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チャットボット導入後の失敗事例~失敗しないためのポイントとは

人手不足の解決策となり、業務効率化や自動化ニーズも満たす可能性もあるチャットボット。今、多くの企業で注目を集めており、チャットボットの活用を本格的に検討する企業も増え、導入した企業で成功事例も多く見られています。しかしながら、チャットボットを導入しても成果が得られず失敗してしまうケースもあります。そこで今回は、チャットボットで成果を上げるために、チャットボット導入の失敗事例とチャットボット導入時に注意したいことを解説します。

1. チャットボットで成果を得られず運用に失敗してしまうケースとは

チャットボットを導入後、運用しても成果が出ないことがあります。失敗事例の中で多く見られる問題点としては以下の様なものがあります。

1.導入することが目的となっている

チャットボットを導入すること自体が目的になってしまい、適切な設計ができずにチャットボットの運用に失敗するケースもあります。チャットボットを導入する際は、事前に業務内容における問題点を整理したうえで、導入するようにしましょう。

2.ユーザーからの質問に対してボットが的確に返答できない

対話能力が低いと、利用しても要領を得ない返答ばかり返ってきて、ユーザーにネガティブな印象を与えてしまい、コンバージョンにつなげることもできません。チャットボット導入後、安定して成果を出すには運用面での体制も重要となります。

3.トラブル時の対策を準備していない

どれだけ事前学習を行っても、公開・運用後にイレギュラーな質問というのは必ず発生します。チャットボットが適切に回答できなかった際に、動作を止めるのではなく、有人対応に切り替えるなどの対策を万全に整えておく必要があります。

【関連コラム】チャットボット導入の際の注意点
2. 具体的なチャットボットの失敗事例について

実際に、チャットボットを導入した結果、次のような失敗に至ってしまった事例があります。

自社に適していないチャットボットを選定してしまった

ある企業では、チャットボットの導入が社内で決定したものの、導入前の準備に十分な時間をかけられず、また担当部署の意見を十分に聞けていなかったことが原因で、自社に適していないチャットボットを選定し、導入してしまいました。チャットボットといえばAI搭載型のイメージがあり、先進的で使いやすいだろうと思ったものの、用途には必要ない機能が多く、十分に機能を使いこなせない状況になってしまいました。

導入したのに利用率が低い

ある企業では、チャットボット導入直後は一定数の利用率があったものの、そこから伸びることなく、数ヶ月経っても、少ない利用率が続いています。何が原因かもわからず、お手上げ状態となってしまいました。

回答の精度が低い

ある企業では、チャットボットを導入してから、満足する回答が返せていないことが原因で、ユーザーからのクレームを受ける機会が増えました。チャットボットの回答の精度が低く、かえってユーザーの不満を募らせてしまい、顧客満足度を下げてしまいました。

費用対効果に見合わない

ある企業は、コールセンターの問い合わせ対応の負荷が高まっていたことを背景に、チャットボットで一部問い合わせを吸収しようと考えました。しかし導入後も一向に電話による問い合わせが減らず、原因として、ユーザーがチャットボットの存在を知らない、回答精度が低いなどが考えられました。

運用に時間を割けない

ある企業は、チャットボット導入前に運用メンテナンスが継続的に必要であることを知らず、体制が十分でないまま導入してしまいました。結果、チャットボット導入後は、運用に時間を十分割けず、チャットボットの品質が上がらない状況となってしまいました。

3. チャットボット導入を失敗しないために

チャットボット導入で成果を上げ、失敗しないようにするためには、主に次のような準備が重要になってきます。

3-1.チャットボット導入の目的を明確にする

チャットボットを導入する際には、あらかじめ自社の業務の中から問題点を整理の上、導入目的を明確にし、問題点の解決や目的達成に向けてチャットボットを利用するユーザーの要望を満たすチャットボットを提供することを心がけましょう。

3-2.様々な選択肢を用意しスムーズな会話を可能にする

チャットボットの公開前に事前学習させる際には、質問の選択肢を幅広く用意し、会話の流れがスムーズになるよう調整しましょう。これにより、顧客満足度の向上を図ることが可能です。

3-3.チャットボットと人との対応の切り替え

ユーザーからの質問に対して回答ができない場合のことをあらかじめ想定しておき、その対策を準備することが重要です。はじめからチャットボットが対応する範囲と有人での対応を分けておくことで、回答できなかった際のフローが定まることで、不要なトラブルの発生を予防できます。

3-4.チャットボットの効果測定の実施

問題点を改善しないまま放置してしまうと、チャットボットが「使えない」と判断してしまうユーザーが増えてしまうため、効果測定は定期的に実施することをおすすめします。成果を出すための社内体制について、後述していますので是非参考にしてみてください。 【関連コラム】チャットボットの導入効果測定のポイントを紹介

3-5.チャットボット導入後の運用方法の見直し

チャットボットを社内で導入した後の失敗を防ぐために、随時、運用方法を見直し、改善しながら行うことをおすすめします。以下のポイントで見直すことで、効果を出すことができます。
●効果指標を設定し見直す ただ運用するのではなく、目的に応じた効果指標を設定し、明確にしておくことをおすすめします。思うような効果が現れていないのであれば、失敗のままにせず、社内で効果指標とのギャップを共有し、改善策を適宜、実施することが重要です。チャットボットの効果指標には、例えばチャットボットの利用率やチャットボットの導入前後の有人問い合わせ対応数などがあります。
●多方面から見直す 問題点や課題が明確になったら、何を見直すかはその問題点や課題によって変わりますが、シナリオ、Q&Aの言葉遣い、Q&Aの回答精度など多方面から見直すことが重要です。 ●そもそもルールベース型とAI型の選択を誤っていないか確認する チャットボットには、大きく2種類、ルールベース型とAI型があります。またルールベース型にはシナリオ型と辞書型があります。導入時にこれらの選択を誤ることも失敗につながりますので、今一度、活用シーン別に確認しておくことが重要です。
【関連コラム】チャットボットの運用を成功させるには?導入検討時のポイントも紹介

4. チャットボット導入時の社内体制について

チャットボット導入に失敗しないようにするためには、導入時に社内体制をしっかり整えておくことが重要です。

導入前の対応事項

チャットボット導入前には、運用担当者を決めておくことが重要です。
チャットボットは、導入後、課題を解決するための定期的なメンテナンスによって、回答精度を上げていくことができます。そのため、まずは社内にチャットボットのメンテナンスの重要性をしっかりと周知し、メンテナンスを確実に行うための運用体制を整えておきましょう。
担当者が1人というのは負担が大きいため、継続のためにも、複数人のほうがおすすめです。
また導入するチャットボットの種類やサービスによってもメンテナンスの作業負荷は変わってくることから、できるだけ負荷の少ないものを選ぶことも重要です。

導入後の対応事項

チャットボット導入後に出た課題や問題点を運用チームが定期的にメンテナンスを行っていくことをおすすめします。
例えばチャットボットが答えられなかった質問に対しては回答の追加を行う、ユーザー満足度アンケートの結果で「不満足」となった回答は、内容を改善するか、オペレーターへつなげるかなど調整し、問題点を減らすことで、利用率の改善などの成果を出すことができます。
【関連コラム】チャットボット導入後の課題|運用開始後に成果を出すポイント

5. チャットボットの成功事例に学ぶ取り組み

チャットボットを導入し、成功に結び付いた事例は多くあり、その成功の影には、さまざまな取り組みがあります。どのような取り組みが成功につながったか、導入成功事例から学ぶことができます。ここでは3つの成功事例をご紹介します。

1.チャットボットの回答・関連ワードの細かなメンテナンスで満足度70%超え

ある物流企業グループは、本社部門などに寄せられる社内問い合わせ対応に多くの工数が割かれていたため、チャットボットを導入しました。想定される質問への回答内容や関連ワードなどの改善・適正化を、繰り返し実施したことで回答精度が向上し、73%の高い満足度を実現しました。また運用開始から3ヶ月で、想定以上の平均月1,600件の高頻度の利用を達成しています。
【関連事例】社内システムの問い合わせ時間を半減し、満足度70%超を実現。

2.質問が集中する分野のQAをその場で反映。有効なタッチポイントとして機能

あるIT企業は、採用ブランディング強化にチャットボットを導入しました。目的は、知名度向上や自社の良さを知ってもらうために学生とのタッチポイントを増やすためと、採用担当者の業務量削減のためです。導入後も、学生と直接話す機会があれば、その場で新たに出てきた質問をチャットボットに加えるなどして、随時、質問が集中する分野のQ&Aを拡充させていきました。結果、昨年と比較して、学生の反応が良好になり、学生が直接面談では聞きづらい問い合わせをキャッチアップできました。また直接のコミュニケーションが苦手な学生にも有効なタッチポイントとして機能しています。
【関連事例】採用ブランディング強化に挑戦。学生との新たなタッチポイントに。

3.EC経由のお客様対応をチャットボットで吸収し、対応工数を半減

ECサイトで商品を販売するある会社は、一般消費者からの電話やお問い合わせフォームからの問い合わせをチャットボットで吸収するために導入。過去にあった問い合わせをピックアップし、頻出する問い合わせに対して、チャットボット上でどのような単語に紐付けるかを検討し、消費者の意図した返答を作成しました。
結果、問い合わせを半減させることができ、減った問い合わせ対応工数を取引先との関係強化などに費やすことができるようになりました。
【関連事例】業務集中の課題をチャットボットで解決。一般消費者の方からの問い合わせ50%削減。 【関連コラム】チャットボットの導入事例16選!業界別の事例もご紹介

6. まとめ

チャットボットを導入しても、失敗するケースはあります。しかし、ポイントを押さえて準備し、適切にメンテナンスを行うことで成果につなげることは可能です。ぜひ成果を見越したチャットボット導入を検討しましょう。

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