作成日:2020-08-24
2022年1月1日施行の電子帳簿保存法に対応した、
2022年版『電子帳簿保存法』改正のポイント解説!を公開しています。
令和元年、新しい電子帳簿保存法の改正点のポイントは?
1998年に施行された電子帳簿保存法は、それ以降も世の中の実情に合わせるように法改正が進められてきましが、令和元年となった2019年にも、さらに規制緩和の予定が発表されています。
主な変更点としては、前回ご紹介した期日の延長などのほか、主に次の5点があげられ、さらに電子化が容易な状況となってきました。
[1] 定期的な検査に関する解釈の見直し
[2] 承認を受ける前の重要書類のスキャナ保存が可能に
[3] 承認申請手続の見直し
[4] 適正事務処理要件を満たすことが求められる
[5] 小規模事業者が導入しやすい体制に(2018年の改正)
1 定期的な検査に関する解釈の見直し
電子帳簿保存法では、書類を電子化するにあたって、適正事務処理要件というチェック項目があり、これをきちんと守って処理しているか、定期的な検査が必要とされています。その頻度が2019年の改正で見直されました。
これまで全ての事業所を対象に最低限1年に1回以上となっていましたが、今回、全事業所等の検査をおおむね5年以内に行うこととなり、緩和されました。
そして、適性に処理され書類が電子化された後は、逆に紙の書類は破棄しなくてはなりません。「何かあるといけないので、一応とっておこう!」という「念のため」の行為は、意外なことですが違反となってしまいます。なぜなら、適正処理の後は電子データのほうが正式な原本となるためです。
つまり紙の書類の存在は、原本以外に、同じような原本となりえる(偽物の!)書類が存在していることになってしまうわけです。気持ち的には納得できない面もありますが、これが決まりです。
2 承認を受ける前の重要書類のスキャナ保存が可能に
これまで、承認を受ける前に作成又は受領等をした重要書類、つまり電子化を申請し、導入した以前の書類は、スキャナ保存を行うことができませんでした。
しかしそれでは、昔の書類はいつまでも「邪魔な状態で」規定の期間が訪れるまでそこにあり続けることになります。だったら今までのままで十分、ともなりかねません。
これが今回の改正により変更されました。
スキャナ保存の承認を受けたあとは、過去分の重要書類について、適用届出書を提出し、一定の要件を満たすことで、スキャナ保存をすることが可能となりました。
「重要書類」とは、国税関係書類のうち、国税庁長官が定める資金や物の流れに直結・連動する書類のこと。例えば、領収書や請求書などがこれに該当します。
3 承認申請手続の見直し
手続負担を軽減させる観点から、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の認証を受けた市販のソフトウェアを利用する場合については、承認申請書の記載事項や添付書類を一部省略することが可能となりました。
なお、JIIMAによる確認を受けたソフトウェアについては、国税庁ホームページに掲載される予定です。
4 適正事務処理要件を満たすことが求められる
電子帳簿保存法を適用するには、改ざんが行われないように下記の3項目を守って事務処理が行われるように社内規程を整備する必要があります。
<相互けんせい>
書類のスキャンと記録内容の確認を、それぞれ別の人が行う
<定期的な検査>
事務処理が適正に行われているかを確認するための定期的検査
<再発防止策>
検査によって問題点が生じた場合に、報告と原因の究明、それと改善が行われること
5 小規模事業者が導入しやすい体制に(2018年の改正)
電子帳簿保存法を適用するには、④の適正事務処理要件を満たす事が求められますが、これをしっかりと行っていくためには人員が必要なので、従業員が少ない企業では書類の電子化が困難でした。
しかし、2018年の改正により従業者数が20人以下(サービス業、商業の場合は5人以下)の小規模事業者の特例として、定期的な検査を税理士に委託することができるようになりました。さらに、税理士に委託した場合は、相互けんせいが不要になりました。
ちなみに、2019年の改正案ではさらに、個人事業主は事業開始直後から電子化が可能になりました。
改正前 → 事業開始3カ月前に申請しないと適用されない
改正後 → 事業開始の2日前までに申請すれば開始と同時に電子化OK
これまで税務署への申請は開始予定日の3カ月前とされていたため、4月から電子化したい場合は、前年の12月31日までに申請する必要がありました。
今回の改正では「個人事業主に限り」ではありますが、事業開始日2日以内の申請で電子化が認められることになりました。
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