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チャットボットを活用したマーケティング成功事例

 
BtoB企業でも、チャットボットの活用によりマーケティング成果を創出している事例が多数あるのです。

更新日:2019.10.01

チャットボットを活用したマーケティング成功事例

BtoB企業のWebサイトを見ていると、画面右下あたりに「こんにちは!」とか「お困りのことはないですか?」などのチャット画面が現れることがありますよね。最近はカスタマーサービスやコンタクトセンター、コールセンターの代わりとしてだけでなく、マーケティングでも導入効果を期待しチャットボットを活用する企業が増えてきました。
 
「確かにチャットボットは人件費削減や業務効率化には効果的だろうけど、マーケティングには使えないのでは?」と疑問視される方も多いことでしょう。でも、ご安心ください。BtoB企業でも、チャットボットの導入効果によりマーケティング成果を創出している事例が多数あるのです。

チャットボットにはルールベース型と機械学習型がある

実はチャットボットには「ルールベース型」と「機械学習型」の大きく2種類が存在します。「ルールベース型」は事前に人間が設定したルールやシナリオ通りに応答をします。逆に言えば決めた言葉以外ではチャットしません。一方「機械学習型」は統計的に正しいであろう回答をAIが考えて、ユーザーとチャットします。AIは学習をするため、使えば使うほど情報を蓄積し、かしこくなっていき、より正しい回答ができるようになります。もしチャットボットの導入を検討している企業があれば、その目的や用途により、どちらの型を導入すべきかを検討されると良いでしょう。
 

ルールベース型のチャットボット導入成功事例

ルールベース型のチャットボットは「多くの人から何度も同じような質問をされる企業」に適していると言えます。例えば、「Aという商品の重さはどれくらいですか?」という問い合わせが多い場合には、知りたいこと>商品>重さ>Aという順番でお客様を誘導できるシナリオを組んでおけば、チャットボットがお客様に「Aは920グラムです」という的確な回答をしてくれます。



 
ルールベース型チャットボットは、質問に対する回答やシナリオを事前に登録しますので、知りたい情報が比較的明確な質問への対応に適しています。人ではなく機械が返答を行うため、人件費削減には大いに貢献するでしょう。
 
導入成功事例としては、損害保険会社の法人専門部署がオペレータの人員が少なくなる夜間~深夜時間帯において、自動車保険の見積もり依頼や相談にチャットボットで対応したものが挙げられます。保険に関する質問はほぼ事前に推察できるため、ルールベース型チャットボットの導入により人件費削減、お客様満足度向上、保険契約数増などのメリットを得ています。
 

機械学習型のチャットボット導入成功事例

機械学習型のチャットボットは、「顧客接点を増やしたい企業」に適しています。特にBtoB領域では、何か知りたいことが出てきても「しつこく営業をかけられたら嫌だ。」という思いからお客様はなかなか問い合わせや資料請求をしてくれません
 
チャットボットならば、お客様は個人情報をさらさずに自分の知りたい情報に関する質問をして、リアルタイムに企業から回答を得ることができるため、気軽に質問をしてくれるようになります。
 
機械学習型はルールベース型と違い、お客様が入力された内容を基に、以下のステップで正しい回答をAIが算出します。
ステップ1:お客様が入力した内容を形態素解析という自然言語処理で理解する
ステップ2:お客様の質問の意図や聞いている内容をこれまでの「経験」に照らして理解する
ステップ3:質問に対する回答の候補を抽出し、一番正しいであろう回答を導き出す

 
ルールベース型は「知りたい情報は次の内のどれですか?」という紋切型のチャットになりがちですが、機械学習型ならば、「お困りのことは何ですか?」という質問をして、お客様が曖昧な答えを返してきても、「それならば、この中に知りたいことはありますか?」など、あたかも人間と会話をしているようなチャットを行うことが可能です。
 
導入成功事例としては、銀行がWebサイト上で商品やサービスに関する質問への初期応対をチャットボットで行うことで、顧客満足度向上と人件費削減の2つを同時に実現している、というものがあります。これは一般客に対するものだけでなく、例えば融資希望の法人が相談に行く際に準備しておくべき書類に関してチャットボットで案内をする、ということなども行っています。
 
この場合も機械学習型ならば「融資相談時に持参すべき書類は?」という質問と「融資相談のために準備するものは?」という質問は同じことを聞こうとしているのだなと判断し、同一の回答をすることができます。
 
金融機関にとって、優良な融資先を新規開拓することは非常に重要なマーケティング業務です。他行は15時以降には窓口で質問ができないのに対して、チャットボットを導入している銀行はたとえ夜中でもお客様からの質問に答えられるため、非常に大きな差別化要因となり、融資先開拓につながるのです。
 

会話内容とMAとの連動によりお客様をより深く理解できる

さらに、チャットボットとMA(Marketing Automation)を組み合わせることで、お客様のことをより深く理解することが可能です。お客様のWeb閲覧履歴をMAで把握するだけでなく、「AとBのページをご覧になったお客様がこの質問をしてこられた場合は、Cについて知りたいはずだ」など、お客様が本当に知りたいことを推察した上で商談を進めていけば、より御社への信頼度は高まることでしょう。
 
MAにより把握できる「お客様の行動データ」とチャットボットによる「会話データ」を組み合わせ、お客様の真意とニーズを把握した上でコミュニケーションを取る。この組み合わせにより、チャットボットはお客様に聞かれたことに関して単純に返答をする「説明担当」ではなく、お客様の課題解決をお手伝いし、ホット化したお客様を見つけ出す「マーケティング担当」になっていくことができるのです。
 

チャットボットの成長のためには「お勉強」が不可欠


ただし、機械学習型のチャットボットは最初に「教師データ」と呼ばれる、お客様からされる質問とそれに対して何をどのように答えるべきかのデータを準備する必要があります。また、正答率を高めるために、どのような質問に対してどのような回答をしたか、その回答内容は適切だったか、といった確認と、チューニングを継続的に行うなどの学習が重要です。
 
最初は少しだけ手がかかるchatbot君ですが、かしこくなるためにお勉強に付き合ってあげさえすれば、24時間文句を言わずにしっかりとお客様対応をしてくれる働き者に成長してくれます。
 
チャットボットの導入を検討されている企業は、ルールベース型か機械学習型のどちらが自社に合っているかを検討したうえでぜひ使ってみてくださいね。
 
>関連サービス:チャットボットサービス「RICOH Chatbot Service」

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