相手の気持ちが変わる、会社の中での言葉遣い
最終更新日:2023-04-19

 総務の大切な仕事の一つに、会社の仕事全体が円滑に運営されることを支えるという部分があります。
 なかでも人間関係は、会社の雰囲気に大きく影響します。
特に言葉のやり取り。言葉のやり取りの本当にちょっとしたことで、人間関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。
 それとは逆に、気遣いの一言で劇的に人間関係が良くなることもあります。
 今回は、場面ごとに言葉の使い方を考えていくことにしましょう。

 

物事を依頼する場面で

 「○○をお願いします」という言葉遣いをついしてしまいがちです。これは仕事なんだから、お願いの形をとった「依頼」という意識で会話をしていると、つい「業務的」な言い回しになりがちです。
 まずは「相手に気持ちよく作業していただく」という意識を持つようにしましょう。

 

あくまで謙虚に依頼する

 気持ちよく動いてもらうためには、依頼する相手が後輩であっても「お願いをする」という謙虚な姿勢であることが大切です。自分が物事を依頼することで、相手は時間と労力を使うことになります。
 仕事といえども、頼みごとをするという意識は社会人、人として持っておく必要があります。こうした意識を持っていれば、依頼に際しても自然に「忙しいところ申しわけないのだけれど」という言葉も出てくるようになります。

 

あなたに頼みたい、という理由をはっきりと伝える

 依頼される側は多くの場合「面倒な仕事はやりたくない」と考えています。さらに言えば「何で他にも人がいるのに自分?」と思っているかもしれません。こうした相手の意識を少しでも変え、気持ちよく作業してもらうためには「あなたに頼みたい」という気持ちも明確に伝えるようにしたいものです。例えば「これはあなたでないとちょっと手に負えない」「この前手伝ってもらった内容がお客様にとても喜ばれた」といった相手を評価する一言を加えることで、聞く側のモチベーションはずいぶんと違ってくるはずです。
 
 人が働く目的は、お金をもらうことだけではありません。その職場で自分が認められること、自分が必要とされているという評価を求めています。物事を依頼するということは、この「認められている」ということを相手に伝える絶好の機会でもあります。「力を持ったあなただから頼んでいる」「あなたの仕事をちゃんと見ています」ということを伝えることも大切なことです。

 

ただ「やって」という依頼はしない

 依頼する際は、「あなたに頼みたい」ということのほかに、なぜ依頼をするのか、その理由をきちんと説明するよう意識しましょう。
 例えば「この期日までに完成させたいので手を貸してほしい」「この部分について手伝って欲しい」といったことを具体的に相手に伝えるようにします。

 

「ありがとう」をきちんと伝える

 仕事を依頼し、それが完了した時には、感謝の気持ち「ありがとう」の言葉を必ず伝えるようにしましょう。
 「すみません」「どうも」ではなく「ありがとう」。ここで必要なのはお詫びではなく、相手をねぎらって「ありがとう」という感謝の気持ちです。
 相手をしっかり見て、相手への評価の気持ちをしっかりこめて「ありがとう」と伝えます。

 
 
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年上の人に依頼をする場合

 近年、会社の中で年上=上司・同僚という構図が崩れつつあります。職場によっては年上の派遣社員に物事を依頼する場面もありますし、社員同士でも年上部下は珍しくありません。もともと上司だった人がシニア、役職定年で部下の立場になるということも普通にあります。こうした時、年下である皆さんは、どのような言葉遣いをすべきなのでしょうか。
 
 最も避けなければならないのは、部下だからといっていきなり横柄な言葉遣いになることです。年上の相手は、派遣の方であろうと、元上司の方であろうと、その言葉遣いだけで非常に不快な思いをしますし、ショックにも感じることでしょう。もちろん仕事を進めていく上でプラスになることは一切ありません。
 
 基本は人生の先輩に対しての敬意を忘れないこと。上司と部下は職場における単なる「役割」にすぎません。この意識に立って、指示系統、依頼を円滑に、ギクシャクさせずに進めていくことが大切です。
 その上で、基本となる次の事柄をしっかり心に留めておきましょう。

 

「尊敬語」で話す

 「ため口」はもちろん禁止です。「さっき言ってたよね」といった言葉を年上相手には決して使わないこと。
「行く」→「伺います、参ります」、「言う」→「おっしゃる」、「休む」→「お休みになる、休まれた」といった言葉遣いがしっかりできるようにしましょう。

 

命令口調は避ける

 仕事の指示であっても、年上の方に向かって「命令口調」で指示、依頼を行うことは避けましょう。「〇〇してください」ではなく「〇〇をお願いできますか」「〇〇していただけますか」という言葉遣いが必要です。これだけで、皆さんが気持ちよく働くことができます。

 

指示・依頼ははっきりと

 年上という意識が強すぎ、丁寧な言葉遣いを意識するあまり、相手への依頼内容が不明確になってしまう場合があります。
 やってほしい作業内容はあくまでもはっきりと伝えましょう。その前段としての敬語、尊敬の気持ちは忘れない、という姿勢であることが大切です。

 

「力を貸していただく」という意識を持つ

 特に年上の方は「頼りにされる」ことを嬉しく思います。年上の方々は人生経験、仕事の経験も豊富です。ですから困った時、あるいは何かを依頼する時も「力を借りる」という意識を持つようにしましょう。
 
 わからないことがあった時、素直に相談するのも良いでしょう。「何か良い方法はないでしょうか」。その一言の相談だけで、年上の部下の方との関係は全く違うものになるはずです。