チャットボットとAIの違いとは?特徴の比較や活用事例を紹介
最近では、チャットボットをよく企業のホームページやECサイトなどで見かけるようになりました。チャットボットといえば、AIというイメージがありますが、そもそもAIとチャットボットとはどのような違いがあるのか、疑問に思っていませんか?
そこで今回は、チャットボットとAIの違いや、AI搭載型と非搭載型それぞれのメリットをご紹介します。
チャットボットとAIはどう違う?
チャットボットとAIの基本的な違いを確認しておきましょう。
AIとは
AIとは、「Artificial Intelligence」のことで、日本語では「人工知能」とも呼ばれるプログラムを指します。AIは人間の知能と同様、自ら学習し、その学習して得たデータベースから自ら考えて識別、予測、実行を行うことができます。
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チャットボットとは
チャットボットは、チャット形式でリアルタイムに自動回答をしてくれるロボットのことです。チャットとは「chat」のことで、「対話する」という意味です。そして「ボット」は「bot」のことで、「ロボット」という意味です。
一般的に、チャットボットというと、そのチャットボットをユーザーに提供する仕組みやサービスのことを指し、インターフェースを意味します。その仕組みにはさまざまな種類があり、中にはAIが搭載されたチャットボットもあります。AI搭載のチャットボットは、ユーザーとの会話を重ねることで、どのような回答が最もふさわしいかを繰り返し学んでいきます。つまり、まるで人間の知能のように、機械学習したデータを元に、自ら判断して最適な回答を返します。利用されればされるだけ、回答の精度が上がっていきます。
チャットボットとAIは、インターフェースであるか、プログラムであるかという違いがあります。しかしチャットボットとAIは密接に関係していることが分かります。
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なぜチャットボットにAIが向いているのか
チャットボットとAIの組み合わせにより、チャットボット内でユーザーとのやり取りが会話のようにスムーズな対応が実現できます。チャットボットには、AI搭載型、AI非搭載型のものがあります。
AI非搭載型の場合は、決められたルールや、前もって作成されたシナリオ設定によって選択式での対応となるため、人間同士のような自然な会話や曖昧な表現には対応することができません。それぞれの特徴は後述していますので、そちらをご確認ください。
一方でAI搭載型のチャットボットの場合、ユーザーからの問い合わせ内容にダイレクトに回答をしてくれます。これは、AIが過去の会話のログを蓄積・学習して、会話のような応答をしてくれるからです。
このようにAI搭載型のチャットボットは、AI非搭載型のチャットボットと比較すると、スピード感のある回答が実現でき、ユーザーに対して的確な回答を掲示することが可能です。
チャットボットのAI搭載型とAI非搭載型の特徴
チャットボットの中には、AIが搭載されているものがあるとお伝えしました。では、チャットボットのAI搭載型とAI非搭載型には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。それぞれの特徴や違いを確認しておきましょう。
AI搭載型の特徴
回答を重ねるごとにAIが自動的に学習し精度が上がる
AI搭載型は、回答を重ねるごとに、自動的に学習していきます。そのため、回答を返せば返すだけ自動的に精度が上がっていきます。ユーザーからの問い合わせ文の表記ゆれにも臨機応変に対応できます。
高価であるがその分、高精度の見込みがある
一般的にAI搭載型のチャットボットは、料金が高くなる傾向があります。しかしその分だけ、自動的に精度が上がり、学習すればするだけ優れたチャットボットとなる可能性が高いといえます。
はじめに大量学習が必要だが、あとは基本的に追加の必要はない
AI搭載型は、はじめに教師データと呼ばれるデータを大量に学習をしなければ、チャットでの会話が成り立ちません。そのため、学習データの準備と学習時間が必要になります。しかし、最初に充分学習してしまえば、あとは基本的に追加の必要はありません。
とはいえ、AI搭載型は、間違った回答や適切でないユーザーとのやりとりも学習してしまうため、適宜、人の手によるメンテナンスは必要になります。
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AI非搭載型(ルールベース型)の特徴
定型の質疑応答に向いている
AI非搭載型の場合、回答は事前にインプットしたシナリオやQ&Aのデータを参照して回答を返します。ルールベース型とも呼ばれており、既存のルールにないものについては回答が返せません。ここがAI搭載型と異なる点です。しかし、その分、よくある質問など、定型の質疑応答には向いており、シンプルなQ&Aチャットボットを導入したい場合に最適です。
安価に導入できる
AI搭載型と比べて、安い料金で導入できるメリットがあります。その他、Q&Aデータは順次追加していくことで精度を上げていくことできます。
FAQをほぼそのまま読み込んで使えることもある
あらかじめ用意したFAQをそのまま読み込んで使うこともできるので、導入の手間を削減することができる可能性があります。そのため、AI非搭載型は比較的、手軽に導入しやすい特徴を持つといえます。
チャットボットのAI搭載型とAI非搭載型を選ぶ際の比較ポイント
チャットボットを導入する際に、AI搭載型とAI非搭載型のどちらが適切かを選ぶシーンがあると思います。その際は、次のような比較ポイントでチャットボットを選ぶことができます。
●チャットボットの導入目的
導入目的によって、適切なチャットボットが変わります。問い合わせ対応の業務負荷を軽減したい、顧客満足度を向上させたいなどさまざまなチャットボットの導入目的が考えられます。ユーザーも、一般消費者なのか、自社の社員なのかによって設置場所もチャットボットのタイプも変わります。まずはチャットボットの導入目的を明確にし、AI搭載型とAI非搭載型のどちらが適切か比較の上、検討しましょう。
●Q&Aの数
ユーザーからの質問パターンの数によって、AI搭載型とAI非搭載型チャットボットのどちらが適切かは変わります。あまりにQ&Aの数や種類が多いと、AI非搭載型では対応しきれないことがあります。Q&Aの数が数百件以上にも及ぶ場合は、AI搭載型が適しているとされます。50件以下程度であれば、AI非搭載型でも対応できるでしょう。
●チャットボット導入時の工数・手間
AI搭載型は一般的に導入に時間がかかる傾向があります。学習用データの用意から登録、運用開始までの回答精度の向上など、前準備が多いためです。AI非搭載型であっても、導入時にはシナリオやQ&Aデータを登録する必要がありますが、テンプレートの利用など、迅速に対応できることも多くあります。チャットボット導入時の工数・手間を比較の上、導入しましょう。
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AI搭載型チャットボットの仕組みと構成技術
AI搭載型チャットボットは以下の3つの流れで回答を導き出しています。
1. 自然言語処理でユーザーが入力した内容の意味を理解
2. 機械学習により. 膨大なデータから最適な回答を生成
3. 回答を出力
AI搭載型チャットボットは上記の流れを繰り返し行うことで学習をし、回答の精度を高めていきます。
上記で行われている自然言語処理とは、人間が使用している言葉(自然言語)を、AIによってプログラミング言語に変換する処理のことです。処理内容としては、入力された文を単語に分割することや、文の意味を分析することなどがあります。自然言語処理により、AIは問い合わせ内容を理解し、適切な回答を表示することができるようになります。
また機械学習とは、蓄積されている膨大なデータを用いて自動で学習し、データを分析することです。分析によりパターンや規則性を見つけ出し、新たなデータに対する予測を行い、適切な回答を導き出します。AI搭載型チャットボットはこの機能を活用し、学習を重ねるごとにユーザーが求める回答を提供できるよう進化していきます。
AI搭載型チャットボットの活用シーン
企業だけでなく自治体でも活用されているAI搭載型チャットボットの活用シーンをご紹介します。
コールセンター
コールセンターではオペレータごとの対応力の差や、人手不足、電話対応可能な時間帯などが課題と考えられています。AI搭載型チャットボットを導入すれば、顧客からの問い合わせ内容をAIが機械学習しさらに最適な回答ができるようになることで、担当者による対応の差もなくなり顧客満足度の向上につなげられます。 また24時間365日対応可能なため、業務効率化とコスト削減ができることで人手不足の解決にもつながり、企業の経営改善も図ることができます。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクにAI搭載型チャットボットを導入すれば、問い合わせ内容を収集、学習し、より的確な返答ができるようになるので、ヘルプデスクの利便性を高めることができます。担当者もチャットボットで回答が難しい問い合わせのみ対応できることで自身の別の業務に集中できることで作業を効率化し、生産性向上にもつながります。
自治体サービス
AI搭載型チャットボットはビジネス活用だけでなく、自治体への導入も注目されています。さまざまな問い合わせが寄せられる自治体では、AIの機械学習による回答のアップデートが住民の利便性を高めることに期待できます。
また自治体は問い合わせ時間が限られている点も課題としてあげられますが、チャットボットの導入により問い合わせ時間の制限がなくなることは住民の満足度向上につながる可能性があります。
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AI搭載型チャットボットの活用事例
AI搭載型のチャットボットを活用している導入事例をご紹介します。
●自治体の移住希望者向けチャットボットの事例
ある地方自治体の町は、機械学習が可能なAI搭載型チャットボットを、町の公式LINEアカウントページや、町の公式サイト上に導入し、全国の移住希望者がいつでも町の情報を入手することができる仕組みを作りました。
導入前は、担当職員が直接問い合わせ応対を行っていましたが、担当者不在時や業務時間外には、対応が不十分となってしまうケースもあり、課題となっていました。
そこでAI搭載型チャットボットをキャラクター化し、利用者が情報を簡単に入手できるようにしました。
その結果、24時間いつでも対応が可能となり、業務効率化も実現できました。
●自治体の外国人対応の多言語チャットボット事例
ある県では、新型コロナウイルスに関する県民からの問い合わせに24時間自動で回答できる、多言語AI搭載型チャットボットを導入しています。対応言語は日本語を含む6か国語で、多国籍の外国人に対応しています。これにより、コロナ禍で窓口対応ができない状況において、外国人が問い合わせしにくいというデメリットを埋めることができました。
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「RICOH Chatbot Service」はAI非搭載で安価でありながら表記ゆれを吸収できるチャットボットサービス
RICOH Chatbot Serviceは、AI非搭載で安価でありながら、AI搭載の特徴である表記ゆれを吸収できるチャットボットです。
基本的にルールベース型の一つである辞書型のチャットボットであり、あらかじめ辞書(Q&A)データを読み込んで導入することが可能です。また、AI非搭載型であるため、安価に手軽に導入することができます。
そしてAI搭載型の特徴の一つである、表記ゆれに対応することができます。リコーの独自技術で磨き上げられたAIが、類義語、同義語、表記のゆれを自動で理解して回答を返すことができるので、自然な会話が実現できます。
RICOH Chatbot Serviceは、AI非搭載型の価格や導入の手軽さとAI搭載型の高機能さが同時に導入できるメリットがあります。気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。