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【機械学習の精度が上がる】データの前処理とは?種類や具体的な方法を解説

データ前処理は、データの品質を向上させ、AIモデルの精度を高めるための基盤作りとなり、AI活用を成功させるための重要なステップです。
多くの企業が膨大なデータを保有していますが、そのデータを効果的に活用するためには、データ前処理を適切に行う必要があります。
本コラムでは、データ前処理の概要から、その必要性、具体的な種類や方法、そして直面する課題について解説していきます。

1.データ前処理とは?

データ前処理は、AI(人工知能)や機械学習モデルがデータをより正確に学習できるようにするための重要なステップです。具体的には、データの欠損値の補完、不適切なデータの除去、データの正規化、特徴量の選択などが含まれます。これらの作業を通じて、データの質を向上させ、モデルのパフォーマンスを最大化することができます。

2.データ前処理はなぜ必要?

データ前処理が必要な理由について以下の2つが挙げられます。

AIの精度向上

AIモデルの精度は、提供されるデータの質に大きく依存します。データ前処理は、データの質を向上させるための一連の手法を指します。具体的には、データのノイズ除去、欠損値の補完、データの正規化などが含まれます。

例えば、ノイズが多いデータをそのままAIに入力すると、モデルは誤ったパターンを学習してしまいます。これにより、予測や分類の精度が低下します。データ前処理を行うことで、ノイズを取り除き、データの一貫性を保つことができます。これにより、AIモデルはより正確なパターンを学習し、高い精度を実現します。

また、欠損値が多いデータもAIモデルの精度を低下させる要因となります。欠損値を適切に補完することで、データの完全性を保ち、モデルの精度を向上させることができます。

AIの学習スピードの向上

データ前処理を適切に行うことで、AIの学習スピードも向上します。例えば、データの正規化を行うことで、異なるスケールのデータを統一し、学習アルゴリズムの収束が早まります。これにより、モデルのトレーニング時間が短縮され、効率的な開発が可能となります。また、重複データの削減を行うことで、モデルの複雑さが軽減され、計算リソースの節約にもつながります。

3.データ前処理の種類と方法

続いて、具体的なAIのデータ前処理の種類と方法について解説します。

データクレンジング

データクレンジングは、データセットの品質を向上させるために、不完全、不正確、または重複したデータを修正または削除するプロセスです。以下に、データクレンジングの主な手法を紹介します。

1.欠損値の削除・補完

データセットにはしばしば欠損値が含まれます。欠損値は、以下の方法で処理することが一般的です。

欠損値の削除

欠損値を含む行または列を削除します。ただし、データ量が大幅に減少する可能性があるため、慎重に行う必要があります。

欠損値の補完

欠損値を他のデータから推測して埋める方法です。平均値、中位数、最頻値を使用することが一般的です。より高度な方法として、機械学習モデルを用いて欠損値を予測することもあります。

2.外れ値・異常値を削除

外れ値や異常値は、データの分布を歪め、モデルの性能を低下させる可能性があります。これらを特定して削除する方法には、主に統計的手法が活用されデータの平均値から±3標準偏差を超えるデータを外れ値と見なし削除します。
また、外れ値を検出するためには、ヒストグラムや箱ひげ図(ボックスプロット)を用いることが多く、これらの可視化ツールを使うことで、データの分布や異常値を視覚的に確認することができます。

3.重複データの削除

重複データは、データの一貫性を損ない、分析結果に悪影響を及ぼす可能性があります。重複データを削除することで、データセットの品質を向上させることができます。

スケーリング

スケーリングは、データの範囲を標準化することで、モデルの学習を効率化し、パフォーマンスを向上させる手法です。以下に代表的なスケーリング方法を紹介します。

1. Min-Maxスケーリング

Min-Maxスケーリングは、データを最小値0から最大値1の範囲にスケーリングする方法です。この方法は、データの最小値と最大値が明確な場合に適しています。

2. Zスコアスケーリング

Zスコアスケーリングは、データを平均0、分散1にスケーリングする方法です。この方法は、大きな外れ値がある場合に適しています。

3. Robustスケーリング

Robustスケーリングは、データの中央値を0、四分位範囲(IQR)を1としてスケーリングする方法です。この手法は、外れ値の影響を受けにくいのが特徴です。

エンコーディング

エンコーディングは、カテゴリ変数を数値に変換することで、機械学習モデルがそれらを理解できるようにする手法です。以下に代表的なエンコーディング方法を紹介します。

1. Label Encoding

Label Encodingは、カテゴリ変数に対して数値を割り当てる方法です。例えば、「赤」「青」「緑」というカテゴリがある場合、それぞれに「0」「1」「2」という数値を割り当てます。この方法は、カテゴリの数が少ない場合に適しています。

2. One-hot Encoding

One-hot Encodingは、カテゴリ変数を0と1の二値に変換する方法です。例えば、「赤」「青」「緑」というカテゴリがある場合、それぞれに対して次のようなベクトルを割り当てます。

赤: [1, 0, 0]
青: [0, 1, 0]
緑: [0, 0, 1]

この方法は、カテゴリの数が多い場合に有効です。

3.Count Encoding

Count Encodingは、カテゴリ変数の出現回数を数値として割り当てる方法です。例えば、「赤」「青」「緑」というカテゴリがあり、それぞれの出現回数が「赤: 10」「青: 5」「緑: 15」であれば、それぞれに「10」「5」「15」という数値を割り当てます。この方法は、カテゴリの出現頻度が分析において重要な場合に適しています。

4.データ前処理を行う際の課題点

続いて、データ前処理を行う際の課題点について解説します。

AIが読めるフォーマットが限定されている

AIは汎用性が高い技術とはいえ、正しい学習を効率よく行うためには適切な形でデータを入力する必要があります。例えば、画像データであれば特定の解像度やフォーマットでなければならないことが多く、テキストデータであれば特定のエンコーディング形式が求められます。これにより、データの形式変換や正規化が必要となり、手間がかかることがあります。適切なフォーマットでデータを準備しないと、AIのモデルが正確に学習できず、結果として精度の低い予測や分析が行われる可能性があります。

時間がかかる

上述の通り、データ前処理は扱うデータによって内容が変わるため、手作業で行うことが多く、非常に時間がかかります。さらにデータのクリーニング、欠損値の処理、異常値の検出など、多くのステップが含まれます。
また、大規模なデータセットでは、手作業での前処理は非常に労力を要するため、効率的なツールや自動化の導入が求められます。

5.まとめ

本コラムでは、データ前処理について詳しく解説してきました。
データ前処理は、AI活用の基盤を築く重要なプロセスです。しかし、データ前処理には時間とリソースが必要であり、適切なツールや専門知識が求められます。
そのため、AIの導入の際には、十分に理解した上で進行していくことをお勧めします。

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