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強化学習とは?機械学習やFinetuning、追加学習との違いを詳しく解説

現代の人工知能(AI)技術の進化は目覚ましく、特に注目を集めているのが「強化学習(Reinforcement Learning)」です。
本コラムでは、強化学習の基本概念から、関連する技術である機械学習やFinetuning、追加学習との違いまでを詳しく解説します。

強化学習とは

強化学習(Reinforcement Learning)は、AIによる機械学習の一分野であり、エージェント(AI)が環境と相互作用しながら最適な行動を学習する方法です。特徴として、エージェントの目標が試行錯誤して得る報酬を最大化するため、最適な行動戦略を見つけ出すことになっている点です。
この手法は、ゲーム、自動運転技術、金融取引など、さまざまな分野で利用されており、囲碁ではプロに勝利したことで話題にもなりました。

強化学習における基本用語

続いて、強化学習に使用される基本用語をご紹介します。

  1. 1. エージェント(Agent): エージェントとは、環境内で行動を選択し、それに基づいて報酬を受け取る主体(AI)を指します。エージェントは、行動の選択を通じて報酬を最大化することを目指します。
  2. 2. 環境(Environment): エージェントが相互作用する前提条件です。与えられた前提条件の中で行動を起こします。
  3. 3. 状態(State): 環境の現在の状況を表す情報です。エージェントはこの状態を観察し、それに基づいて次の行動を選択します。状態は、環境のすべての情報を含むこともあれば、部分的な情報だけを含むこともあります。
  4. 4. 行動(Action): エージェントが状態に応じて報酬を得るために取るアクションです。
  5. 5. 報酬(Reward): エージェントが行動を取った結果として環境から受け取るフィードバックです。報酬は、エージェントが行動の有効性を評価するための指標となり、エージェントは報酬を最大化することを目指して行動を選択します。
  6. 6. 方策(Policy): 方策は、エージェントがどの状態でどの行動を選択するかを決定する戦略です。方策は、エージェントが学習する過程で更新され、最適な行動を選択できるように進化します。
  7. 7. 価値関数(Value Function): 価値関数は、ある状態または状態-行動ペアの価値を評価する関数です。価値関数は、将来得られる報酬の期待値を表します。価値関数には状態価値関数(V関数)と行動価値関数(Q関数)の2種類があります。

強化学習のアルゴリズム

続いて、強化学習の主要な3つのアルゴリズムについて解説します。
それぞれのアルゴリズムは特徴と適用場面が異なるため、目的に応じて適切なアルゴリズムを選択することが重要になります。

Q学習

Q学習は、強化学習の中でも特に使用されているアルゴリズムの一つです。このアルゴリズムは、エージェントが状態と行動のペアに対する「Q値」を学習することで、最適な行動戦略を見つけ出す方法です。
このQ値は、特定の状態で特定の行動を取ったときに期待される将来の報酬の総和を表します。Q学習の特徴は、オフポリシー型のアルゴリズムであることです。これは、学習中の行動選択方針(ポリシー)と実際の行動選択方針が異なる場合でも学習が行えることを意味します。Q学習は、ゲームの攻略やロボットの経路計画などで広く使用されています。

Sarsa

Sarsaの名前は、状態、行動、報酬、次の状態、次の行動の5つの要素(State, Action, Reward, State, Action)から名前が付けられています。
Q学習と似たアルゴリズムですが、違いはオンポリシー型のアルゴリズムである点です。オンポリシー型とは、エージェントが現在のポリシーに従って行動を選択し、その結果に基づいて学習を行うことを意味します。Sarsaの特徴は、エージェントが実際に採用する行動に基づいてQ値を更新する点です。そのため、Sarsaはエージェントがより安全な行動を学習する場合に適しています。例えば、ロボットの安全な移動経路の学習や、金融取引におけるリスク管理などに使用されています。

モンテカルロ法

モンテカルロ法は、強化学習において報酬の期待値を推定するために使用されるアルゴリズムです。エピソード全体を通じて報酬を記録し、その平均値を基に期待値を更新します。エピソードとは、エージェントが初期状態から、終了状態に達するまでの一連の行動のことを指します。モンテカルロ法の特徴は、エピソード全体を考慮して報酬の影響を評価できる点です。このアルゴリズムは、どんな報酬を得られるか想定できない場合に有効です。例えば、ゲームのプレイログを解析して最適な戦略を見つける際や、マーケティングキャンペーンの効果を評価する際に使用されます。

強化学習と機械学習やFinetuning、追加学習の違い

ここからは、違いについてよく疑問を持たれる「機械学習」、「Finetuning(ファインチューニング)」、「追加学習」について分かりやすく解説します。

機械学習とは

機械学習とは、大量のデータを用いてアルゴリズムが自動的に学習し、パターンを見つけ出す技術です。これにより、予測や分類といったタスクを高精度で行うことが可能になります。機械学習は大きく分けて、教師あり学習、教師なし学習、教師あり・なし学習の3つに分類されます。教師あり学習は、ラベル付きデータを使ってモデルを訓練し、未知のデータに対する予測を行います。教師なし学習は、ラベルのないデータからパターンを見つけ出す手法です。

・学習プロセスの違い

機械学習と強化学習の大きな違いは、学習プロセスにおけるフィードバックの方法です。機械学習では、訓練データセットを使って一度にモデルを訓練し、評価します。一方、強化学習では、エージェントが環境と相互作用しながら、試行錯誤を通じて最適な行動を学習します。

・適用先の違い

機械学習は、画像認識、自然言語処理、予測分析など幅広い分野で利用されています。例えば、スパムフィルタリングや顧客の購買予測などが典型的な応用例です。強化学習は、ゲームプレイ、ロボット制御、自動運転車など、連続的な意思決定が必要なタスクに特に適しています。エージェントが環境と相互作用し、長期的な報酬を最大化するための行動方針を学習するため、複雑な戦略を必要とするタスクに向いています。

Finetuningとは

Finetuning(ファインチューニング)とは、既存の機械学習モデルを特定のタスクやデータセットに適応させるために、追加のトレーニングを行うプロセスを指します。この方法は、特にディープラーニングモデルにおいて有効であり、事前に大規模なデータセットでトレーニングされたモデルをベースに、少量のデータで特定のタスクに最適化することができ、トレーニング時間の短縮やパフォーマンスの向上が期待できます。

・学習プロセスの違い

強化学習では、エージェントが環境と相互作用し、試行錯誤を通じて報酬を最大化するための方針を学習しますが、Finetuningでは、既存のモデルの一部を固定し、新しいデータセットに対して特定の層を再訓練します。これにより、最初からモデルを訓練するよりも効率的に学習が行われます。

・適用先の違い

Finetuningは、画像認識や自然言語処理など、事前に訓練されたモデルを特定のタスクに適用する際に有効です。例えば、一般的な画像認識モデルを特定の病気の診断に特化させる場合などです。強化学習のような、ゲームプレイや自動運転車など、動的な環境での連続的な意思決定が必要なタスクには適用されるケースは少ないです。

追加学習とは

従来の強化学習モデルでは一度学習を終えると、その後の環境変化や新しい情報に対応するのが難しいという課題がありましたが、これを解決するために登場したのが「追加学習」です。
追加学習とは、既存の学習済みモデルに新しいデータや情報を追加して再学習する方法を指します。強化学習では、エージェントが新しい状況に直面した際に、その状況に適した行動を迅速に学ぶことが求められますが、追加学習を適用することでモデルは新しい環境や条件に適応し続けることが可能になりました。

・学習プロセスの違い

強化学習は、試行錯誤を通じて動的な環境での最適な行動を見つけるプロセスなのに対して、追加学習では、新しいデータが追加されるたびにモデルを更新し、過去のデータと新しいデータをバランスよく学習します。

・適用先の違い

追加学習は、データが継続的に増加する状況や、リアルタイムでのデータ処理が必要な場合に適しています。例えば、オンライン広告のクリック予測や、ストリーミングデータの分析などが挙げられます。

それぞれのメリットとデメリット

続いて、各手法のメリットとデメリットを比較してみます。

機械学習のメリットは、大量のデータを用いて高精度なモデルを構築できる点です。しかし、データの質や量に依存するため、データ収集や前処理が重要になります。

Finetuningは効率的で、比較的少ないデータで特定のタスクに対するモデルの性能を向上させることができます。しかし、元のモデルに依存するため、元のモデルが不適切な場合には効果が限定されてしまう点がデメリットです。

追加学習は、既存の知識を活かしつつモデルを更新できるため、継続的な学習が可能です。ただ、過学習のリスクがあり、新しいデータがモデルのバイアスを強化してしまう可能性があります。

強化学習は自律的に学習し、最適な行動を見つけ出す為、柔軟性が高く複雑な問題にも対応可能です。一方で、探索と利用のバランスを取ることが難しく、効率化する前に大量のデータと計算資源を必要とするため学習に時間を有します。

強化学習の具体例をご紹介

最後に、さまざまな分野で応用されている強化学習の具体例を3つご紹介します。

ゲームAI

強化学習の最も有名な応用例の一つが、ゲームへの応用です。Googleの子会社であるDeepMindが開発したAlphaGoは、強化学習を用いて囲碁の方法を学習し、数百万回の対局を自己学習した結果、プロの囲碁棋士に勝利しました。

自動運転技術

近年、自動運転車の開発にも強化学習が利用されています。運転には道路状況や他の車両の動きに応じて適切な行動を選択することが求められますが、強化学習を活用してシミュレーション環境で安全に学習を行い、実際の道路でも適応できるようになってきているようです。
最近では、どれだけ精度を高められるかという段階まできているようで、交通量が多い道路や、幅が狭い状況などでも安全に運転できるような未来が近づいているようです。

金融取引

金融取引の分野でも強化学習は応用されており、株式市場でのトレーディングアルゴリズムの最適化に使用されます。エージェントは、過去の市場データを基に最適な取引戦略を学習し、利益を最大化するための行動を選択することで、リスクを抑えながら利益を追求する取引をサポートしております。

まとめ

本コラムでは、強化学習と機械学習やFinetuning、追加学習の基礎知識からそれぞれの違いについて解説しました。企業においてはこれらの手法を理解し、適切に活用することで、商品・サービスの発展や業務効率の向上も期待できます。今後も進化を続けるAI技術に注目し、導入を検討していきましょう。
また、AI技術の導入の際には、ぜひ長期的な戦略と持続可能な運用を見据えたデータ作成基盤の構築など、万全な体制を整えた上で実施することをおすすめします。

リコーでは、業務改善及び、工数削減に対したAI技術の活用や経営戦略の改善への活用など業務上でのAI活用を幅広くお手伝いします。お困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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