PDCAサイクルをもう一度考える
最終更新日:2023-04-19
 

PDCAとは「Plan(計画)、Do(実行)、Check(振返り)、Action(改善)」という頭文字をとった言葉で、仮説・検証のサイクルを回し続けることで目標達成・生産性向上を目指す業務改善手法の一つです。

 

 もともとPDCAは、品質管理において高品質を維持するために提唱されたフレームワークですが、日本では特にビジネスの現場でひんぱんに用いられます。
 経営者だけでなく、多くのビジネスマンもPDCAという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

PDCAとは

Plan:計画する

 「Plan」とは、目標を設定し、業務計画を作成すること。
あるいは解決したい問題を見つけて、これに対する理解を深め、解決策を立てる段階を指します。

 

Do:実行する

「Do」とは、「Plan」の段階で立てた計画を実行すること。
あるいは「Plan」で作成した問題解決のための方法を試す段階を指します。

 

Check:評価・検証する

「Check」とは、計画に沿って実行できたかどうかを評価すること。あるいは試した解決策の結果をPlan(計画)のときの予想と比較して評価することを指します。

 

Act:改善する

「Act」とは、実施結果を検討し、計画に沿っていない部分を調べて改善を行うこと。

 

「Act」の段階が終了し、改善した時点をベースラインにして、次のPDCAサイクルにより、さらに良い解決策を探し続けていくというものです。

 

 世の中の経営者の皆さんは、大なり小なり次のような悩みを抱えています。

 
    • 同じミスが繰り返し起こる
    • 社員が「言われたこと」しかやらない
    • 仕事に無駄な部分が多い
    • 生産性が上がらない
    • 決めたことが継続されない
 

こうした課題の解決策として、PDCAが注目されるようになりました。

 

PDCAのメリット

目標を立て、実行計画を決めるので無駄がなくなる

 「Plan」で目標を明確に設定し、「Do」で実行していくため、やるべきことが明確になり、無駄な仕事がなくなります。

 

検証が行われるため、さらに改善すべき点が見つかる

 やりっ放しではなく、実際に効果があったのかを検証するため、さらに改善すべき点が明らかになります。

 

継続性がある

 一度で終わるのではなく、改善が次の計画につながり、継続的に成長していくことができます。変化し続ける社会の中で変化に対応することも可能となります。

 

いま一つ、PDCAがうまく回らない原因

 会社の抱える課題、PDCAの利点などを目にすれば、これが仕事の基本であることは容易に理解できます。これほどの効果があるなら「わが社でも」と考える経営者の方は多いでしょう。

 

 しかし、実際に始めてみるとなかなかうまく回らない、定着しない、結果が出ない会社が多いのもまた事実のようです。なぜPDCAがうまく回っていかないのか。これには、次のような理由が指摘されています。

 

結局何をすればよいのかが分からない

 「Do」の段階で起こりがちなのですが、せっかく良い「Plan」があっても、それを行動に移す際に、具体性が足りず、結局何をすればよいのかが分からないというケースです。あるいは文書化、マニュアル化されておらず、内容が忘れられてしまう、というケースもあります。

 

「Plan」があいまい

 目標を設定しないまま「Do」が行われているケースです。懸命に努力はしているものの、目標の数値も分からず、ひたすら頑張る。結構多くの会社で陥りやすいケースといわれています。ゴールがなければゴールにたどり着くことはできませんし、そもそも結果を評価するタイミングさえあいまいになってしまいます。

 

期日が決められていない

 やることは明確なのですが、「いつまで」という部分が抜けていて、結局、目の前の作業に忙殺されてしまう、というケースです。

 

「Do」の力がない

 素晴らしい「Plan」はあるものの、そもそも実行する力がない。小さな会社で良く起こる失敗のケースといわれています。

 

「Check」が行われていない

 計画(Plan)を実行(Do)はしたものの、結果、効果を確認する「Check」がない場合があります。つまり「やりっ放し」というケースです。これでは、振り返りや反省がないため、同じやり方の繰り返しにおち入り、改善に結びつきません。

 

変化を望まない人がいる

 とにかく現状維持、昔からのやり方を変えることに強い抵抗感を持つ人はどの会社にも存在します。特に工場などの現場で「職人」といわれるようなベテランにその傾向が強いともいわれています。

 
 
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PDCAを成功させるには

 PDCAを成功させるためには、上に挙げたような「失敗」の要因をつぶしていくことが必要です。各段階での失敗要素の排除はもちろんですが、もし改善を望まない人がいるとしたら、まずその意識改革から始める必要もあります。
 そう考えれば、PDCAサイクルを実現させることは経営者にとって大きな決意と忍耐が必要なモノともいえるでしょう。
 その上でPDCAを円滑に回転させていくためのポイントとして、各段階において次のことが挙げられます。

 

Plan:計画する段階では

 「Plan」を立てるときは、実現できそうな目標を数値で設定し、期日の設定もきちんと行うことですそして顧客データなどを元に、具体的な方法を考えていきます。

 

Do:実行する段階では

 「Do」では、計画がスケジュール通りに進んでいるのか、進捗状況を定期的に報告させるようにします。進捗状況を定期的に確認すれば、スケジュールに沿った進行・修正が可能です。

 

Check:評価・検証する段階では

 「Check」評価は客観的に行う必要があります。基準となるのは、「Plan」の際に決めた目標です。ですから、目標の数値や期間などは「Plan」の段階で具体的に設定する必要があります。数字で表すことで誰の目にも分かりやすく、評価もしやすくなります。

 

Act:改善する段階では

 「Act」案を出すときには、今回の取り組みで足りなかった点を挙げ、すぐに再計画を立てられる形に落とし込む必要があります。改善案が複数ある場合は、優先順位をつけたうえで順番に実行していきます。優先順位は重要度の大きさによりますが、改善のための時間も重要です。あまり時間がかかる改善を優先的に行うと、PDCAのサイクルが滞ってしまう場合もあるので注意が必要です。