経理業務におけるAIエージェント活用事例8選!導入時の注意点についても解説

経理業務は従来、手作業や目視による確認作業等が多く、繁忙期と閑散期の差が多いこともあり、負荷が高まる傾向がありました。一方で、近年はAIが浸透しており、経理業務の大幅な効率化と人員削減の可能性が出てきています。このような中、AIエージェントを活用することで、ヒューマンエラーの防止やコスト削減などのさらなる効果が生まれています。

今回は、AIエージェントを経理業務に導入するメリットから活用事例、経理業務へのAIエージェント導入の注意点まで解説します。

AIエージェントとは?

まずはAIエージェントの概要と、活用シーンを確認していきましょう。

AIエージェントとは?

AIエージェントとは、AI技術が人間の代わりにエージェントとして自律的に業務を実行する高度なシステムです。

従来の単機能AIと比較し、ユーザー指定の目標や指示のもと、自ら判断し計画を立て、複数のデータやツールと連携させながら、自動でタスクを遂行するのが特徴です。

AIエージェントはタスクの自動化が可能であり、人間の労力を大幅に削減し、生産性を向上させることが強みです。その理由は、自ら計画・判断して動作する自律性、環境の変化に応じられる高い適応性を持っていることが挙げられます。

AIエージェントの活用シーン

すでにAIエージェントは、カスタマーサポート領域や営業、マーケティング、プログラミング開発、人事・総務・経理、会議の効率化、在庫最適化、需要予測など、あらゆるシーンで活用が進んでいます。

中でも経理業務は、近年、AIエージェントの活用可能性が期待されている分野の一つです。自動仕訳や領収書の高精度スキャン、各種金融サービスとのデータ連携、経費精算等の業務代行、規定の違反等の異常検知、財務レポート等の自動作成等、多様な業務を支えています。

【関連リンク】
AIエージェントとは?生成AIとの違いや特徴、活用例をご紹介

経理業務へのAIエージェントの導入メリット

では、経理業務にAIエージェントを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主なメリットをご紹介します。

経理業務の効率化・時間削減

AIエージェントによって、これまで人が行っていた作業を代替することで、大幅な業務効率化と時間の削減が期待できます。人手不足の課題に直面する多くの経理部門において、生産性向上が期待できます。結果的に人的コストの削減にもつながります。

ヒューマンエラーの削減

経理業務は、単純作業の手計算や目視確認などが多くあり、ヒューマンエラーは避けられません。AIエージェントを用いて自動化させることで、こうしたヒューマンエラーを削減できます。AIエージェントが作業を行った後は人による目視確認が必要ですが、ヒューマンエラーのチェックと比べると、工数は削減できるでしょう。

不正検知などのコンプライアンス強化

経理業務におけるリスクである、社内規定の違反や不正な経費申請などに対しては、監査や検知が必要です。しかし人間が行うと見落としてしまう恐れがあるため、AIによって不正なパターンを検出し、監査をサポートさせることが有効です。その結果、社内のコンプライアンスの強化にもつながります。

経営層への提案などコア業務への専念

従来の仕訳や集計などの定型業務はAIによって自動化すれば、財務レポートなど経営者への提案といったコア業務へリソースを割くことができるようになります。
ただの単純作業では終わらせず、本来の部門の役割を果たせるようになる可能性があります。

経理業務のAIエージェント活用事例8選

経理業務のAIエージェント活用事例をご紹介します。

社内問い合わせ対応チャットボット

社内からの問い合わせ対応業務が経理業務を圧迫しているケースも少なくありません。しかし重要な問い合わせ内容を放置することはできません。

このような社内問い合わせの負荷を軽減するために、AIエージェントが役立ちます。例えばあらかじめFAQやマニュアル、社内規定などのデータを読み込んだ経理専用AIエージェントを構築すれば、従業員がそれを利用して検索し、経理担当者に問い合わせることなく、自ら答えにたどり着くこともあります。

また24時間365日対応できるため、従業員は時間問わず利用でき、利便性が高まります。従来のFAQやチャットボットと比較し、AIエージェントであればより精度高く、また根拠を示しながら必要な情報を提示できます。

仕訳・入力業務の自動化

AIエージェントが、伝票や取引明細書等を自動で読み取ることで、金額や勘定科目などの必要な情報を抽出し、仕訳、ルールに従って処理を実行する仕組みを作ります。

会計システムに自動連携させ、誤りのチェックも同時に行うことで、入力や処理の漏れ等が削減でき、業務とデータの質が向上します。

領収書処理の自動化

従業員が領収書を経理部門に申請する際に、領収書を撮影し、伝票作成のAIエージェントに自動で連携させることで、申請フォーマットに当てはめて、経理部門へ申請できます。この際、企業が独自に持っているルールも設定しておくことで、AIが高精度に判断してチェックするため、申請の手間を軽減します。また経理担当者も最終の確認だけで済むようになります。

請求書処理の自動化

請求書に特化したAIエージェントは、従来のOCRを使用した請求書のスキャンとデジタルデータ化とは異なります。AIが請求書の内容を詳細に読み取り、どのような項目であり、どのような勘定科目に振り分けるべきかを自ら考え提案することが可能です。また、過去の取引データや会計知識などをもとに請求書を適切に抜け漏れなく分析することで、仕訳の自動化が可能になります。

経費精算の効率化

経費精算業務においては、領収書の処理とデータ入力の自動化に加えて、社内の出張旅費規定や交際費のルールなどの経費ルールに照らし合わせて自動で内容を確認できます。またニ重申請の防止も自動検知します。

またAIエージェントを従業員が利用して経費申請することで、写真の不備等があれば、経理担当者に連絡が届く前に従業員に直接アラートを出し、自動で差し戻しが行われます。これにより、経理担当者の手作業による差し戻しが不要になり、手間が省けます。

月次決算業務の効率化

月次の決算準備作業においては、仕訳の抜け漏れのチェック、残高の突合、変動が見られた勘定科目の要因要約などの業務をAIが支援します。その結果、経理担当者は経営層への説明に何が必要なのか、何が重要なのかといった判断に意識を向けることができます。

不正検知の自動化

経費精算において、不正検知と異常値検知を自動化できる仕組みを作ることができます。従業員が申請する経費データにおいて、パターンを逸脱したものが見つかれば、不正申請や異常なパターンを自動的に検知し、アラートを出す仕組みを作ることができます。

例えば従業員が立替で支払った経費データと証憑のチェックや、社内規定や税法、インボイス制度といった法律や制度へ適合しているか、不正や誤りはないか、コストは妥当かといったことを総合的に評価することが可能です。従来の手作業の10分の1の時間でチェックが完了する例もあります。

制度や法律対応フォーマット判定

請求書がインボイス(適格請求書)の要件を満たしているかの確認・判定はインボイス制度が導入されて以来、経理業務に負荷の高い作業になっています。そこで例えば、取引先のインボイス登録番号のチェックや突き合わせなどをAIエージェントで自動化させることが可能です。

また電子帳簿保存法のデータ保存要件を満たすかどうかのチェックや、AI-OCRによって取引年月日や金額、取引先を自動抽出し、検索要件を充足させるなどのタスクもAIエージェントに任せることができます。

経理業務へのAIエージェント導入の注意点

経理業務へのAIエージェントを導入する際には、次の点に注意することで、失敗を防ぐことができるでしょう。

人的チェック体制を整える

AIエージェントはあらゆる業務を自動化することができますが、最終の人によるチェックは常に必要です。不具合やエラーが起きていないかのチェックのほか、従業員の申請等が問題なく進んでいるかなどを含めてチェックを行いましょう。

監査や税務調査を想定したログ可視化

AIエージェントは、自ら判断し、タスクを実行する仕組みであるため、判断のプロセスが見えないブラックボックス化に陥ってしまうことがあります。
監査や税務調査を見越して、説明責任を果たすために、AIがタスクを行ったプロセスをログとして残し、可視化できる仕組みを整えておくことが重要です。

経理関連の法令への対応

インボイス制度や電子帳簿保存法など経理が準拠すべき法令は数多くあります。そして常に制度変更や法改正等を見据えた柔軟性のあるAIエージェントの設計が求められます。利用しているサービス事業者やベンダーに、どのくらい柔軟に対応できるのか、事前に確認しておくことが重要です。

セキュリティ強化

経理業務で取り扱うデータは機密情報であり、セキュリティ強化は欠かせません。AIエージェントのクラウドサービスを利用する場合は特に注意が必要です。アクセス権限の管理やシステム障害に備えたデータバックアップ、サイバー攻撃による不正アクセス防止策などを十分に対策しておきましょう。

データ品質向上の仕組みづくり

AIエージェントはデータありきで動作すると言っても過言ではありません。データの品質が低いと経理業務全体の品質が下がってしまいます。データ整備やルールの統一、データクレンジングの定期実施など、データ品質向上の仕組みをあらかじめ作っておくことが重要です。

ツール利用のマニュアル化と研修

経費申請に従業員が利用するAIエージェントについては、経理部門はもちろんのこと、全社的にマニュアルを展開し、必要に応じて研修を行いましょう。誰でも手軽に利用できるユーザビリティの優れたサービス選定も重要です。

まとめ

AIエージェントは経理の多様な業務に対応可能です。そして業務効率化や人的コスト削減、コンプライアンス強化、生産性向上など、経理部門にとって様々な効果が得られる可能性があります。

効果的にAIエージェントを導入する際には、最適なAIエージェントを設定導入することが欠かせません。

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