休日出勤について知っておこう
最終更新日:2023-04-19

 休日出勤が避けられない場合があります。しかし、休日出勤には法的な規則が存在するため、管理する側は制度についてきちんと知っておく必要があります。
 今回は、休日出勤の基本的なルールについてお伝えします。

 

休日の種類

 会社の休日には種類があります。
 休日は、労働基準法35条で義務付けられているもので、従業員には少なくとも1週間に1日の休日を与えるのが原則(週休制)です。この休日は「法定休日」と呼ばれ、必ずしも日曜日である必要はありません。
 週に1日ではなく4週間に4日以上の休日を与える変形休日制を採用している企業もあり、この形も認められています。休日出勤とはこの「法定休日」に出勤することを指します。
 
 週休2日制を採用している企業も多くありますが、「法定休日」以外の休日は「所定休日」と呼ばれます。
 法律で定められた「法定休日」以外に「所定休日」を設定している会社が多いのは、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならないという法律があるためです。
 所定労働時間が8時間の場合、5日勤務すれば法定労働時間の40時間に達してしまいます。週休2日制をとっている企業が多いのは、このような事情が背景にあります。

 企業の休日には、祝日や創立記念日などもあります。これも「法定休日」ではなく「所定休日」です。
 つまり、この日に出勤しても休日出勤にはなりません。ただし、この場合でも週40時間という規則は存在していますので注意が必要です。

 

休日出勤の基本ルール

 次に休日出勤についてですが、原則として、「法定休日」に従業員を働かせることはできません。あくまで例外的に、労使協定を結んで「法定休日」に出勤を命じることができます。
 ただし、その場合であっても残業と同様、休日出勤での労働を強制することはできません。
 会社によっては、休日出勤を拒否したことをマイナス評価の対象とするケースもあるようですが、正当な理由があるために従業員が休日出勤を断ったのであれば、このようなマイナス査定自体が問題になる可能性があります。

 休日出勤に関する労使協定は36協定と言われるもので、これを締結・届出することで休日出勤が可能となります。
休日出勤の回数や時間には法律で定められた制限はありませんが、36協定の上限の範囲内でおこなう必要があり、労働基準法によって36協定の締結・届出によって可能になる時間外労働の上限は月45時間、年360時間と定められています。
 1日に8時間働くとすれば、月に命じることができる休日出勤は、他に時間外労働が発生しなかった場合5回までとなります。6回になってしまうと、8時間×6で48時間。定められた月45時間の上限を超えてしまうためです。

 
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振替休日について

 振替休日とは、休日出勤する休日を別の労働日と予め入れ替えることです。事前に休日を入れ替えておくため、休日出勤した休日は所定労働日として扱われることになり、休日労働の手当を支給する必要がありません。つまり休日に労働が発生しそうな場合には、振替休日を取得させることで人件費を抑えることが可能となります。
 
 この際に混同されがちなのが、振替休日と代休です。
振替休日は、「あらかじめ」休日と定められていた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とする制度です。つまり事後には取得できません。
 これに対し代休とは、休日労働が行われた後に、その代償として他の労働日を休日とする制度です。休日労働は行われた扱いとなります。

 

休日出勤の賃金

 休日労働は、通常賃金の35%以上の割増賃金を支払った場合にのみに可能となります。すなわち、休日労働には35%以上の割増賃金を支払う必要があるということです。
 
 これに対し、「法定休日」ではない「所定休日」に出勤を命じた場合は割増賃金の35%以上にはなりません。ただし、所定休日に働いたことによって週の労働時間が規定の40時間を超えた場合には、時間外労働としての割増賃金(25%以上)を支払うという規則が適用されることになります。