新型コロナウィルスの流行により、「テレワーク」という働き方が一気に加速しました。また、近年多発している自然災害の発生時にも、事業継続のためにテレワーク環境を整えておくことが企業にとって重要だと言われています。
デスクワークが中心の経理部門は、一見テレワークに移行しやすいように見えますが、実は最もハードルが高いのが現状です。
その大きな理由は、
- 紙の請求書の作成、押印、発送
- 紙の請求書の受け取り
- 取引先への振り込み
- 決算への対応
などが挙げられます。
また、テレワークを阻む環境として、
・機密情報が多く、セキュリティ対策の関係から自宅では作業ができない
という面もあります。
しかし、こうした課題にもかかわらず、経理部門のテレワーク化には大きな利点があります。
テレワーク導入のメリット
事業継続性の確保
オフィスに出社できない緊急時でも業務を遂行することが可能になります。
人材確保
テレワークによって、在宅勤務が可能になると、変化するワークライフにも柔軟に対応した勤務となります。
例えば、妊娠や育児、家族の転勤や病気、介護など、様々な家族関係や役割の変化に対しても、テレワークによって、経験の長い、有能な従業員を継続して雇用することができるのです。
ワークライフバランスの推進
テレワークは通勤時間の削減につながるため、家族と過ごす時間や、プライベートにあてる時間が充実する効果もあり、従業員の満足度も向上します。
オフィスにかかるコスト削減
テレワークを実現することで、従業員の交通費や、オフィススペースの費用を削減できます。また書類の電子化が進み、印刷費のコスト削減や紙書類の保存や管理のためにかかっていた時間や書庫スペースの費用も削減することができます。
テレワーク導入のデメリット
テレワークの導入に際しては、デメリットも考えられます。
データの紛失・情報流出の危険性
社外での作業にノートPCやタブレットを利用することになるため、情報の流出や、端末や記録媒体の紛失・盗難などの危険にさらされやすくなります。
そのため、テレワークに適したセキュリティ対策を従業員に徹底する必要があります。
環境の整備コストがかかる
作業をテレワークに移行していくためには、従業員のノートパソコンの発注管理や、従業員の自宅の通信環境の整備のほかに作業に適した机・椅子などの什器など、新たなコストが発生します。
テレワークを実現する方法
ペーパーレス化の実現
テレワーク化を進めるにあたってまずやらなければならないのが、請求書や領収書等、紙書類の電子化、つまりペーパーレス化です。その前提となるのが、データを電子情報の形で保存し処理できる経理作業の電子化です。そのためには電子帳簿保存法に則った申請が必要ですが、これをクリアし、システムを整えることで電子化が実現し、テレワーク化への最初の環境も整います。
会社全体の業務フローの見直し
書類の電子化に際しては、経理のみならず会社全体で業務フローを見直すことが必要です。例えば、書類の送付の電子化の徹底などもその一つでしょう。
また、顧客や外注先などへの協力の依頼も必要となります。新型コロナウイルスの流行の中、打ち合わせ等もリモート会議化が一気に進んだように、現在は制度を切り替えやすい状況にあるといえるでしょう。
クラウドサービスを活用する
紙の請求書を必要とする取引先などには、請求書の発送を代行するサービスが存在します。MakeLeaps(メイクリープス)はその代表的なサービスの一つ。毎月の請求書の発送などを、請求書の作成から封入、発送まで代行してくれます。
テレワークと出社のハイブリット型で導入してみる
いきなりすべての作業をテレワーク化するというのはハードルが高いかもしれません。テレワークで可能な作業は家で、出社が必要なものは会社でといった形のハイブリットなスタイルで、少しずつテレワークの範囲を広げていくのもお勧めの方法です。