最終更新日:2026年8月27日

AIエージェントの作り方徹底ガイド|作成手順や実務で使える活用例をご紹介

AIエージェントは、従来のAIでは実現できなかった複数タスクを自律的にこなすための高度なシステムです。データ分析や意思決定支援、問題解決などあらゆる機能を一貫して実行できる点が特長です。そのAIエージェントは、近年、AI開発ツールの進化発展により、容易に作成できるようになりました。

今回は、AIエージェントの定義から作り方の基本と手順、実務での活用例までを解説します。

AIエージェントとは?

AIエージェントの概要を解説します。

AIエージェントとは?

AIエージェントとは、従来の単機能AIとは異なり、自律的に動作し、複数タスクを高度に組み合わせてこなすことができる、高度なAIシステムの一種です。

ユーザーの目標をもとに、学習済みデータから自ら必要なタスクを洗い出し、複数タスクを連携させ、目標達成のために、自律的な行動を起こします。

生成AI(単一機能)との違い

AIエージェントは、単一機能の生成AIと次の点で異なります。

AIエージェント 生成AI(単一機能)
基本動作 目標達成に必要な複数タスクの連鎖的実行 指示に基づく単一タスクの実行
自律性 高い(自ら判断して行動を決定) 低い(人間の指示が必要)
動作の起点 ユーザーの目標 ユーザーの指示
外部ツールの利用 積極的 なしor限定的
記憶 ターゲットペルソナ・過去の経験などの長期記憶 文脈記憶などの1回ごとの短期記憶

AIエージェントと生成AIの大きな違いは、「複数のタスクを行えるかどうか」と「自律的に判断して目標達成のために行動できるかどうか」の2点です。

またAIエージェントは必要に応じて外部ツールを積極的に利用しながら、長期記憶に基づき、目標達成を実現する点も、生成AIと大きく異なる特徴です。

AIエージェントの仕組み

AIエージェントは、次の4つのコンポーネント(要素・部品)を組み合わせて機能し、自律的に行動します。

・環境:AIエージェントが情報を収集し、意思決定を行う基盤となる、物理的な空間や状況のこと。

・センサー:AIエージェントが環境からデータを収集するためのツール。

・意思決定メカニズム:AIエージェントが収集したデータを基に適切な行動を選択するプロセス。選択時にはさまざまな機械学習のアルゴリズムを使用する。

・アクチュエータ:AIエージェントが意思決定に基づいて具体的な行動を起こすための手段。
例)ロボットタイプ:アームやモーターを動かすアクチュエータを備える。

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AIエージェントとは?生成AIとの違いや特徴、活用例をご紹介
AIエージェントとチャットボットの違いは?それぞれの特徴を徹底比較!

AIエージェントを作成する3つの方法

AIエージェントは、他のAIアプリやシステムと同様に、AIエンジニアが開発するものでしたが、近年はAI開発プラットフォームの充実により、非エンジニアであっても開発できるようになりました。現在、AIエージェントを作成する方法には、次の選択肢があります。

社内AIエンジニアによる内製

社内のAIエンジニアによって内製する方法です。AI開発の専門知識と技術により、Python(パイソン)などのプログラミング言語を利用してフルコードで開発します。ツールを利用することもあります。

AIアプリ開発ツール活用による内製

AIアプリ開発ツールを活用すれば、非エンジニアでもノーコードやローコードで内製できます。

・ノーコードツール:プログラミングコードを打ち込むことなく開発可能なツール。ドラッグ&ドロップやマウス操作のみで操作が完結する。
ツール例)「Dify」「GPTs」

・ローコードツール:プログラミングコードを一部打ち込むことがあるが、限定的なコード記述で開発可能なツール。
ツール例)「Agentforce」「Microsoft Copilot Studio」

外注

外部のAIエージェントを開発できる専門会社に委託する方法です。

AIエージェントを作る前に準備すること

AIエージェントは単体で作動するものではなく、複数の外部システムやツールと連携しながら自律的にタスクをこなします。そのため、開発をスムーズに進めるためには、前もって以下の環境やデータを準備しておく必要があります。

連携する外部ツールやAPIの準備

AIエージェントに「カレンダーへの予定登録」や「ビジネスチャットへの通知」「外部Webサイトでの情報リサーチ」などのアクションを実行させたい場合、連携対象となるツールの選定と、APIキーなどの接続情報の事前準備が必要です。どのツールと連携させてどのようなタスクを自動化したいのか、あらかじめ洗い出しておきましょう。

社内データ・ナレッジベースの整理

AIエージェントに自社固有のルールや専門知識を学習させ、正確な判断や回答を行わせたい場合は、参照元となるデータを準備します。
データが古いままだったり、ファイル形式がバラバラだったりすると、エージェントが誤った情報を参照してしまう原因になります。アップロードする前に、最新の正しいデータにアップデートし、整理・統合しておくことがポイントです。

AIエージェントの作り方をツール別に紹介

AIエージェントを自社で作成する際、どのツールを選ぶかによって必要なスキルやアプローチが異なります。ここでは、ツール別の作り方と向いている用途をご紹介します。

ChatGPTを使ったAIエージェントの作り方

初心者でも取り組みやすい作り方のひとつです。AIに「何を判断させ、どこまで実行させるか」を自然言語で明確に指示することで、特定の役割を持ったエージェントを作成します。
文章作成や情報整理など、ルール化しやすい業務に向いています。一方で、複雑な外部システム連携には制約があるため「人の作業の補助」としての活用が現実的です。

Copilotを使ったAIエージェントの作り方

Microsoft 365環境を利用している企業におすすめの方法です。Microsoft Copilotを使えば、専門知識がなくても、自社のWordやExcel、Teamsなどのデータに基づいたエージェントを画面操作で構築できます。社内文書の作成補助や会議メモの整理など、社内業務向けの用途に向いています。

Geminiを使ったAIエージェントの作り方

Google Workspaceとの連携を前提とする場合に強みを発揮する作り方です。
Googleドキュメントやスプレッドシート、検索機能と組み合わせ、情報収集から要約までを一連の流れとして設計します。
資料調査や社内ナレッジの整理といった用途に向いており、Google環境を日常的に使っている企業にとっては導入の心理的ハードルが低いのが特徴です。

Pythonを使った専門的なAIエージェントの作り方

最も自由度が高い一方で、難易度も高い作成方法です。APIを利用してAIモデルを呼び出し、外部システムと連携するコードを記述してワークフローを制御します。
自社専用システムとの深い統合や、複雑な条件分岐を伴う高度な設計が可能ですが、プログラミング知識と保守運用の体制が必須となります。

ノーコード開発ツールを使ったAIエージェントの作り方

専門的な開発スキルがない担当者でも試しやすい作り方です。Difyなどのツールを使えば、画面上の操作を中心にエージェントの処理の流れを設計できます。
まずは動くものを作って検証するPoCや、手軽に自社データと連携させたい段階に適しています。開発のハードルを下げる一方で、複雑な業務には制限が出ることもあるため、用途に応じた使い分けが重要です。

AIエージェントのツールによる作成手順

AIエージェントをノーコードツールやローコードツールによって作成する手順をご紹介します。

1.目的の明確化
まずAIエージェントを作成する目的を明確にします。AIエージェントは目標を与えることで動作するため、現状課題の解決を背景とした明確な目的を設定することが重要です。例えば、「会議後の議事録作成からメンバーへの共有、タスク登録まで、一連の流れをAIエージェントで自動化し、工数を削減する」といった目的が考えられます。

2.作成方法の選定
AIエージェントを作成する方法を選定します。「内製と外注」、「AIエンジニアによるフルコードとツール利用」、「ノーコードツールとローコードツール」などの選択肢から、適切かつ実現可能なものを選びましょう。

3.外部ツールやデータの準備
外部ツールやデータと連携する場合は、準備しておきます。

4.開発
ノーコードツールとローコードツールのどちらのツールを利用するかによって変わってきますが、主な開発の流れは下記となります。

・AIモデルの設定とデータ連携
AIエージェントに利用するAIモデルを設定し、事前に準備したデータを連携します。

・ワークフローの作成
AIエージェントがタスクを行う一連のフローを定めます。ユーザーがAIエージェントに目標を与えた後、どのように動作するかを決めます。

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ワークフロー型AIエージェントとは?向いているシーンやおすすめのツール5選をご紹介

・プロンプト設計
プロンプトを設計します。プロンプトとは、指示文のことを指します。AIエージェントに具体的にどのようにタスクを実行してもらいたいかの指示文を作ります。このプロンプト設計によってAIエージェントの挙動は大きく変わります。

・データ権限・範囲の設定
準備したデータにAIエージェントがアクセスする際には、「読み取り」「書き込み」「実行」の三段階の権限を持たせるのが基本です。機密性の高いデータへのアクセスは改変や漏洩のリスクがあるため、権限設定は慎重に行います。

5.動作確認・デバッグ
開発が一通り済めば、動作確認をしてテストし、問題があればデバッグを行います。デバッグとはバグ(不具合)の原因を解析することを指します。

6.公開・運用開始
改善を重ね、問題が解決したら、公開して運用を開始します。

7.効果測定・改善
AIエージェントは複雑なタスクをこなすため、初めからすべてが順調にいくとは限りません。効果測定を行い、課題が生じるたびに改善し、ブラッシュアップしていきましょう。

AIエージェントの作成で失敗しないためのコツと注意点

AIエージェントは非常に多機能で優れたシステムですが、導入を成功させるためにはいくつか押さえておくべきポイントがあります。ここではAIエージェントを作成していく上で失敗しないための注意点をご紹介します。

現場のニーズに基づき、まずはシンプルに実装する

開発時には、AIエージェントにただ多様な機能を持たせるのではなく、現場のニーズに合った機能を選んで実装することが大切です。現場で実際に使われなければ意味がなく、いくら多機能でも宝の持ち腐れとなってしまうためです。
まずは解決したい課題に直結する機能のみをシンプルに実装し、運用しながら改善や機能追加などを行う想定で進めることで、手戻りや無駄のない開発が可能になります。

AIエージェントが下した判断のプロセスの見える化をする

AIエージェントは自律的に複数のタスクをこなすため、処理の中身がブラックボックス化しやすい点に注意が必要です。開発の際には「AIエージェントが、なぜその判断を下したのか」のプロセスを見えるように設計することがポイントです。
実行ログを追えるようにする、回答の際に参照したデータを提示させるなどの工夫をしておくことで、問題のある判断が生じた際にも迅速に原因を究明できます。

アクセス権限を限定的に留め、セキュリティリスクを防ぐ

AIエージェントは自律的に社内データや外部ツールへアクセスしてタスクを実行します。
そのため、エージェントに付与する権限はそのタスクの実行に必要な範囲に留めることが鉄則です。意図しないデータの書き換えや情報漏洩を防ぐためにも、開発後のテスト検証を丁寧に行い、セキュリティリスクに配慮した運用設計を行いましょう。

AIエージェントの実務での活用例

実務におけるAIエージェントの活用例をご紹介します。

ECサイトの顧客からの問い合わせ回答と商品提案

この事例では、ECサイトにAIエージェント機能を備えたチャットボットを実装しました。そして顧客からの、商品やECサイト利用にまつわる問い合わせへの回答と共に、顧客の嗜好や購入履歴に基づく商品提案を行う仕組みにしています。ただのQ&Aチャットボットではなく、接客対応を加えることで、顧客により良い体験価値を提供できています。

レポート作成時のリサーチ業務の効率化と負荷の大幅削減

大掛かりなレポート作成の事例です。従来は国内外の論文を横断的に調査し、数十時間かけていたものを、AIエージェントが代替した結果、4分の1の時間に短縮できました。

ユーザーがテーマを入力するだけで、AIエージェントがインターネット上をリサーチし、データ取得と抽出、要約を行う仕組みです。その後、レポートの構成や下書きの作成を行い、ユーザーに提案します。これにより、ユーザーの負荷が大幅に軽減されました。

月次の業績報告書作成の効率化と工数の大幅削減

経理部門における事例です。月次の業績報告書を作成する際、必要な各種データが、システムごとにバラバラの形式で存在していたため、集計や分析に大きな手間と時間がかかっていました。そこでAIエージェントがデータ整形・集計・分析を行う自動化の仕組みを構築した結果、業績報告書の作成工数が約50%削減できました。

新入社員向けの社内ナレッジエージェント

ある企業は、新入社員向けに、社内ナレッジへアクセスできるAIエージェントを開発しました。

この事例では、「RAG」と呼ばれる、「検索機能と生成AIを組み合わせた技術」を用いているのが特徴です。ユーザーが質問を入力すると、RAGが社内ナレッジデータベースを検索して適切な回答を見つけ出し、生成AIに引き渡してユーザーへの回答を作成します。そのため、生成AI単体よりも正確な回答を提供できます。

新入社員は不明点が出次第、AIエージェントに尋ねることで、先輩社員に聞くことなく、自己完結できることが多くなりました。その結果、新入社員の教育が進むと同時に、先輩社員の負荷の軽減にもつながっています。

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AIエージェントの活用で業務効率化が可能な理由とは?具体的な活用例と効率化事例を5つご紹介

まとめ

AIエージェントは自律的に動作し、複数のタスクを連続的にこなせる点が主な特長です。AIエージェントによる業務の自動化は、従来の人による手作業の負荷を大幅に削減する可能性があります。

ツールを用いれば、ノーコードやローコードで作成できますが、それでも負荷が高いという場合には、目的に応じたAIエージェントに近しいツールを選定するのはいかがでしょうか。

リコーの「RICOH デジタルバディ」は社内情報をアップロードするだけで簡単に運用できる生成AIです。複数部門による管理やアクセス制御が可能であるため、環境に合わせて実装できます。

RAGによる社内情報の検索ができるのに加えて、今後はAIエージェントにバージョンアップする予定もあります。“実行型エージェント"として、業務に即した判断や意思決定支援までを担えるように進化します。ご期待ください。

RICOH デジタルバディ

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