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データセットとは?機械学習で使われる種類や作り方、注意点を徹底解説!

高精度なAIモデルの開発が進む中、適切なデータセットの選択と機械学習への活用が重要度を増しています。これからAIモデルの開発やAIツールの作成などを検討している場合、データセットとは何なのか、気になっているのではないでしょうか。

今回は、データセットとはどのようなものか、データセットの種類、データセットを準備する方法や作る手順、データセットを作る際、準備する際の注意点を初心者向けに解説します。

1.データセットとは?

データセットとは、データ分析や機械学習のシーンに利用される、一定の形式に整えられたデータを集めてまとめたものです。主に膨大なデータを収集して解析する際に用いられます。また、AIの機械学習(※1)の対象となる学習データとして利用されています。

※1 機械学習:コンピュータが大量のデータを分析してパターンや規則性を見つけ出し、予測や意思決定の精度を向上させる技術。

例えばAIモデル開発を行う際には、あらかじめ機械学習を行わせるトレーニングを行い、その後のテストにおいても利用します。データセットは正確な分析や予測、データ学習に欠かせない存在です。

機械学習によく使われるデータセットには、画像データセットや動画データセット、テキストデータセットのほか、専門分野のデータセットがあります。専門分野のデータセットには、公共機関によるデータセットや医療データセット、金融データセットなど多様な種類があります。

データセットとデータベースとの違い

データセットが「データの集合体」であると知り、「データベース」との違いはどこにあるのか気になった方もいるのではないでしょうか。

データベースはデータを集約する点ではデータセットと同様ですが、データベースはデータの長期的な保存や複数ユーザーのアクセス、管理などを目的としている点でデータセットと異なります。

データセットの目的はデータ分析や機械学習に役立てられることにあります。

2.質の高いデータセットを活用するメリット

次に考えなければならないのがデータセットの中身です。近年のAI開発では、単に大量のデータを集めるだけでなく、そのデータがいかに正確で網羅的であるかという質が重視されるようになっています。
なぜ、これほどまでにデータの質が求められるのでしょうか。質の高いデータセットを利用することでもたらされる、3つの大きなメリットを解説します。

AIモデルの精度と信頼性の向上

AIの性能は学習させるデータの質に直結します。誤りや偏りのない正確なデータセットを用いることで、実務に耐えうる高精度な予測や判断が可能なAIモデルを構築できます。

開発コストと時間の削減

不適切なデータで学習を進めると、後工程で「精度が出ない」という問題に直面し、データの収集からやり直すことになります。初期段階で質の高いデータを用意することは、結果として開発期間の短縮とコスト抑制につながります。

エッジケースへの対応力強化

網羅性の高いデータセットを活用すれば、発生頻度の低い特殊なケースに対してもAIが正しく反応できるようになり、システムの安全性や堅牢性が高まります。

以上のように、AI開発を成功させるためには、単にデータを集めるだけでなく、ビジネスの目的に対して、いかに高品質で最適なデータを選択・構築するかという戦略的な視点が欠かせません。

3.データセットの種類

機械学習に利用されるデータセットは、次の3つに分類されます。

トレーニングセット

トレーニングセットとは、文字通り、AIモデルのトレーニングに活用するデータセットです。AI開発の際に最初に使われる学習用セットで、AIに目的に応じた基本的な知識を身につけさせるために使用されます。AIはこのトレーニングデータをもとにデータのパターンや特徴を学習します。

トレーニングセットには、アノテーション(※2)と呼ばれるタグ(ラベル)付け作業が行われます。このときのタグ(ラベル)付けは、AIに「正解」だと認識させるためのタグ(ラベル)が付けられます。

※2 アノテーション:AIが機械学習に利用するデータを作る作業。タグ(ラベル)を付けてAIが効率よく学習できるように情報整理し、解釈を明確にする。

バリデーションセット

バリデーションセットとは、検証データのセットです。つまり、AIの性能を評価・検証するために使用するデータセットです。

トレーニングデータを学習させたAIのパラメータを調整するために利用します。AIモデルの性能を左右するパラメータを最適化するのが目的です。バリデーションセットを用いてパラメータを調整することで、AIモデルが最適化され、予測や分析のパフォーマンス向上につながります。

テストセット

テストセットは、最終的なAIモデルの性能を評価するために使用するデータセットです。これまで使われたデータセットとは異なるものを用いることで、AIが正確に予測・分析・生成などができるかをテストします。AIにとっては未知なる初めてのデータセットとなるため、最終試験を受けるイメージとなります。

これらのデータセットを用いてAIモデルが最適化されます。

4.データセットの準備方法

実際にAIモデルを構築する際、まず検討すべきは「いかに効率よく、目的に合致したデータを確保するか」という調達戦略です。データセットの準備方法には、主に次の4つの手段があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、プロジェクトの予算や納期に合わせて最適な方法を選択しましょう。

オープンデータセットを活用する

政府機関、大学、研究機関などが公共の利益や研究促進のために無料で公開している
データセットを活用する方法です。

主な入手先:
Google Dataset Search、Kaggle、政府統計の総合窓口など。

メリット:
コストを抑えて即座にダウンロードでき、プロトタイプ開発や学習の初期段階に最適です。

注意点:
データの形式が特殊だったり、最新性に欠けていたりする場合があります。
また、商用利用の可否を必ず確認する必要があります。

データセットを購入する

データ販売会社が特定の用途に合わせて作成済みのデータセットを購入する方法です。

メリット:
すでにアノテーションが完了しているため、入手後すぐに学習を開始できます。
専門業者が作成しているため、品質が安定しているのが特徴です。

注意点:
汎用的なデータが多いため、自社ビジネス特有のニッチなニーズには合致しない場合があります。

外部パートナーへ外注する

自社で保有している未加工のデータを渡す、あるいは収集段階から専門企業に依頼し、オーダーメイドでデータセットを構築する方法です。

メリット:
自社の課題に特化した高品質なデータセットが手に入ります。大量のデータを短期間で処理したい場合や、内製のリソースが不足している場合に有効です。

注意点:
4つの手段の中で最もコストがかかる傾向にあります。委託先とのコミュニケーションが不十分だと、意図しない精度のデータが納品されるリスクがあります。

自社で作成する

自社で保有する業務データなどを活用し、社内リソースで収集から加工までを完結させる方法です。

メリット:
外部にデータを出さないためセキュリティレベルが高く、独自のノウハウを蓄積できます。また、現場の細かいニュアンスを反映させた精度の高いラベル付けが可能です。

注意点:
膨大な単純作業が発生するため、現場の担当者の負担が大きく、開発スケジュールを圧迫する可能性があります。

このように、データセットの準備にはコストやスピード、機密性の面でそれぞれ異なる特徴があります。プロジェクトのフェーズに合わせて、「初期検証はオープンデータで行い、本番開発では自社データや外注を活用する」といった柔軟な組み合わせを検討することが、効率的なAI開発のポイントです。

5.データセットの作り方

データセットを自社で構築する場合、単にデータを集めるだけでなく、AIが正しく学習できる形に整える品質管理が極めて重要です。ここでは、良質なデータセットを内製するための5つのステップを解説します。

質の高いデータセットを作成するためには、後戻りが発生しないよう計画的なプロセスが求められます。以下の手順に沿って、AIモデルのパフォーマンスを最大化させる土台を築きましょう。

目的の明確化と定義

まずはAIモデルを開発する目的を具体化します。「何を予測・判別したいのか」を定義することで、必要なデータの種類やアノテーションの基準が明確になります。
ここでの定義が曖昧だと、後の工程で集めたデータが使えないといったトラブルの原因になります。

データの収集と選別

目的に基づき、必要なデータを洗い出して収集します。社内システムに蓄積された業務ログや顧客データ、アンケート結果、あるいは現場で撮影した画像・音声などを活用します。この際、学習に悪影響を与える偏ったデータが含まれないよう、多様性を意識して収集するのがポイントです。

アノテーション

収集した生データに対して、AIが学習できるように「正解」のタグを付与します。画像内の物体に名前を付けたり、テキストの意味を分類したりする作業です。作業者間での判断基準のズレを防ぐため、明確なアノテーションルールの作成が欠かせません。

データの加工とクレンジング

コンピュータが効率よく処理できるようにデータを整形します。欠損値の補完や重複データの削除、分析の邪魔になる外れ値の除去などを行います。このクレンジングの徹底が、AIモデルの最終的な精度を大きく左右します。

データの分割

加工したデータは、すべてを学習に使うのではなく、用途に合わせて分割します。

トレーニングセット:
AIの学習に使用

検証セット:
学習途中の精度確認やパラメータ調整に使用

テストセット:
最終的なモデルの性能評価に使用

このように分割して管理することで、未知のデータに対しても正しく反応できる、汎用性の高いAIへと育てることができます。

このようなステップを経て、ようやく実用的なデータセットが完成します。一見すると地道な作業の連続ですが、各工程で丁寧に「質」を追求することが、結果としてAI開発の最短ルートとなります。

自社の課題に特化した独自のデータセットを構築し、ビジネス現場で真に役立つAI活用を実現させてください。

6.データセットを作る・準備する際の注意点

データセットを自社で内製する際や、外部から調達する際に、注意するべきことを見ていきましょう。

データ品質の確保

AIモデルの開発はデータによって行われます。よって、データの品質が直接AIの精度に影響します。そのことを踏まえたうえで、データセットを準備しましょう。そうなると、データセットは高品質であることが必要です。

データセットを準備する方法のうち、最もデータの品質が高く見込めるのは、外注と内製といえるでしょう。外注では専門家が自社の目的に合わせて高品質なデータを大量に収集し、アノテーションや加工を実施してくれるところを選ぶべきです。しかし外注にはコストがかかるという懸念点があります。

内製の場合も精度を高められますが、膨大な量のデータを自社だけで集めるのは現実的ではないでしょう。最適な方法を選び、データセットのデータ品質を確保しましょう。

アノテーションの精度の確保

精度の高いAIモデルの開発を進めるには、正確性や一貫性のある精度の高いアノテーションを行うことが重要です。品質を均一化することも求められるため、内製が難しいこともあるでしょう。その場合は外注が向いています。

著作権への配慮

自社でデータ収集して内製する場合、Webスクレイピングなどで実施すると思われますが、その際、著作権侵害にならないかなど、十分に注意しなければなりません。
またAI開発への利用の承諾を得る必要のあるケースもありますので、注意しましょう。

7.まとめ

データセットは、AIモデルの開発に欠かせないデータの集合体です。データセットは高品質なものほどAIモデルの精度が上がります。注意点を踏まえたうえで、最適なデータセットを準備し、AI開発を進めましょう。

リコーは多岐にわたるAI関連サービスのご提供が可能です。AI導入をご検討の際は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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