AIプラットフォームとは?
種類や機能、メリット、代表的なサービスをご紹介

社内でAIを用いたツールを開発する際には、開発用のプラットフォームが必要になります。そのAIプラットフォームにはどのような種類や機能があるのか、気になっていませんか?
そこで今回は、AIプラットフォームの概要から種類と機能、メリットとデメリット、代表的なサービスを解説します。

AIプラットフォームとは?

AIプラットフォームとは、AIを開発・運用するために必要な環境が整っているプラットフォームです。従来、AIを開発するにはAIを動作させる環境を構築した上で、AIにデータを学習させて動作確認する必要がありました。その点、AIプラットフォームであれば、学習データを用意するだけで、動作環境からAIモデル、機能などのAI開発に必要な環境がすべてそろっているため、開発のハードルが下がります。

AIプラットフォームの必要性

AIプラットフォームが注目されているのは、生成AIの台頭によりビジネス活用が進んでいることから、AIツールのニーズが高まっていることが一つに挙げられます。

従来のAI開発では専門知識を持ってAI開発環境を整えるところから始める必要がありましたが、時間もコストも専門人材も必要でした。

AIプラットフォームを利用すれば専門知識が少なくてもAIアプリケーションの開発からAIモデルのチューニングまでノーコードで迅速に構築可能です。

AIプラットフォームの種類と機能

AIプラットフォームには、主に2つの種類があります。

種類

・総合型AIプラットフォーム
総合型プラットフォームは、AI開発に必要な機能がすべて整っており、ハードウェアからミドルウェア、OS、ネットワークなどのプラットフォームから学習済みのAIモデルまで軒並みそろっています。

クラウド上に構築されていることが多く、クラウドのプラットフォームにアクセスして利用するタイプが多くあります。さまざまな目的のAIツールやアプリケーションの開発が可能になります。

・特化型AIプラットフォーム
特化型AIプラットフォームは、特定の機能や業界のAIに特化して開発できるものです。データ予測、翻訳、文字起こしなどの特定の機能に特化しており、その分野では高精度のAIを開発できます。

機能

AIプラットフォームには、主に次の機能があります。

・データ収集・処理・保存
大量のデータを収集して処理し、保存する機能です。

・AIモデル構築
モデル構築に必要なフレームワークやライブラリがそろっており、機械学習やディープラーニング(深層学習)を容易に行えます。

・学習環境
大規模モデルのトレーニングにも対応したAIへの学習を効率的に行える環境です。

・AIのチューニングや追加学習機能
AIモデル開発後の調整や追加で学習させたいときの機能です。

・高いセキュリティの外部連携機能
外部から指示してAIモデルを動作させるツールを開発する際に、高いセキュリティを保って連携させられる機能があるプラットフォームもあります。

・精度評価機能
AIモデルの精度を評価する機能です。

・ハルシネーション防止機能
誤った情報を出力するハルシネーションを防止する機能が整っていることもあります。

・AIガバナンス機能
AIガバナンスとは、AIの開発・利用を、倫理的、法的、社会原則的に適正なものとし、リスクを回避する取り組みです。例えば偏った学習を予防する機能や、透明性を担保する機能などが該当します。

・AIライフサイクル管理機能
開発したAIの追加学習のタイミングなどのライフサイクルを管理する機能です。

AIプラットフォームのメリット・デメリット

AIプラットフォームには、利用に際して次のメリットとデメリットがあります。

メリット

・コスト削減
学習済みAIモデルの利用、AIエンジニアなどの専門人材が不要であるケースもあるなど、コスト削減につながることがあります。

・開発期間の短縮
AIプラットフォームには開発に必要な環境がそろっているため、すぐに開発に取り組めます。期間短縮につながるでしょう。

・小規模開発が容易
大規模なAIモデルというよりも、小規模で手軽に利用できるAIアプリケーションを開発したいといった場合にも容易に行えます。

・継続的な改善と学習を社内で完結可能
先述の通り、AIプラットフォームには再学習や調整などの機能も備わっているため、社内で運用中に継続的な改善と学習を実施できることがあります。

デメリット

・専任のAIエンジニアが必要なこともある
大規模モデルなどではコーディングが必要になることもあるため、専門人材不在では利用できないこともあります。

・機能によってコスパが低下する
AIプラットフォームの機能は一通りそろっていることが多いため、機能を持て余してしまう恐れがあり、コストに無駄が出ることもあります。

・クラウド特有のセキュリティリスク
クラウド型のAIプラットフォームはクラウド環境で開発するため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクがあります。

AIプラットフォームの代表的なサービス

AIプラットフォームの代表的なサービスをご紹介します。

Google Cloud AIのVertex AI

「Google Cloud AI」はGoogleが提供するコンピューティングサービスのAIサービス群です。そのうち「Vertex AI」というサービスではAIモデルの構築からチューニングなどAIモデルを開発できる環境を提供します。130以上ものAIモデルにアクセスでき、開発を容易にします。

Microsoft Azure AI

Microsoftが提供するコンピューティングサービス「Microsoft Azure」では、AIプラットフォームが用意されています。AIモデルの構築などAI開発が容易に行えます。OpenAIのAIモデルにアクセスできる「Azure OpenAI Service」や自律的に動作するAIエージェントを開発できる「Azure AI Agent Service」など複数のAIサービスが用意されています。

Amazon Web Services (AWS)

Amazonが提供するコンピューティングサービス「Amazon Web Services (AWS)」では、目的に応じて複数のAIプラットフォームを提供しています。複数の大規模言語モデル(LLM)を利用できる「Amazon Bedrock」や、本格的に独自の生成AIを開発できる「Amazon SageMaker」などがあります。

IBM watsonx

IBMが提供するビジネスAIプラットフォーム「watsonx」では、AI開発や機械学習などの活用が行えます。
いくつかのサービスのうち「watsonx.ai」ではモデルの選択から調整、テスト、デプロイまで一貫して実施できます。
また「watsonx.governance」は、ライフサイクルを可視化し、適正な管理や監視が可能なAIガバナンスを行えます。

まとめ

AIプラットフォームは、高まるAI利用・開発ニーズに対応する利便性の高い開発環境と機能を提供してくれます。開発したいAIアプリケーションなどに応じて最適なプラットフォームを選択することが活用のポイントといえます。

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