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【AI関連用語】チャンクとは?RAGにおけるチャンキングの手法をご紹介

AI技術の進化に伴い、情報検索やデータ分析の効率が飛躍的に向上しています。
そのAI技術の一つとして、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成へ外部の情報検索を組み合わせ、回答の精度を向上させる「RAG(検索拡張生成)」があり、その中で、テキストを適切に分割する役割をするのが「チャンク」です。
本コラムでは、チャンクの概要からその果たす役割、具体的な使われ方、そして高度なAI技術のRAG(検索拡張生成)におけるチャンキング方法について詳しく解説します。

1.チャンクとは

チャンクとは、データや情報を小さな単位、まとまりに分割したものを指します。チャンクは、もともと心理学の分野で使われており、人間の短期記憶が情報をどのように処理するかを説明するために用いられました。具体的には、長い数字列や文章を覚える際に、情報を小さなチャンクに分けることで記憶しやすくなるという考え方です。

自然言語処理(NLP)や情報検索の分野でも、この概念が使用されています。大量のデータを効率的に処理するためには、データを小さな単位に分けて管理することが必要です。これにより、データの検索や分析が迅速かつ効率的に行えるようになります。

チャンク化(chunking)とは

チャンク化(chunking)とは、データや情報を小さなチャンクに分割するプロセスを指します。このプロセスは、データベース管理、テキスト解析、機械学習など、さまざまな分野で利用されています。

例えば、テキスト解析においては、文章を単語やフレーズごとに分割、更新することで、より詳細な分析が可能になります。これにより、特定のキーワードの出現頻度や文脈を簡単に把握することができます。また、機械学習の分野では、データをチャンク化することで、モデルの訓練速度が向上し、精度も高まります。

さらに、データベース管理においては、データをチャンクに分けることで、検索クエリの実行速度が向上し、システムのパフォーマンスが最適化されます。特に、大規模なデータセットを扱う場合、このプロセスは非常に重要です。

2.自然言語処理におけるチャンクが果たす役割

続いて、自然言語処理におけるチャンクが果たす役割について解説します。

データ処理の効率化

チャンクを用いることで、大量のテキストデータを小分けにして処理することが可能になります。これにより、計算リソースの消費を抑えつつ、処理速度を向上させることができます。特に、大規模なデータセットを扱う際には、チャンク単位での処理が不可欠です。

検索精度の向上

チャンクを活用することで、検索エンジンの精度も向上します。文章をチャンク単位で分割し、それぞれのチャンクに対して適切なタグ付けを行うことで、より正確な検索結果を提供することができます。例えば、「チャンクとは」というキーワードを含む文章を検索する際、関連性の高い情報を迅速に取得することが可能になります。

意味の保持

チャンクは、文章の意味を保持しつつ分割するため、情報の一貫性を損なうことなく処理が行えます。これにより、自然言語処理の精度が向上し、テキスト解析や要約生成などのタスクにおいても高いパフォーマンスを発揮します。特に、文章の文脈を理解する上で、チャンクは非常に重要な役割を果たします。

3.チャンクの主な使われ方

次に、チャンクの主な使われ方をご紹介します。

テキスト要約

チャンクが主に使われる場面の1つはテキストの要約です。例えば、長い記事やレポートをチャンクに分けることで、重要なポイントを短時間で把握することができます。特にAIを用いた自然言語処理(NLP)では、チャンクを活用して文章の構造を解析し、要約やキーワード抽出に使われています。

情報検索

情報検索においてもチャンクは使われています。検索エンジンはウェブページをチャンクに分割し、それぞれのチャンクを個別にインデックス化します。これにより、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、関連性の高い情報を迅速に提供することができます。例えば、商品レビューサイトでは、各レビューをチャンクとして扱い、ユーザーの検索クエリに対して適切なレビューを表示していることが多いです。

4.RAG(検索拡張生成)におけるチャンキング方法

最後に、RAG(検索拡張生成)におけるチャンキング方法について解説します。RAGは、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成へ外部の情報検索を組み合わせることで、回答の精度を向上させる高度なAI技術のことです。その中で、テキストを適切に分割する「チャンキング」は重要な役割を果たします。

文字数によるチャンキング

文字数によるチャンキングは、あらかじめ決められた文字数の文章を1つの単位として分割する方法です。例えば、100文字ごとにテキストを分割する場合、テキストが一貫して同じ長さのチャンクに分けられます。この方法はシンプルで実装が容易ですが、文脈を無視する可能性があるため、意味的な一貫性が損なわれることがあります。

小区切りによるチャンキング

小区切りによるチャンキングは、適度な文字数かつ意味的に分割する方法です。この方法では、テキストを適切な長さに分割しつつ、文脈や意味を考慮します。例えば、段落や文の終わりで区切ることで、意味を保持したままチャンクを作成します。この方法は、文字数によるチャンキングと比べて、より自然なテキスト分割が可能です。

セマンティックチャンキング

セマンティックチャンキングは、テキスト内の関係性を考慮して、テキストを意味的に完全なチャンクに分割する方法です。この方法では、自然言語処理(NLP)技術を用いて、テキストの意味や文脈を解析し、意味的に関連する部分を一つのチャンクとして分割します。例えば、特定のトピックやテーマに関する情報を一つのチャンクにまとめることができます。

前述のように、それぞれの方法には一長一短があり、具体的な用途や目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。
特に、セマンティックチャンキングは高度なNLP技術を駆使し、テキストの意味や文脈を考慮した適切なチャンクを作成するため、RAGのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。

5.まとめ

本コラムでは、チャンクについて解説してきました。
チャンクは、データを効率的に処理し、AIの性能を最大限に引き出すための重要な手法です。特に自然言語処理においては、チャンクにより文脈理解が深まり、精度の高い結果が得られます。また、RAGにおけるチャンキング方法は、情報検索と生成の融合を実現し、より高度なAIソリューションを提供します。チャンクの理解と活用は、AI導入を進める企業にとって競争力を高める大きな一助となるでしょう。

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