新型コロナの影響で急速に進んだテレワーク。このテレワークのスタイルは新型コロナウィルス感染症の流行が収束した後においても、広く継続されていくとみられています。
ここで課題となってくるのが、総務が行う資産管理。テレワークという新しいスタイルの中で、どのように資産管理を行っていけばよいのでしょう。
会社の資産の種類
まずは整理の意味も含めて、会社の資産にはどのようなものがあるのかを見てみましょう。
会社の資産は大きく分けて「固定資産」と「流動資産」、「繰延資産」の3種類があります。
固定資産
固定資産は、1年以上の長期にわたって保有し、取得価額10万円以上の資産のことをいいます。
この固定資産はさらに次の3つに分類されます。
有形固定資産:土地・建物・車両・各種設備など
無形固定資産:ソフトウェア・特許権・その他の知的財産権など
その他、投資などの資産:出資金・貸付金・投資有価証券など
流動資産
企業の資産の中で、製品や売掛金など1年以内に現金化または費用化できるものを流動資産と言います。現金そのものも、この流動資産にあたります。
繰延資産
すでに支払いが確定もしくは完了している支出のうち、一年以上の長期に渡って企業に利益が出ることを見込める特定の費用を繰延資産と言います。創立費や開業費などがこれに相当し、資産に計上して数年をかけて償却することができます。
今回のコラムのテーマであるテレワークに必要なPCなどの設備やソフトウェアは固定資産にあたります。
各家庭に分散される資産の管理の必要性
テレワークの前は、資産管理の対象となるデスクや椅子、PCやそのほかのIT機器などの有形固定資産は、ほとんどが会社にあり、社内で利用されていました。ソフトウェアもPCとともに社内で使用されていましたし、管理も資産台帳などで一括管理されていました。
現在はコロナ渦のせいで緊急でテレワークが求められるようになったので、会社のPCを自宅に持ち帰り、リビングで作業する人も多いでしょうが、これが本格的なテレワーク時代になったらどのような対応が必要になるのでしょうか。
テレワークが継続され「正式」のものとなった場合、オフィスにおいて働きやすさを提供するのと同じように、自宅作業においても会社側がさまざまな環境、例えば働くための机などを提供する必要も出てくることでしょう。すると、それに従って提供する「資産」も発生し、それが目の前で管理できない、各家庭にある資産という状態になってしまいます。
まさか総務の方が家庭訪問をして会社と同じように管理するというわけにもいきません。社員が家庭などで使用する設備も、PCなどと同様すべてナンバー管理するようなシステムが今後は必要になってくることでしょう。
重要になるIT資産管理
冒頭で紹介した資産の中で、テレワークに関連する資産の対象は基本的に「有形固定資産」と「無形固定資産」に含まれます。
しかし、対象がIT系の資産になると、こうした単純な分類ができないケースが多くなります。例えばPCは、「有形固定資産」ですが、それだけでは使うことができません。「無形固定資産」であるソフトウェアがインストールされて初めて機能します。またこれに伴うライセンス管理もすべてPCを機能させるために必要なもので、それぞれ単独では意味がありません。
つまりこうしたIT機器の場合、「有形固定資産」と「無形固定資産」の一元管理が必要となります。
こうした、家庭に分散されることが考えられるIT機器やこれに付随するソフトウェアやライセンス、つまり「有形固定資産」と「無形固定資産」はもちろんPCだけでなく、下記のようなものがすべて対象となります。
- PC
- PC周辺機器(モニター、キーボード、マウス、外付けハードディスクなど)
- Webカメラ、スピーカー
- OS・ソフトウェア
- 会社支給のスマートフォン・タブレット端末
職場と同じ生産性を保つ環境づくりのために、ブロードバンド回線の契約や費用、光熱費などもかかってきます。
- ブロードバンド回線契約
- Wi-Fiルーター
- オフィス電話やFAXなど
こうしたIT関連の有形、無形の資産を管理するためには、その管理方法自体もIT化する必要があるでしょう。
現在、こうしたテレワーク時代を前提とした資産管理のサービスも出ています。事業継続のために、今のうちに検討しておく必要があるでしょう。