顧客がすぐに離れる厳しい環境になっています。
こうした状況においては、自社の商品・サービスとニーズが合致している見込み客を探し出し、長期間顧客でいてもらうことが重要です。そのために、精度の高いターゲティングが可能なデジタルマーケティングが求められています。
デジタルマーケティングを活用する企業のメリット
デジタルマーケティングを活用するメリットとは何でしょうか。ここでは、企業側の観点で解説します。
消費者のリアルなデータを最大限活用できる
従来の手法の多くは、匿名性の高いアンケート調査や集団のトレンド調査などから得られる傾向把握に限られていました。デジタルマーケティングを活用すれば、たとえばSNSへの登録データや自社サイトの会員データなどから詳しい属性情報が得られます。また、購入に至るまでのプロセスのどこで離脱したかなども分析可能です。
これによりボトルネックの発見や、潜在的な顧客をみつけて戦略的なアプローチができます。
AIの活用で消費行動を予測できる
膨大で複雑なデータをマーケティングに活用するためには、AIでの分析が欠かせません。ECショップ経営では、AIによるアクセス解析から消費行動を予測しコンバージョンを増やすための改善箇所をみつけている企業もあります。これなら経験の浅い担当者でもデータをもとに対策が打てるでしょう。
たとえばショップデザインや商品レイアウトを改善することで、売上や顧客満足の向上、コスト削減などを図れます。
デジタルマーケティングを活用する企業の課題
ここでは、デジタルマーケティングを導入して活用する際に、多くの企業で課題になりやすい点を2つ解説します。
ノウハウや担当者が不足している
2016年にFUJITSUが行った調査によると、デジタルマーケティングを活用するために「ノウハウが不足している」ことや「担当者が不足している」ことを多くの企業が課題として挙げています。従来の広告やCMのノウハウが通用しないことから、試行錯誤しながら正解をみつけなければなりません。
マーケティングとシステム運用の両方のスキルを持つ専任担当者がいない企業では、効果的な活用ができていないという結果も出ています。
予算不足になる場合がある
FUJITSUの同調査によると「予算が不足している」ことも多くの企業が課題に挙げています。特に成果が出ていない企業では経営層の理解が得られず、予算の確保が難しくなるケースが少なくありません。デジタルマーケティングは長期的な施策が必要です。一定期間は費用対効果がみえにくいことを、上層部に理解してもらう必要があります。
※参考:デジタル化への認識とデジタルマーケティングの実態調査
|FUJITSU
デジタルマーケティングで成功するポイント
ここでは、デジタルマーケティングの担当者に向けて、プロジェクト成功のポイントを5つ解説します。
デジタルマーケティングの導入目的を明確にする
デジタルマーケティングは、自社の導入目的を明確にすることが必要です。まずは、「問い合わせを増やしたい」「新規顧客開拓」「顧客の売り上げ単価をあげたい」など、解決したい課題や問題点を明確にしましょう。デジタルマーケティングをなんとなく導入する企業もありますが、目的がないと効果が分からない状態になってしまいます。
目的に合わせて必要なデジタルマーケティングを見極める
目的が決まったら、具体的な施策を考えます。SNSやWebサイト、メール、メッセージアプリなど手段はさまざまです。顧客との信頼関係が重要なBtoBなどでは、アナログなオフラインの施策が有効なケースもあるでしょう。何から何までデジタル化してデータ分析しようとすると、ツールの初期費用がかかり成果に見合わないこともあります。
自社の目的達成に合わせて必要なデジタルマーケティングを見極め、戦略を立案しましょう。
成果指標を決める
成果指標とは、目標の達成度がわかる定量的な数値や指標のことです。たとえば自社の目的にあわせて、「売上」「新規顧客の獲得数」「売り上げ単価」「SNSでの投稿数」などの成果指標を決められます。成果指標が定まっていないと成果が見えづらく、社内評価につながらないと悩む担当者も少なくありません。
最終的な成果以外に中間プロセスの成果指標も定めておけば、プロジェクトの進捗が見えやすくなります。
ターゲットを理解する
デジタルマーケティングの多くはオンライン上での施策です。オフラインの施策とは違って直接ターゲットと触れる機会が少ないことから、顧客目線を忘れてしまいやすい点に注意しましょう。データの裏にある顧客のニーズや悩みを想像して深堀りすることが、よい結果につながります。
費用対効果を考える
デジタルマーケティングのためのツールの初期費用、ランニングコストなどは企業の投資にあたります。費用対効果を見積もったうえで実行に移しましょう。仮に「新規顧客の獲得数」を成果指標にした場合でも、その後の商品購入や契約数から得られる利益を加味して、最終的な費用対効果を計画に含めます。すぐには結果が出にくいため、長期的に構えることも必要です。
デジタルマーケティングを活用した企業の成功事例
ここでは、実際にデジタルマーケティングを活用して結果を得られた企業の成功事例を紹介します。
消費者との接点を作り購買促進に成功
大手飲料メーカーA社は、小売業が消費者との接点を持つため、自社で消費者の購買データを把握できないことが課題でした。デジタルマーケティングの活用で、消費者の購買行動がつかめるようになり、個別の行動に合わせたアクションが仕掛けられるようになりました。
顧客管理や販売実績の可視化に成功
大手自動車メーカーB社は、商業施設の簡易店舗で集客し、販売店に送客するサービスを行っています。しかし、開始当時は送客率や販売実績への貢献度が可視化できませんでした。そこでデジタルマーケティングを活用し、商業施設の営業活動をリアルタイムでデータ集計するように改めました。その結果、販売実績や販売店への送客率の可視化に成功しました。
新規顧客開拓とチャネル開拓に成功
レディースシューズを製造・販売するC社は、メールでの新規顧客開拓が伸びず、新しいチャネル開拓を目指しました。スマホユーザーのアクセス率が高いFacebook広告を選定・活用した施策は成功し、1カ月で多くの新規顧客を獲得しました。その後も売り上げは伸び、前年度売上160%を達成しています。
今後のデジタルマーケティングの見通し
多くの企業で導入が進むデジタルマーケティングですが、今後も有効な手法であり続けるのでしょうか。
さらに発展が見込まれる
デジタルマーケティングは、今では特化した部署が立ち上げられるほど、時代のニーズにあったマーケティング手法となっています。多種多様化しているユーザーニーズを把握する手段として非常に有効なことがその理由です。今後、企業の規模や業種を問わずさらに普及が進むとみられています。
コスト削減につながる
デジタルマーケティングは新たな手法であるため、試行錯誤する企業も多いです。しかしツールなどを使って自社で施策を進められれば、知識やノウハウの蓄積につながります。将来的にはアウトソーシングするよりも、コスト削減効果が見込めます。
まとめ
デジタルマーケティングとは、情報通信技術によって入手・分析できるデジタルデータを活用したマーケティングのことです。時代のニーズにあったメリットが大きいマーケティングとして、多くの企業で導入が進んでいます。