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RAG(検索拡張生成)とは?仕組みと導入メリット、活用例をご紹介!

社内FAQシステムや社内のドキュメント検索など、検索機能を要する仕組みを実装する際に、近年、活用が進んでいるのが、「RAG(検索拡張生成)」と呼ばれる技術です。
今回は、RAGの概要から、仕組み、導入メリット、活用例をご紹介します。

RAG(検索拡張生成)とは?

RAGとは「Retrieval-Augmented Generation」の略称で、検索拡張生成とも呼ばれる技術です。検索(Retrieval)機能を、拡張(Augmented)し、質の高い回答を生成(Generation)するという意味です。

簡単に言えば、データ検索結果の精度をAI(人工知能)によって高め、その結果を人間が理解しやすい自然な文章で生成する技術です。

検索機能と、自然言語処理(NLP)により、質の高い回答を生成する大規模言語モデル(LLM)とを組み合わせて用いられます。

大規模言語モデル(LLM)とは

大規模言語モデルとは「LLM(Large Language Models)」と呼ばれるもので、膨大なデータを学習し、トレーニングされることで構築されたAIの一種です。多様な自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)を実行できます。

自然言語とは人間が日常的に話したり書いたりするときに使う言語を指します。自然言語処理では、AIが自然言語の文章を解析して分析する際に、離れた単語間の関係まで解釈し、文脈を考慮することができます。これにより、話し言葉、書き言葉共にコンピュータで取り扱うことができるようになります。

RAGでは大規模言語モデルが使われていることから、プログラミング言語などではなく、使い慣れた言葉で検索や指示出しによる検索が可能です。また、検索結果データも、自然な文章で得ることができます。

RAG(検索拡張生成)が注目される背景

RAGは、ハルシネーション防止に有効である点が注目されています。ハルシネーションとは、「幻覚」を意味し、AIが事実ではないことをあたかも事実であるかのように出力してしまうことを指します。

この問題を回避するには、信頼できるデータベースやソースを検索させて、回答を生成することが有効とされています。実際、RAGにはそのような仕組みが採用されています。
※生成した回答が100%正しいことを保証することではありません

また、RAGは非公開情報や最新情報も検索対象に含ませることができます。昨今、多く利用されている生成AIツールは、最新の情報を学習していないものもあり、それと比べ、優位性があります。

RAG(検索拡張生成)の仕組み

RAGは、どのような仕組みで検索を実現するのでしょうか。その仕組みを見ていきましょう。

RAGは、チャットAIアプリなどに搭載されることが多いため、ここではチャットAIアプリを例に挙げて解説します。

1.チャットAIアプリに入力する

ユーザーがチャットAIアプリに、知りたい内容を日本語で入力します。

2.AIがデータベースを検索する

ユーザーの問いに対して、AIはインターネットや社内データなどのナレッジベース(ベクトルデータベースなどの情報源)の検索を開始します。

インターネットだけでなく、社内に蓄積されたデータまで検索対象とすることで、信頼性の高い結果が得られます。ベクトルデータベースとは、ベクトルと呼ばれる数値表現で情報データが保存されたデータベースを指します。

このとき、AIは「ベクトル検索」や「キーワード検索+ベクトル検索」のハイブリッド検索によって検索を行います。ベクトル検索とは、テキストや画像検索の際に、データを数値ベクトルとして表現した上で、ベクトル間の類似度から関連情報を見つけ出す検索方法です。ベクトル検索を用いることで検索スピードが上がり、検索結果の精度が高まります。

そしてベクトル検索単独で行うよりも、キーワード検索もあわせて行うハイブリッド検索のほうが、検索結果の精度が高まりやすいといわれています。

3.AIが検索結果データを取得する

AIが検索結果データを取得します。

4.AIが大規模言語モデル(LLM)に質問する

検索結果データを取得しても、AI単体ではユーザーに返答を返す術がないため、大規模言語モデル(以下、LLM)に問いかけます。

5.LLMが回答を生成し、AIへ返す

LLMがAIより指示された回答を自然言語処理によって生成し、AIへ返します。

6.AIがLLMから得た回答をユーザーへ出力する

ユーザーは、最終的に、検索結果データを自然な文章で得ることができます。

RAG(検索拡張生成)の導入メリット

RAGを導入することで、企業は次のメリットを得られます。

ハルシネーションの回避、回答精度の向上

先述の通り、RAGはインターネット上の正誤が定かではない情報も含む情報源だけでなく、社内データなどの信頼の置けるナレッジベースなどの情報源も含めて検索するため、ハルシネーションが回避できます。同時に回答精度や信頼性向上にもつながります。
※生成した回答が100%正しいことを保証することではありません

「わかりません」と回答させられる

RAGでは、曖昧な表現や複雑すぎる質問文に対しては、「わかりません」と回答させるように設定することも可能です。虚偽の内容が表示され、本当に正しいかどうか判断つかない状況になるよりも、「わかりません」と回答が来たほうが効率的といえます。

最新情報を取得できる

RAGはユーザーからの質問が発生したときに、その都度、データベースを検索するため、常に最新情報に基づく検索結果が得られます。

少ない学習データでも高精度なタスク実行が可能

RAGは、比較的少ない学習データであっても、高精度なタスクの実行が可能です。学習させるための諸作業にかかる工数が低減できればコスト削減にもつながります。

RAG(検索拡張生成)の活用例

RAGはその便利さから、ビジネスにおけるさまざまなシーンで活用できます。主な活用例を見ていきましょう。

社内FAQシステム

従業員が、社内のあらゆる情報を効率的に検索できる、よくある質問がまとめられた社内FAQシステムは、RAGによってその精度が高まり、効率化が可能です。

社内ドキュメント検索

業務や手続きに必要な社内のあらゆるナレッジや資料を一元管理し、RAGによってより高精度かつわかりやすい結果データの生成を行うことができます。

社内に散在する膨大な数のドキュメントをすぐに取り出すことができれば、業務改善につながります。「あの資料どこに行った?」と社内に聞いて回る工数と時間を大幅に削減できます。

営業・マーケティング分野のリード特定

営業やマーケティング分野においては、見込み客の行動データやソーシャルメディア上の発言などを分析し、購買意欲の高いリードを自動的に特定する用途で役立てられています。

顧客サポートの精度向上

お客様からの問い合わせに対応するAIチャットボットはすでに多く取り入れられていますが、RAGを搭載することで、精度が上がります。お客様からの問いに対して、過去の顧客の問い合わせ履歴や購買データを解析し、最適な回答を返すことができます。個別最適化された顧客サポートを実現できるでしょう。

まとめ

RAG(検索拡張生成)は社内ナレッジやデータを効率的に検索して得たいデータを得られる業務効率化につながる技術です。うまくシステムに搭載することで、利活用を進めていくことができるでしょう。

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