テレワークのコミュニケーション不足はこう解消する
最終更新日:2023-04-19

 コロナ禍の影響で、テレワークが急速に浸透しました。テレワークには、生産性向上など多くのメリットがあります。その一方で課題を感じている会社も多いようです。なかでも多くの会社で指摘されているのがコミュニケーション不足の問題です。

 

 コミュニケーションは、業務を効率的に進める上で欠かすことができません。テレワークの状況下で、社員同士や社外のお客様との対面でのコミュニケーション不足に悩まれている企業は多いのではないでしょうか。
 
 今回はコミュニケーション不足の解決策について考えていきたいと思います。

 

コミュニケーションの種類

 仕事の上での繋がりと、コミュニケーションについて、どのようなものがあるか見ていくことにしましょう。

 
個人間(同僚・先輩・後輩)のコミュニケーション
グループ・部署(上司と部下など)内でのコミュニケーション
他部署とのコミュニケーション
お客様とのコミュニケーション

 
 コミュニケーションが不足することについて、次のような問題が指摘されています。

 
 

コミュニケーション不足が引き起こす問題

 

業務が円滑に進まなくなる

 

 チーム間や、協力会社とのコミュニケーションが不足すると、業務が円滑に進まなくなるケースが考えられます。

十分な情報共有や確認がされにくくなり、トラブルの原因となる
知識、経験が共有されにくくなり、ノウハウの蓄積が減る
経営者の考えが社員に伝わりにくくなり、会社の方向性が見えにくくなる
社外からの情報が共有されにくくなり、重要な事案の対応に遅れを生じるなど、社外からの信頼低下が懸念される
 

人材が定着しにくくなる

 

 コミュニケーション不足は、社員同士の意思疎通がうまくいかず、人間関係が構築しにくくなる可能性を生みます。
 このことで、人間関係に疲れたり、疎外感を感じたり、仕事に集中できないなどの悩みを抱え、辞職してしまうこともめずらしくありません。
 上司への相談も、コミュニケーションができていないと難しいでしょう。その結果、誰にも相談することなく退職ということにつながります。
 

 

隠し事が問題を拡大させる

 

 コミュニケーション不足は、隠し事を容易にする状況を生み出します。信頼関係が希薄になった結果、自分に都合の悪い情報は伝えないということも発生しやすくなります。
 自分に都合の悪いお客様からのクレームを上司や同僚に伝えないと、問題が改善されないのはもちろん、問題を放置したままとなり、のちにより大きな問題に発展してしまう可能性も大きくなります。最悪、重大なコンプライアンス違反につながる事態も考えられます。

 

解決法として考えられること

 

コミュニケーションを制度化する

 テレワークでは、自然発生的なコミュニケーションは生まれにくいものです。テレワークでの会議では、目の前にある仕事の話が中心で、いわゆる「雑談」や「情報交換」といった、お互いの警戒心を薄め、心理的安全性を高めるための会話がしづらい傾向にあります。
 
 特に複数の人間が集まる会議で他のメンバーを待たせた状況では、なおさら世間話は難しいでしょう。しかし、具体的な業務に関する会話以外に実は貴重な情報や発想が存在することも事実です。
 
 そのため、世間話や情報交換を行うための集まりや、コミュニケーションの場を制度化することも一つの方法として考えられます。
 
 例えばチームチャットでランダムに選んだメンバーでオンラインランチ会を開いたり(会社がランチ代を負担)、自由な発言のブレストタイムを作ったり、意図的に「業務」以外で自由に雑談できる機会を増やすことも有効でしょう。

 

上司と部下が気軽にコミュニケーションを取れる場や雰囲気を作る

 ひと昔前は、仕事の後に上司と部下が連れ立って居酒屋に行くといったコミュニケーション(飲みニュケーション)が図られていた時代もありました。今ではこうした風習はほとんどなくなり、テレワーク下では実際に顔を合わすという機会さえ少なくなるという状況になっています。
 
 しかし、上司にとって部下とのコミュニケーションは、先ほどの「会社を辞めてしまう」という事態を防ぐことはもちろん、部下の業務状況や健康状態の把握といったマネジメントを実行する上で、欠かすことのできないものです。
 
 ただ、部下の視点では、自分の考えや悩みを率直に上司に話すという行為は今も昔もなかなか難しいことです。そんな状況を解決するためには、まずは上司から意識的にコミュニケーションをとるようにし、制度として、例えば一週間に一度、15分程度話しをする時間を設けるのも良いでしょう。

 

コミュニケーションを取りやすいインフラを整える

 気軽にコミュニケーションが取れる方法や環境を整えるのも有効です。
 例えば、お客さまから製品についてちょっとした感想やお褒めの言葉をいただいたり、ご意見やご提案をいただいたときなどです。
 こうした小さな情報は、わざわざ上司に連絡したり、チームにメールで伝えるといったレベルではないかもしれません。しかし、こうした情報がきっかけとなり大きな結果や変化を生み出すこともあります。
 
 ですので、こうした情報を気軽に放り込んだり、確認できる場を作っておくのが良いでしょう。どんなに細かいことでも、とにかくそこに「放り込む」ことを習慣づければ、情報の共有は容易になります。例えば社内SNSやチャットルームなどを使うことで、気軽な情報のやり取りも可能となります。
 
 テレワークでのやり取りが定着した現在、コミュニケーション不足はこれからも大きな課題としてあり続けることでしょう。解決のためのさまざまな方法も提唱されていますが、今回ご案内したような、容易にできる方法から実践してみてはいかがでしょうか。

 
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