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【超初心者向け】ナレッジグラフとは?オントロジーとの違いや活用例をご紹介

「ナレッジグラフ」とは、情報の関連性を視覚的かつ直感的に理解しやすくするように、データ間の関係性をグラフ構造で表現する技術です。
Googleが検索結果の精度向上のために導入したことでも知られていますが、現在ではさまざまな業界でその応用が広がっています。
本記事では、ナレッジグラフの基本的な概念から、オントロジーとの違い、そして具体的な活用例について詳しく解説します。

1.ナレッジグラフとは?

ナレッジグラフとは、データをエンティティ(実体)とその関係性を基に構造化し、視覚的に表現する技術です。簡単に言えば、情報を「知識」として整理し、人間が理解しやすい形で提供するものです。ナレッジグラフは、Googleが検索結果をより直感的にするために導入した技術としても知られています。

ナレッジグラフの主要な目的は、情報をより直感的に、かつ効率的に検索・利用できるようにすることです。例えば、検索エンジンが「東京タワーの高さ」を尋ねられた場合、単なるテキスト情報ではなく、ナレッジグラフを利用して関連する情報を迅速に提供できます。これにより、ユーザーは必要な情報を短時間で取得できます。

エンティティとは?

エンティティは、ナレッジグラフの基本構成要素であり、特定の事物や概念を指します。具体的には、人、場所、組織、イベントなどがエンティティに該当します。エンティティは固有の属性を持ち、他のエンティティとの関係性を持つことができます。

例えば、「東京タワー」というエンティティは、「高さ」、「所在地」、「建設年」などの属性を持ちます。また、「東京タワー」と「東京」というエンティティ間には「所在地」という関係が存在します。ナレッジグラフは、これらのエンティティと属性、関係性を視覚的に表現することで、情報の検索と利用を容易にします。

2.オントロジーとナレッジグラフの違い

続いて、よく混同されるオントロジーとナレッジグラフの違いについて解説していきます。

オントロジーとは?

オントロジーは、特定の領域における概念や関係性を体系的に表現するためのフレームワークです。オントロジーは、データの意味を明確にし、データ間の関係を定義するために使用されます。オントロジーには以下の3つの主要な構成要素があります。

1.クラス

クラスは、データの中に存在するすべての物事の項目を指します。例えば、「人」や「会社」などがクラスに該当します。

2.関係

関係は、1つまたは複数のクラス間の関係を提供します。例えば、「人」が「会社」に所属しているという関係がこれにあたります。

3.属性

属性は、個々のクラスを記述するために使用されるプロパティを定義します。例えば、「人」の属性として「名前」や「年齢」があります。

オントロジーは、データの構造を明確にし、データ間の関係性を理解するための基盤を提供します。

オントロジーとナレッジグラフの違い

オントロジーとナレッジグラフは密接に関連していますが、異なる役割を果たします。簡単に言えば、オントロジーがデータの「設計図」であるのに対し、ナレッジグラフはその設計図に基づいて構築された「実際のデータベース」です。

具体的には、オントロジーは概念や関係性を定義するための枠組みを提供しますが、ナレッジグラフはその枠組みに基づいて具体的なデータを格納し、クエリを実行するための実際のデータベースです。ナレッジグラフは、オントロジーに定義されたクラス、関係、属性を活用して、データ間の複雑な関係を視覚的に表現します。

例えば、Googleのナレッジグラフは、ウェブ上の情報を整理し、ユーザーが検索する際に関連情報を提供するために使用されています。このナレッジグラフは、オントロジーに基づいて構築されており、ユーザーが検索したキーワードに関連する情報を迅速に提供します。

3.ナレッジグラフの活用例

続いてナレッジグラフの活用例について解説いたします。

Google検索エンジンの「ナレッジパネル」

ナレッジグラフの最も身近な活用例の一つが、Google検索エンジンの「ナレッジパネル」です。Googleはナレッジグラフを活用して、ユーザーが検索したキーワードに関連する情報を一つのパネルにまとめて表示します。例えば、有名な人物や場所、企業などを検索すると、その関連情報が検索結果の右側のパネルに表示されます。

また、ある俳優を検索すると、その俳優の生年月日、映画出演歴、関連する人物などが一目でわかるようになっています。これにより、ユーザーは複数のリンクをクリックする手間を省き、必要な情報をすばやく取得できます。
前述のように、ナレッジパネルは、単なる検索結果のリストではなく、関連性の高い情報を一つの視点から提供することで、ユーザーの検索体験を向上させています。

医療分野での医療知識の管理

医療分野でもナレッジグラフは複数の場面で活用されています。医療知識は膨大かつ複雑であり、医師や研究者が効率的に情報を管理することが求められます。ナレッジグラフを活用することで、医療データを体系的に整理し、診断や治療に役立つ情報を迅速に提供することが可能になります。

例えば、ある病気に関するナレッジグラフを構築することで、その病気の症状、原因、治療法、関連する薬剤などの情報を一元化することができます。これにより、医師は診断時に必要な情報を迅速に取得し、適切な治療法を選択する助けになります。また、研究者は新たな治療法や薬剤の開発においても、関連する知識を効率的に活用することができます。

契約書リスクチェック

企業においてもナレッジグラフは有効なツールとなっています。特に契約書のリスクチェックにおいて、その効果は顕著です。契約書は法的な文書であり、その内容には多くのリスクが潜んでいます。ナレッジグラフを活用することで、契約書の内容を体系的に解析し、潜在的なリスクを迅速に特定することが可能です。

例えば、ナレッジグラフを用いて過去の契約書データを解析し、リスクの高い条項や文言を抽出することができます。これにより、新たな契約書を作成する際に、過去のリスクを回避するための参考情報を提供することができます。また、契約書のレビューにおいても、ナレッジグラフを活用することで、リスクの高い部分を迅速に特定し、修正案を提案することが可能です。

4.まとめ

本記事では、ナレッジグラフについて詳しく解説してきました。
ナレッジグラフは、企業のデータ資産を有効に活用するための重要な技術です。また、AI技術やシステムと組み合わせることで、ナレッジグラフは新たな価値を創出し、ビジネスの競争力を一層高めることが期待できます。
リコーもナレッジグラフとAIを掛け合わせた活用に積極的に取り組んでおり、実際の運用を通じてノウハウを蓄積していますので、これからもお客様と共に取り組み、成長していくことを目指していきます。
リコーはハードウェアの提供だけでなくアプリケーションソフトやコンサルティングの提供など、ソフトウェアの面からもDX化に取り組み、現在はAI開発・活用の最前線にいます。
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