代表者印と会社印の違いを知ろう
最終更新日:2023-04-19

 企業では、3つの種類の印鑑が存在しています。これらは代表者印、会社印(社判、角印などと呼ばれるもの)、そして銀行印の3点です。
 代表者印と会社印は、印が押されることで会社が正式に認めた書類となる印象があるため、同じような役割なのではと誤解されるケースもあるようです。しかし代表者印と会社印は、意味合いが全く異なる存在です。

 

代表社印(丸印)とは

 企業が所有する印鑑の中で、最も重要なものがこの「代表者印」です。「丸印」と呼ばれることもあります。代表者印にはどのような役割があり、どんなときに必要になる印鑑なのでしょうか。
 代表者印は、経営者が会社の代表者として対外的に使用する印鑑です。この印鑑は、会社を設立した際に法務局に登録されていて、すべての企業に存在します。個人の場合、もっとも大切な印鑑として実印がありますが、代表社印は「会社の実印」といえるものです。
 ほとんどの会社が丸い印影の印鑑を作成して登録することから「丸印」と呼ばれることもあります。デザイン的には2重の円になっていることが多く、外枠には「〇〇株式会社」のように社名が配され、内枠には役職名(株式会社であれば「代表取締役印」、合同会社であれば「代表社員之印」という言葉が記されています。
 代表者印が使用されるケースは「各種契約書」「登記申請書」「委任状」「官公庁への入札に関する届出書類」など、いずれも企業にとって非常に重要な場面ばかりです。

 

会社印(角印)とは

 会社印(角印)とは、自社の日常業務の中で頻繁に使用される印鑑です。代表者印が丸い形状が多いのに対し、会社印は角型のデザインが多いため「角印」と呼ばれています。会社印ですので、「◎◎株式会社」と会社名だけが刻まれています。
 役割は、個人でいうところの認印のようなものです。代表者印と一緒に契約書に押印するケースもありますが、基本は自社発行の見積書や領収書、請求書などに押印するケースが多いです。
 会社印は代表社印のように届け出る必要はありませんので、法的な効力はありませんが、会社を象徴する印鑑として利用されています。
 実印のように代表者の意思を表したものではありませんので、契約書など重要書類に会社印だけ押印されている場合は、法的効力を持たないとみなされます。

 
 
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代表社印についての様々な注意点

印鑑の内容

 印鑑内に刻まれる文字、例えば二重丸の内側には通常、「代表取締役印」や「代表者印」を記されることが多いのですが、必ずしも商号と同じ会社名でなくても問題はありません。代表取締役印以外の書き方でも構いません。

 

代表社印の保存

 代表者印は企業にとって最も重要な印鑑です。紛失したり、勝手に使われたりすることがないよう管理しておく必要があります。
 日常業務の中で使用することの多い会社印とは別にしておくことはもちろんですが、悪用されてしまう可能性も考え、銀行印と別の場所に保管しておくようにしましょう。ちなみに代表者印を銀行印として登録することもできますが、紛失や盗難時に影響が大きいため、会社印と銀行印はそれぞれ作成しておくほうが無難です。

 

印鑑カードも大切に保管する

 代表者印を登録すると「印鑑カード」を発行することができます。印鑑カードとは、印鑑証明書の取得に必要なカードです。つまり、代表社印が本物であることを証明する書類の発行に必要なもの。とても重要なものですから、代表者印や銀行印とは別のところに保管していくことがお勧めです。

 

代表社印を紛失した場合

 代表者印の紛失に気がついたら、早急に管轄の法務局に届け出ましょう。
 法務局に「印鑑廃止届」を出すことで、代表者印としての効力がなくなり、法的な効力を伴う、契約などに悪用されるケースを防ぐことができます。
 その上で早急に新しい代表者印を作成し、法務局で再登録を実施しましょう。

 

印鑑カードのみを紛失した場合

 代表者印を法務局に持参し、印鑑カードの廃止手続きと、新たな印鑑カードの交付申請手続きを行いましょう。

 

法人の代表者の変更があった場合

 代表者印には個人名は記されていません。そのため代表者が変更になっても代表者印の変更は必要ありません。
 ただし、法人名が変更になった場合は、商号の変更登記を申請する必要があり、新しい社名の入った代表社印の作成、登録が必要となります。

 

会社印(角印)は複数作っても構わない

 会社印は小さな会社であれば一つでも事足りますが、地方に支社があるような大企業や、複数の部署が分散している場合、一つでは業務に支障が出てしまうため、会社印(角印)は複数作成が可能です。
 会社印(角印)は認印として利用されているものですが、書類に押されていれば社外に対しては正式な文章であることを認めた印象を与えますので、保管に関しては注意が必要です。