更新日:2020.12.24
コンテンツとは?
「コンテンツ」とは、「中身」や「内容」といった意味を持つ言葉です。コンテンツが指す対象は幅広いですが、インターネットにおけるコンテンツは、「Web上に公開された情報全般」を意味しています。そして、コンテンツをコンテンツマーケティングの文脈で捉えると、対象はより狭いものとなります。大まかな分類は、以下を参考にしてください。
- コンテンツ:情報全般
- インターネットにおけるコンテンツ:Web上に公開された情報全般
- コンテンツマーケティングにおけるコンテンツ:コンテンツマーケティングに活用できる記事・素材等
今回は、広義の意味のコンテンツではなく、「コンテンツマーケティングにおけるコンテンツ」に限定して、各見出しの内容を説明していきます。これからコンテンツマーケティングに取り組むWeb担当者は、コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの種類を把握し、それぞれがどういったシーンに活用されるのかを、学んでおきましょう。
コンテンツの種類
コンテンツマーケティングに活用できるコンテンツには、主に以下の種類があります。
- コラム記事
- 事例紹介記事
- ニュースレター
- プレスリリース
- リサーチ記事
- インフォグラフィック
- 動画
- ウェビナー
- eBook
- ホワイトペーパー
- ランディングページ(LP)
- ポッドキャスト
これらのコンテンツを作成し、公開することで、コンテンツマーケティングにおいて、高い効果が期待できます。コンテンツマーケティングで期待できる効果については、消費者の購買行動モデル「AISCEAS(アイセアス)」に照らし合わせて考えることが必要なため、気になる人は「 コンテンツマーケティングに欠かせないAISCEAS(アイセアス)の法則とは?
」を参考にしてください。
以下の見出しでは、コンテンツの概要や活用シーンについて、解説していきます。
コラム記事
「コラム記事」とは、企業のコーポレートサイトやサービスサイトなどで公開する「コラム」のことを指します。ターゲットキーワードを選定し、ユーザーニーズに沿ったコラム記事を作成していきます。ターゲットキーワードの検索結果画面で上位表示を獲得することで、自社サイトへの自然検索流入を増加させ、コンバージョンアップや自社ブランディングを図ることが目的となります。
とはいえ、コラム記事が上位表示されるのは、一般的に、「アップロード後3カ月を過ぎた頃から」といわれています。もちろん、ターゲットキーワードや、作成したコラム記事の質によって、上位表示を獲得するまでの期間は変動しますが、記事作成直後にサイトへのアクセスが増えることはないため、中長期的な集客施策として捉えられる傾向にあります。
仮に、短期的な集客施策を実施したい場合は、「リスティング広告」の活用がおすすめです。リスティング広告は、公開するリンク元のコンテンツさえあれば、最短即日で利用できるという特徴があります。リスティング広告について知りたい人は「BtoBマーケティングでの非対面の集客方法10選」を参考にしてください。
事例紹介記事
「事例紹介記事」とは、自社サービスの導入事例について、クライアントの許可をいただいた後に、作成・掲載するコンテンツのことです。自社サイトの「導入事例」「実績」といったグローバルメニューの中に、各事例紹介記事を蓄積していくこともあります。
事例紹介記事では、主に以下のストーリーに沿って、見出しが展開されていきます。
- サービス導入のきっかけ(課題)
- サービス導入の詳細(施策内容)
- サービス導入によって得られた効果(導入の効果)
- サービス導入後に見えてきた課題(改善点)
このようなストーリー設計で事例紹介を行うことで、同様の問題を抱えている見込み客に対し、問題解決までの具体的な道筋を示すことが可能となります。
また、事例紹介記事は、クライアントとの関係(社会的な信用)を見込み客に知らせる上で、重要な役割を果たすコンテンツでもあるため、サービス成約(コンバージョン)の決め手ともなり得ます。コンテンツ作成には、上述の「ストーリーラインの箇条書き」「詳細文」の2つがあれば事足りるため、今日からでも作成が可能なコンテンツの一つであるといえます。
ニュースレター
「ニュースレター」とは、企業から顧客に対して、定期的に送付する「メール」や「デジタル資料」のことを指します。商品・サービスの宣伝が目的のダイレクトメールとは異なり、関係構築・好感度アップに重きを置いた施策です。したがって、コンテンツ内容の多くは「お役立ち情報」となり、コラム記事と似たような情報を基に作成していくことになります。
作成するメリットは、コラム記事のようにSEOを意識してコンテンツを作成する必要がないことです。各コンテンツの中でも、比較的自由度の高い施策となるため、「いかに顧客満足度を高められるか」ということに焦点を置いたコンテンツの作成が必要となってきます。
プレスリリース
「プレスリリース」とは、新聞社や報道を行うメディアに対して発表する「自社商品・サービスの新規情報」のことを指します。新規情報という点では、ニュースレターと同じ性格を有するコンテンツですが、各メディアによって広範囲に拡散されるということを踏まえると、記載にする内容に、ある程度の制約が発生します。
基本的に、プレスリリースは自社の活動を公に知らせると同時に、顧客やステークホルダー(利害関係者)との関係を示すコンテンツであるため、商品・サービスのプロモーションとしては、弱い訴求となってしまいます。ただし、「広範囲に周知する」という点では効果を発揮するため、コンテンツマーケティングの一つとして、認識しておく必要があります。
リサーチ記事
「リサーチ記事」とは、自社が独自で調査した内容を、記事化して公開するコンテンツのことを指します。独自で収集した情報を公開するメリットは、主に以下の2つがあります。
- ロイヤルユーザーの獲得
- 被リンク獲得(外部SEO)
リサーチした情報を公開することで、特定分野における専門性を、検索ユーザーに伝えることができます。また、グラフなどを効果的に使用したレポートを作成すれば、専門性の高い第三者メディアから、「参照」「発リンク」されるコンテンツへと成長する可能性があります。
ナチュラルリンク(自然発生したリンク:検索順位の変動を目的とした悪意のあるリンク設置ではない)を獲得することの有効性は、「Google」のリンクプログラム
からも推測できるため、外部SEOの施策としても、効果を発揮するコンテンツだといえます。
インフォグラフィック
「インフォグラフィック」とは、画像の中にテキストを打ち込んで情報化したコンテンツのことを指します。コラム記事の画像などに使用し、当該記事や見出しの理解促進を目的としています。他にも、画像内にテキスト情報を記述することで、検索エンジンの「画像検索」からのサイト流入も、想定することができます。
リサーチ記事と同様に、良質なインフォグラフィックは、第三者サイトに参照される可能性があるため、Webデザイナーなどと協力して、クオリティの高い画像を作成することが重要です。
動画
コンテンツマーケティングにおける「動画」とは、自社のさまざまな情報を、視覚的・聴覚的にユーザーへと伝えるためのコンテンツとなります。見込み客への自社サービス認知を目的とした動画から、ランディングページ(LP)のコンバージョン前の埋め込み動画まで、あらゆる用途で活用されます。
「YouTube」などで自社のチャンネルを持てば、ロイヤルユーザーの獲得はもちろん、潜在顧客との接点を構築することが可能となります。
ウェビナー
「ウェビナー」とは、オンライン上で行われるセミナーのことです。自社商品・サービスの中で、「特に需要が高いテーマ・話題を解説する」といった経緯で行われるケースもあります。反対に、ウェビナーで話した内容を記事化し、「アドレス登録した人向けに限定公開する」といったマーケティング手法も、よく実施されています。
eBook
「eBook」とは、PDFデータなどでダウンロードできる「電子書籍」のことを指しています。コラム記事よりも、あるテーマについて網羅的に情報を記載することができるため、ロイヤルユーザーの獲得が期待できます。プレゼント企画のコンテンツとして活用したり、出品サイトで販売したりする手法が一般的です。
ホワイトペーパー
コンテンツマーケティングにおける「ホワイトペーパー」とは、自社商品やサービスの詳細をデジタルデータとして閲覧できるようにまとめた資料のことです。一般的なコンテンツよりも詳細で、かつ具体性が問われる場合が多く、各分野の専門家や有識者に監修・寄稿してもらう形が一般的となります。
自社サイトでユーザー情報を登録してもらう代わりに「ダウンロード資料」として提供することも多く、見込み客が抱える課題を想定して、ソリューションを提示する正確さを有します。
ランディングページ
「ランディングページ(LP)」とは、ユーザーが自社商品・サービスの成約前に閲覧するページのことを指します。主に、ユーザーの消費行動を促すような文言・コンテンツの作成が求められ、リスティング広告などを活用して、直接コンバージョンに結びつくような施策を展開していきます。(LP)
ポッドキャスト
「ポッドキャスト」とは、音声のみのコンテンツを意味しています。ユーザーにラジオ感覚で、自社商品・サービスを知ってもらうことが、主な目的となります。聴覚情報のみに頼るコンテンツのため、コンバージョンよりは関係構築・好感度アップに重きを置いたコンテンツであると、捉えることができます。
コンテンツマーケティングに欠かせないAISCEAS(アイセアス)の法則とは?
ここまでは、「コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは何か」ということを説明してきました。ここからは、コンテンツマーケティングの戦略設計を行う上で欠かせない購買決定プロセス「AISCEAS(アイセアス)の法則」について解説していきます。「AISCEASの法則」を形成する各行動段階は、以下の通りです。
- Attention:注意
- Interest:興味
- Search:検索
- Comparison:比較
- Examination:検討
- Action:購買
- Share:共有
スマートフォンの普及で、個人のインターネット利用率が急激に向上しましたが、それに伴って、従来の「マスマーケティング」に用いられた「AIDMA(アイドマ)の法則」では、ユーザーの購買決定プロセスを正確に追うことができなくなりました。そこで登場したモデルが「AISCEASの法則」です。
AISCEASの法則では、ユーザーが自社商品・サービスを認知してから、実際の購買行動に移るまでの「比較検討段階」が追加されています。インターネット検索が当たり前となった現代において、一つの購買行動を決定するまでに、ユーザーはいくつもの比較と検討を重ねるようになりましたが、AISCEASの法則は、こうしたユーザーの購買決定プロセスの変化を上手く捉えているモデルだといえます。
コンテンツマーケティングを成功させるには、実施する施策が「どの行動段階に属するユーザーに訴求するものなのか」ということを、把握している必要があります。効果的にユーザーへ訴求するためにも、AISCEASの法則の理解は、必須といえるでしょう。
認知段階
AISCEASの法則の認知段階では、以下の2つの行動段階が想定されています。
- Attention:注意
- Interest:関心
ユーザーは、自社商品・サービスを認知した後に、興味を抱くかどうかのプロセスを経てきています。視認した後、興味を持って検索行動に遷移するかどうかは、認知段階で実施する施策の影響を、強く受けるでしょう。施策の代表格は、「テレビ広告」「Web広告」といった各種広告で、いかにターゲットユーザーの視認率を高めるかということが、重要な指標となります。
比較検討段階
AISCEASの法則の比較検討段階では、以下の3つの行動段階が想定されています。
- Search:検索
- Comparison:比較
- Examination:検討
認知段階を経たユーザーは、自ら情報を探すようになります。受動的だった行動段階から、能動的な行動段階に移行する重要なフェーズともいえます。検索行動に入るということは、検索エンジンに表示される「コラム記事」や「動画」といったコンテンツから、自社サイトへユーザーが流入してくる可能性が想定されます。
他にも、検索結果と連動して表示される「リスティング広告」や、社名・サービス名の直接入力などに起因する「企業サイト」からの流入も考えられます。比較検討段階では、「ユーザーが比較・検討したい」と考えていることを忘れず、情報の網羅性・二面性を意識したコンテンツの作成が、ポイントとなってきます。
行動段階
AISCEASの法則の「行動段階」では、以下の2つが想定されています。
- Action:購買
- Share:共有
認知段階・比較検討段階を経たユーザーは、ようやく「購買行動」となる行動段階へと移行します。ポイントは、購買行動の後に「共有行動」が設定されているという点です。インターネットが普及した現在では、ユーザーの声や投稿といった「UGC(ユーザー投稿型コンテンツ)」が、消費者の購買行動を決定付けるということが分かっています。
行動段階に入ったユーザーが、さらに自社のファンとなってくれるように、ユーザーが共有(シェア)しやすい環境を、あらかじめ構築しておくことが重要となります。具体的な施策としては、各種SNSでアカウントを作成・運用したり、自社サイトで「お客様の声」を紹介したりすることが挙げられます。
コンテンツマーケティングのプロセス
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツ、考え方について知った後は、実際の運用プロセスについて、学んでいきましょう。大まかな「プロセス」は、以下の2つに分かれます。
- カスタマージャーニーマップの作成
- コンテンツを公開する媒体の選定
「カスタマージャーニーマップ」とは、ユーザーがサービスを認知し、購買に至るまでの流れを「行動」「思考」「感情」の3つの段階で分類したマップのことです。「認知~購買プロセス」を横軸で設定し、各行動段階に伴うユーザーの状態を詳細に記していきます。
カスタマージャーニーマップを作成できた後は、実際にコンテンツを公開する「媒体」を選ぶ必要があります。それぞれの行動段階に属する、ユーザーに訴求しやすい媒体がいろいろと分かれているため、訴求内容に合わせた最適な媒体を選定することが重要となります。
カスタマージャーニーマップの作成
「カスタマージャーニーマップ」を作成するには、AISCEASの法則を理解している必要があります。ユーザーがどのような購買行動に至っているかを一つのマップ上に示すことで、行動段階ごとのユーザーの感情を把握することが可能となります。
例えば、サービスに興味を抱いたユーザーが、比較検討段階で気分が沈んでしまうと想定される場合、ユーザーの購買モチベーションを下げないための施策を打つ必要があります。単なる憶測や思い込みではなく、ユーザーの購買決定プロセスを基にした感情の変化を捉えることで、より正確性の高い施策を実行できるようになるのです。
また、カスタマージャーニーマップで可視化することによって、コンテンツマーケティングで追うべきユーザー像(ペルソナ)が、チーム内で共有しやすくなります。コンテンツマーケティングで目指すべき場所も、同時に確認できるため、方向性を定める上でも、重要なプロセスであるといえるでしょう。
コンテンツを公開する媒体の選定
カスタマージャーニーマップを作成した後は、「コンテンツを公開する媒体」を選定していきます。コンテンツを公開する媒体は、主に以下の4種類に分類できます。
- ペイドメディア
- オウンドメディア
- アーンドメディア
- マルチメディア
コンテンツを公開する媒体も、AISCEASの法則を基に考えることができます。AISCEASの法則の各種段階に応じて「セグメント」を作成し、それぞれのセグメントへの訴求に適した媒体を選定していきましょう。
ペイドメディア
「ペイドメディア」とは、Web広告を掲載するメディアのことを指します。検索エンジンや動画サイトなどに広告を出稿し、自社商品・サービスの認知拡大・好感度アップを期待することができます。AISCEASの法則の行動段階に当てはめるなら、認知段階のセグメントに効果的な媒体だといえます。
オウンドメディア
「オウンドメディア」とは、自社サイトやサービスサイトのことを指します。自社商品・サービスを認知したユーザーが、追加の情報を求めて訪問したり、比較検討をかねて訪問したりすることが想定されます。コンバージョンに至るまでの顧客を醸成する役割を持つことから、AISCEASの法則における比較検討段階のセグメントへの訴求に効果的な媒体だといえます。
アーンドメディア
「アーンドメディア」とは、信用や評判を獲得するメディアのことを指します。主にSNSがあり、自社アカウントでの投稿や、UGCが見込み客の購買行動に好影響を与えることが想定されています。AISCEASの法則の行動段階に属するセグメントに対して、効果的な訴求ができる媒体だといえます。
マルチメディア
「マルチメディア」とは、上述の3つのメディアに当てはまらない媒体を指します。ユーザーが求めるコンテンツは、必ずしも3つのメディアに当てはまるものではなく、ユーザーニーズに合わせて多様に変化しています。例えば、ウェビナーなどはその一つで、ユーザーニーズを満たすために、最適な媒体として選ばれた結果だともいえます。
まとめ
コンテンツマーケティングでは、常にユーザーの状態を把握しておくことが重要となります。AISCEASの法則を理解して、施策を実行することは大切ですが、それ以上にユーザーが何を求めていて、どのようなソリューションを期待しているのかといったことを把握しようとする姿勢が欠かせません。ユーザーファーストな施策を追求した結果、「3つのメディアに当てはまらないマルチメディアでの施策展開に至った」となることもあります。
今回紹介したコンテンツの種類やAISCEASの法則は、コンテンツマーケティングの現時点における手段であり、考え方であるということを覚えておきましょう。