労働衛生入門~その基本の内容と考え方を知っておきましょう
最終更新日:2021-11-05
 

労働衛生」とは「労働者の健康を維持するために、職場の労働条件や作業環境を改善すること」をいいます。
労働衛生の3管理といわれていており、作業環境管理、作業管理及び健康管理の3管理が基本となります。これに総括管理と労働衛生教育を加え、5管理を基本とする場合もあります。

 

作業環境管理

 

 「作業環境管理」とは、作業環境中の有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理していくことです。
 例えば作業環境中の有機溶剤や粉じんなどの有害因子の状態をしっかり把握して、良好な状態を維持していく必要があります。
 つまり、危険有害物を取り扱っている作業場であれば、その物質の有害性、取扱量、作業場所への発散状況などをきちんと調べて把握し、安全で良好な環境を維持するために必要な措置を講じる必要があります。作業環境中の有害因子の状態を把握するには、作業環境測定が行われます。

 

作業管理

 

 「作業管理」とは、環境を汚染させないような作業方法や、有害要因のばく露や作業負荷を軽減するような作業方法を定めて、それが適切に実施させるように管理することです。
 労働者の作業自体を適切に管理したり、長時間勤務を避けるような労働時間管理や有害物質を取り扱う作業に対する保護具の準備、適切な着用などがこれに該当します。
 

健康管理

 

 「健康管理」とは、働く人々それぞれの健康の状態を、健康診断により直接チェックし、健康の異常を早期に発見したり、その進行や悪化を防止したりする活動です。さらに健康を害してしまった場合には、元の健康状態に回復するための治療や労務環境の改善なども含まれます。
 最近では、労働者の高齢化に伴って健康を保持増進して労働適応能力を向上することまでを含めた健康管理も要求されるようになってきました。 

 

 実際の職場では、健康診断などの活動が身近で容易なため、3管理のうちでも、特に健康管理の比重が重くなる傾向があります。
 しかし、健康を守るという観点から見ると、健康チェックや治療だけでなく、そもそもの健康を害する理由を取り除くことが大切なのは明らかです。つまりこの3管理は密接に関係しています。
 考え方としては「作業環境管理」→「作業管理」→「健康管理」という本来のやるべき順序で考えていく必要があります。

 
 

 例えば、有害物質を取り扱う職場では、「作業環境管理」「作業管理」のような発生源に対する対応が特に重要で、健康管理だけでは対策として不十分です。
 一方、作業環境管理がしやすいオフィスの職場を考えてみると、長時間労働の対策など「作業管理」が不十分だと、いくら健康管理に力を入れても、十分に効果が上がらない可能性があります。
 同じように職場のメンタルヘルス対策においても、職場のストレス状況の改善をせず、健康管理ばかりに重点を置いても不十分なのは明らかです。つまり3管理の考え方を念頭に、常に上流から対策を打っていくという意識が大切になります。