顧客満足度を高めるAIサービス~革新的なアプローチで効果を創出

AIのビジネス活用が各所で進んでおり、自社もAIサービスを用いて何かビジネスに革新性をもたらしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。昨今の生成AIの大幅な進化によって「革新」という言葉が決して言い過ぎではなくなってきています。
今回は、「顧客満足度を向上させる」という観点からAIサービスを導入し、ビジネスを革新させるためのアプローチについてご紹介します。

AIサービスと顧客満足度向上の関係性

AIサービスは、顧客満足度を向上させられる見込みがあります。

AIサービスとは?

AIサービスとは、ここではAIを活用したサービス全般を指します。単独でサービス提供するものから、人の介在も含めたサービスまで、さまざまな形のものが存在します。具体的には、AI搭載のチャットボット、アバター接客サービス、顔認証サービス、音声認識・通訳・翻訳サービス、画像認識・解析サービス、異常検知サービス、自然言語処理による文章作成サービスなどが挙げられます。

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顧客満足度とは?

顧客満足度とは、CS「Customer Satisfaction」とも呼ばれ、市場競争が激化しており、消費者や顧客に競合他社よりも自社を選んでもらう必要のある時代において、向上させることが欠かせない指標です。顧客満足度を測るには、商品の購買者やサービスの利用者に対して、商品やサービスに関する満足度をアンケートやインタビューなどで調査するのが一般的です。

AIサービスと顧客満足度との関係性

AIサービスは、顧客満足度の指標に影響すると考えられます。

例えば、直接、顧客に対して接客を含めたサービス提供を行うものとして、チャットボットや顔認証、翻訳がありますが、特にこれらはカスタマーサービスの質を向上させることから、顧客満足度向上につながると考えられます。

そこに関わるAI技術としては、過去のQ&Aデータの機械学習による最適な回答提示や、分析によるレコメンド技術、画像認証技術、自然言語処理技術などが挙げられます。

また、顧客データやWebのアクセスログから行動を予測することにより、最適なサービスを提供・案内するパーソナライズドマーケティングのアプローチも、顧客満足度向上に寄与するでしょう。

顧客満足度向上を目指すAIサービスの例

顧客満足度向上を目指すAIサービスの例としては、次のものが挙げられます。

AIを活用したカスタマーサポートツール

例 チャットボットやマーケティングオートメーションなど

パーソナライズされた商品推薦システム

例 ECサイトのレコメンド機能、おすすめ商品のメールマガジン自動送信など

顧客の声を分析するための感情分析ツール

例 コールセンター向けの感情分析システム(音声・チャット・メールの文面から顧客の感情を可視化)など

社内のドキュメントデータをAIで活用「仕事のAI」

AIサービスによる顧客満足度向上のメカニズム

続いて、AIサービスが顧客満足度を向上させるメカニズムを見ていきましょう。

パーソナライズされた顧客体験の提供

AIサービスが顧客満足度に直接作用するシーンといえば、パーソナライズされた顧客体験が提供されたときが挙げられます。「欲しい」「見たい」と感じているものを必要なタイミングで提供されれば、顧客は喜ぶでしょう。例えば、YouTubeの動画を閲覧していると、興味を引く動画や広告が次々と視界に入ってきた経験はありませんか。これもAI技術によるものです。実際にYouTubeの動画視聴時間を高めている要因の一つといわれています。
AIが過去の行動履歴を分析し、顧客にとって好みの商品やコンテンツを提供することが、顧客満足度向上につながります。

カスタマーサポートの自動化と最適化

顧客は購買前後において、常に疑問や不安を持つものです。それらを解消するために欠かせないのがカスタマーサポートです。しかし「ただいま電話が大変混雑しております。しばらく経ってからおかけ直しください」「1週間以内にお問い合わせ内容の回答メールをご返信いたします」といった対応では、機会損失はもちろんのこと、顧客満足度にも悪影響を及ぼします。

訓練されたAIがよくある質問への答えを即座に出すチャットボットは、問い合わせの自動化・省人化を実現し、顧客満足度の低下を防ぐことができるでしょう。また、AIが問い合わせ内容や感情を解析し、最適な対応を提案することでカスタマーサポート担当者をサポートするAIサービスを活用すれば、顧客にとって満足できる対応を提供できるでしょう。

業種別・部署別のAI活用事例

業種別・部署別のAIサービスの活用事例一覧です。どのようにAIが活用されているかご紹介します。

業種別のAI活用事例

製造業

製造業ではAIを用いた予知保全システムで機械の故障を事前に予測しメンテナンスを計画的に行うことを可能にします。また、製造ラインの自動化や品質管理の効率化が図られています。さらに、AIを活用した需要予測により、生産計画を最適化し在庫の過不足を防ぎます。画像認識技術を用いた製品検査では、微細な欠陥も高精度に検出でき、製品の品質向上に貢献しています。

小売業

小売業ではAIを活用した需要予測や在庫管理が進んでいます。例えば、AIが過去の販売データをもとに需要の変動を予測することで適切な在庫管理を行い、在庫の過剰や不足を防ぐことで売上機械の最大化に貢献しています。

情報通信業

情報通信業では、AIを使用したネットワーク管理やセキュリティの強化が行われています。例として、リアルタイムでネットワークトラフィックを監視し、異常を検知した際には迅速に対応することなどが挙げられます。また、AIチャットボットを用いた顧客サポートの自動化も進んでおり、24時間体制での問い合わせ対応が可能です。さらに、データ解析による市場動向の予測や、AIを活用したコンテンツ制作の効率化など、多岐にわたる業務改善が実現され生産性の向上に繋げています。

金融業

金融業では、AIがリスク管理や詐欺検出に活用されています。例えば、膨大な取引データをAIが分析し、異常なパターンを検出することで不正な取引を早期に発見します。また、AIを用いたクレジットスコアリングは、より正確な信用評価を可能としています。

医療機関

医療機関ではAIを活用した診断支援や医療画像の解析が進んでいます。例として、膨大な医療データを分析し、病気の早期発見や診断制度の向上に寄与するなどが挙げられます。画像分析だけではなく、駐車や採決ロボットなど医療器具にも活用されており、異常を検知することで患者の負担軽減につながっています。

建築業

建築業では、AIを活用したプロジェクトの効率化や品質向上、安全性の改善などに寄与しています。例えば、過去の設計データなどを分析し、要件に最も適したデザインの提案やプロジェクト管理の自動化などが挙げられ、業務効率改善の手段として重要な手段となっています。

部署別のAI活用事例

総務・人事

総務・人事部では例として、AIを用いて履歴書のスクリーニングを行い適性のある候補者を自動で抽出することで採用プロセスを迅速化することなどが挙げられます。また、出退勤データの分析を行うことで、働き方の改善や労務管理にも役立つことが可能です。

営業

営業部では、例えばAIを用いて過去の商談データを分析し、効果的なトークスクリプトの作成やアプローチの提案を行うことなどが挙げられます。
さらに見込み顧客の行動を分析することで制約の可能性が高いリードを特定することで営業活動の効率化に寄与しています。

マーケティング

マーケティング部では、例として、ソーシャルメディアやニュース記事を分析し、市場のトレンドを予想し、サイトのコンテンツの改善案を提案するなどユーザーエンゲージメント向上にAIサービスは役立っています。さらに、AIを活用することで、顧客の購買履歴や行動パターンを詳細に分析し、パーソナライズされた広告やプロモーションを自動生成することが可能です。これにより、ターゲットオーディエンスに対してより効果的なアプローチが行えるようになり、コンバージョン率の向上が期待できます。これらのAIツールは、マーケティング戦略の精度を高め、競争力を強化する重要な役割を果たしています。

情報システム

情報システム部では、例えば、AIを用いてネットワークの異常を検知しサイバー攻撃からシステムを守ることが可能となります。また、ヘルプデスクの自動化を行うことでAIアシスタントやチャットボットがユーザーからの問い合わせに対応し問題解決をサポートするなど様々な場面で活用されています。

法務

法務部では、例として、文字や画像の分析を通して契約書のレビューやリスク、不備などを迅速に検出することが挙げられます。最新の法令や規制の変更を監視し、コンプライアンスを支援する目的で活用されるケースもあります。

経理

経理部では、例として、経費精算の自動化などに活用されています。また、過去の財務データを分析することで将来の収支やキャッシフローを予測することも可能です。

AIサービスで顧客満足度向上につなげた成功事例

AIサービスの導入・運用によって効果が出ている企業の事例を2つご紹介します。

AI活用型チャットボットの導入で臨機応変な応対が可能に

ある鉄道関連グループ各社のバックオフィス業務やグループ会員組織の運営などを担う会社は、会員からの電話問い合わせ業務に課題を感じていたことから、Web上でより柔軟な対応ができるAI活用型チャットボットの導入を行いました。

独自技術で磨き上げられたAIにより、類義語、同義語、表記のゆれを自動で理解し、精度の高い応答を実現するチャットボットシステムを導入したことで、月平均2,000件前後の問い合わせがチャットボットに入り、より効率良く顧客へのサービス維持・向上を実現しています。

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DM(ダイレクトメール)にAIでパーソナライズされた商品を掲載し来店率向上

あるアパレルメーカーは、人の感性を学習するAI技術を用いたDM配信サービスを導入しました。このサービスは、ユーザーのセンスを学習し、好みに合った商品をレコメンドします。DMにはAIがセレクトしたアイテムを掲載し、好みに合った提案で顧客満足度を高めることを目指しました。その結果、通常のDMに比べ、来店率が12~15%高い結果となり、パーソナライズされたレコメンドに成功要因があると考えられました。

AIサービス導入におけるベストプラクティス

AIサービス導入を成功に導くためのヒントとテクニックをご紹介します。

目標設定とKPIの定義

AIサービス導入の前には、目的の明確化と目標値の設定を行いましょう。指標があることで、組織全体がその指標に向けて、段階的な指標であるKPIの時点から向かっていくことができるので、より目的が達成しやすくなるでしょう。

そのためには、導入段階から効果測定の方法の検討も必要です。利用回数などの定量的な指標だけでなく、顧客満足度といった定性的な指標についての顧客アンケートの実施なども計画に盛り込むのをおすすめします。

社内のスキルとリソースの評価

AIの導入でよく問題になるのが、AI人材の不在です。AIサービスを内製化する際には、ビジネス企画系人材と、システムエンジニアといった開発系人材の両方が求められます。また、近年は、AI導入によって生まれるリスクを管理する立場も必要になるでしょう。これらの職務を満たす社内のスキルとリソースの評価を先んじて行っておくべきといえます。

パートナー企業やAIサービスプロバイダーの選定

AIはこれまでにない革新性のある技術を活用していくことがビジネスの成否を分けます。よって、最先端を行くAIサービスプロバイダとの連携や、AIに関する他社とのパートナーシップの確保が重要になるでしょう。

今後の展望とAIサービスの進化

法人向けAIサービスは今後も、さらに技術的進化はもちろんのこと、その活用領域も幅広く見い出されていくことでしょう。

AIの導入の際には、ぜひ長期的な戦略と持続可能な運用を見据えたデータ作成基盤の構築など、万全な体制を整えた上で実施することをおすすめします。

リコーはAI関連サービスのご提供を通じて、貴社のお手伝いをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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