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【初心者向け】クラスタリングとは?手法一覧・活用事例をご紹介

近年、データの増加とともに、情報を効果的に活用する能力が企業の競争力を左右するようになっています。特に、膨大なデータの中から有用な情報を抽出することが求められる中、多くの企業が直面する課題は、どのようにしてデータを適切に分類し、業務やサービスに活かすかという点です。そこで、クラスタリングは、データを自然なグループに分けることで、パターンやトレンドを見つけ出す効果的な解決策となります。
本コラムでは、クラスタリングの基本概念から具体的な手法、そして実際の活用事例までをわかりやすく解説します。

1.クラスタリングとは?

クラスタリングは機械学習の一つであり、「データ間の類似度に基づいてグループ分けしていく手法」を指します。具体的には、膨大なデータセットを分析し、類似した特徴を持つデータポイントをグループ化することで、データの潜在的な構造を明らかにします。この手法は、マーケティング、医療、金融など、さまざまな業界で活用されています。

クラスタリングと分類の違い

クラスタリングと分類は、データ分析において混同されがちな概念ですが、異なる目的と方法を持っています。分類は、あらかじめ学習されたカテゴリーにデータを割り当てる手法であり、ラベル付きデータを用いてモデルを訓練します。一方、クラスタリングはラベルのないデータを扱い、データの特徴を見つけることでグループを分けていきます。
つまり、分類は学習したデータを使用するのに対し、クラスタリングはデータから特徴を学習していく手法になります。

クラスタリングの種類

クラスタリングにはいくつかの手法があり、目的やデータの特性に応じて適切な手法を選択することが重要です。主なクラスタリング手法には、階層的クラスタリングと非階層的クラスタリングがあります。

・階層的クラスタリング

階層的クラスタリングは、似ているデータをグループ化する手法です。クラスタ数を自由にすることができ、データの傾向が把握できない場合でも分析することができます。
また、分析結果が、デンドログラム(樹形図)で表現されるため、視覚的にも理解がしやすいのが特徴です。ただ、大量データを分析するには適しておりません。

・非階層的クラスタリング

非階層的クラスタリングの代表的な手法として、K-meansクラスタリングがあります。これは、データをあらかじめ決めた数のクラスタに分割する手法です。K-meansは、各クラスタの中心を反復的に調整しながら、データポイントを最も近いクラスタに割り当てます。この手法は、大量のデータを迅速に処理するのに適していますが、階層的クラスタリングとは違ってクラスタ数を事前に設定する必要があります。

2.クラスタリングの手法一覧

続いて、クラスタリングの手法について解説します。

階層的クラスタリング

以下にて、代表的な階層的クラスタリング手法を紹介します。

1.群平均法

群平均法は、クラスタ間の距離を求める際に、2つのクラスタを構成するすべてのデータ点の組み合わせの距離を計算し、その平均をクラスタ間の距離とする手法です。この手法は、クラスタの形状に対する柔軟性が高く、ノイズに対しても比較的頑健です。

2.ウォード法

ウォード法は、クラスタ内のデータ点間の平方和を最小化することを目的とした手法です。具体的には、各データ点とクラスタの平均値との差の二乗和を求め、平方和が最も小さくなるようにクラスタを結合していきます。この手法は、均一なサイズのクラスタを生成する傾向があり、クラスタの分散を最小化するため、統計的に安定した結果を得ることができます。

3.最短距離法

最短距離法は、2つのクラスタ間で最も近いデータ点同士の距離をクラスタ間の距離として採用する手法です。この手法は、クラスタがデータの密集した部分を形成するように設計されています。しかし、ノイズや外れ値に敏感であるため、データの前処理が重要です。

4.最長距離法

最長距離法は、クラスタを構成する要素同士のすべての距離の中で最長のものをクラスタ間の距離として採用する手法です。この手法は、クラスタが互いに離れていることを保証するため、クラスタ間の分離を強調します。結果として、クラスタは比較的均一なサイズで生成されることが多いです。

非階層クラスタリング

続いて、代表的な非階層クラスタリング手法を紹介します。

1.k-means法(k平均法)

k-means法は、データをk個のクラスタに分割する手法で、各クラスタの中心を反復的に計算して更新することで、適切なクラスタリングをします。この手法は、計算が高速であり、特に大規模なデータセットに対して有効です。しかし、初期値の選択やクラスタ数の設定に依存するため、結果が不安定になることがあります。

2.混合正規分布

混合正規分布は、データを複数の正規分布の組み合わせとしてモデル化する手法です。この方法は、ソフトクラスタリングと呼ばれ、データポイントが複数のクラスタに属する確率を計算します。混合正規分布の代表的な推定アルゴリズムであるEMアルゴリズムは、データが持つ潜在的な構造を効果的に捉えることができます。

k-means法と混合正規分布の関係

k-means法は、各データ点を一意のクラスタに割り当てる「ハード」なクラスタリング手法であるのに対し、混合正規分布はデータ点が複数のクラスタに属する可能性を考慮する「ソフト」なクラスタリング手法です。しかし、混合正規分布の代表的な推定アルゴリズムであるEMアルゴリズムとk-meansのアルゴリズムは、ある理論的な設定の下では一致することが知られており、本質的には近しい手法とされています。

3.クラスタリングの活用事例

最後に、クラスタリングの活用事例について解説いたします。

食品業界 購買ビッグデータを基にクラスタリングAIを活用

食品業界では、電子レシートから得られる購買データを用いて、食品の市場分析を実施しています。
購買ビッグデータを基にクラスタリングAIを活用することで、消費者の購買特性や似た食品が集まったクラスタを自動で抽出することに成功しています。

クラスタリング活用した小売企業向け分析サービス

クラスタリング技術は、小売企業において顧客の購買パターンを分析し、ターゲットマーケティングを強化するために活用されています。例えば、特定の購買傾向を持つ顧客群を識別し、個別のプロモーションを展開することで、売上向上を図ることが可能です。このような分析サービスは、顧客理解を深め、競争力を高める手段として注目されています。

医療業界 クラスタリングとAI予測分析ツールを用いて天候と頭痛の関係を調査

クラスタリングとAI予測分析ツールを用いて、天候と頭痛の関係が調べられています。膨大な気象データと患者の気圧の変化による体調不良が危惧される時間帯の確認、及び頭痛を記録したデータをクラスタリングすることで、頭痛の発生には気圧の変化と降雨、湿度が関与することが示唆されています。

4.まとめ

本コラムでは、クラスタリングについて詳しく解説してきました。
機械学習を活用したいと考える皆様にとって、クラスタリングはその第一歩として非常に有効な技術です。ぜひクラスタリングを業務やサービス開発に取り入れ、データドリブンなアプローチを実現してください。

また、AIの導入の際には、ぜひ長期的な戦略と持続可能な運用を見据えたデータ作成基盤の構築など、万全な体制を整えた上で実施することをおすすめします。
リコーはAI関連サービスのご提供を通じて、貴社のお手伝いをさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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