導入事例 CASE

資料作成やSNS投稿、海外取引先とのコミュニケーションまで!
「RICOH Chatbot Service for 生成AI」がさまざまな業務の効率化を実現

創業100年を超える松屋様。「松屋銀座」 ではファッション性やデザイン性に優れたブランド展開で他店と差別化、「松屋浅草」では地域との信頼関係を財産にした店づくりに注力しています。そのような歴史のある松屋様も、生成AIの導入によりさまざまな面から業務を見直す機会となりました。生成AI導入後は予想以上に社内での活用が広がり、多くの場面で成果を上げています。どのように生成AIの導入を進め、業務で活用しているのか、ご担当者の方にお話を伺いました。

株式会社松屋

所在地:銀座本店 東京都中央区銀座3丁目6番1号、浅草店 東京都台東区花川戸1丁目4番1号
従業員数:537名
主な業務:百貨店業、通信販売業およびこれらに関連する製造加工、輸出入業、卸売業
URL:https://www.matsuya.com/

世界の銀座を象徴する個性的な百貨店「松屋銀座」は、「ファッション性」と「デザイン性」の観点から、銀座の百貨店にふさわしいラグジュアリーブランドや宝飾時計、化粧品の強化や、Well-Being 関連商品を拡充しています。また、サステナブルを意識した商品の展開など独自性と話題性で他店との差別化を図っています。一方「松屋浅草」は、「浅草」という個性的な地域社会との深い信頼関係を財産に、地元のお客様や街を訪れる多くのお客様のニーズにお応えする店づくりと品揃えに注力しています。

これまでの課題

  • 1
    生成AIの活用が自社にどのような影響を与えるのか検証・検討したかった
  • 2
    限られた人的リソースの中で、さらに効率良く業務を実施していく必要があった
  • 3
    生成AIを業務で活用するうえで、情報漏洩などセキュリティ面での不安があった

「RICOH Chatbot Service for 生成AI」
導入効果

  • 1
    想像以上に現場で活用が進み、さまざまな可能性が検証・検討できた
  • 2
    多くの業務で実際に活用され、業務効率化など具体的な成果が現れた
  • 3
    入力情報が再学習されないため、情報漏洩などのリスクがない環境で生成AIを活用できた

社員インタビュー

  • 大森 くる美 様

    デジタル化推進部 システム課 デジタル戦略チーム
    紀野 茜 様

生成AIを活用した業務課題解決を目指し、セキュリティリスクがなく容易にアクセスできる「RICOH Chatbot Service for 生成AI」を採択

どのような経緯で生成AIの検討を始められたのでしょうか。

「2022年末頃からOpenAIなどが生成AIを公開し始めて、非常にセンセーショナルに報道されるようになりました。そのような状況を受けて、当社としても生成AIを早急に活用していきたいという意向がありました。まずは生成AIを使って何ができるのか、どのように業務効率化できるのか、さらにお客様にどのような価値を提供できるのか検討してみよう、というところからスタートしています」

特に人手が不足している営業・販売部門だけでなく、管理部門でも限られた人的リソースの中でいかに効率良く仕事をこなしていくかが課題となっていました。また、直近では新型コロナウイルスの影響で人員配置が変わるなどの状況もあり、課題解決のためにさまざまな分野で活用が進みつつある生成AIに大きな期待を抱いていました。

リコーの「RICOH Chatbot Service for 生成AI」(以下、for 生成AI)を採択いただいたのはどのような理由からでしょうか。

「具体的な検討を始めた2023年には、例えばクラウドサーバーを構築してそこにChatGPTなどを生成AIエンジンとして使いましょう、という形態がほとんどでした。自社でサーバーを構築するとなると、数百万規模のイニシャルコストが必要になります。様々な生成AIサービス提供企業とやり取りさせていただいている中で、リコー様から近いうちにSaaS型の提供を検討しているという話を伺い、当社のように活用方法を検討しながら始めるには、そのようなSaaS型がピッタリではないかと考えました」

業務で活用するにあたり前提としたのが、情報漏洩などのリスクがない環境なのかどうかという点です。お客様や取引先様の情報を直接生成AIにインプットしていなくても、入力した文脈から類推される可能性もあります。しかし、リコーのfor 生成AIなら入力内容が再学習されないため、情報が外部に漏れる心配がありません。

また、松屋様では全社員で活用することを前提に導入を進めていましたが、店頭でお客様対応する販売部門などでは、必ずしも1人1台パソコンが割り当てられているわけではありません。全社員が気軽に活用するためには全員が所持するスマートフォンからグループウェアを通じて簡単にアクセスできるfor 生成AIが理想的でした。

導入にあたってのサポートや社内の取り組み

導入時のリコーのサポートはいかがでしたか。

「運用開始に向けて、リコー様から業務別・業種別の活用シーンを想定したプロンプト集を提供いただきました。また、プロンプトの入力方法や深掘りの仕方についてもウェビナーを実施していただき、スムーズな導入の支援をいただきました」

導入にあたり社内ではどのようなことに取り組みましたか。

システムの準備にはあまり時間を取られませんでしたが、「利用ガイドライン」の作成には少し時間をかけました。ガイドラインには、著作権の確認ができないものを利用しないことや、個人情報や誹謗中傷に相当するものは入力しないことなどを明記しましたが、制約が厳しいことで利用を妨げるようなことがないよう、最低限のルールに絞り込みました。

資料作成やSNS投稿、関数解析までさまざまな業務を効率化

具体的にどのような業務でご活用いただいているのでしょうか。

「社内での運用を開始して約9カ月経ちますが、for 生成AIは、広報リリース用の原稿作成 や、新システム導入時の説明会資料作成などの支援、キャッチコピーやスローガンなどのアイデア出しなど、社内外向けのさまざまな業務で利活用されています。その他、想定以上に効率化に貢献しているのが生成AIによる翻訳です。海外の取引先とのやり取りの際に、相手のメールをとてもスムーズに翻訳してくれます。さらに、単に翻訳するだけではなく文面案も同時に考えてくれるので、『文章を考えてからさらにそれを翻訳する』という従来のやり方と比べて、大幅な業務時間短縮につながっています」

生成AIの翻訳結果は、従来の翻訳システムなどと比較して、細かなニュアンスまで理解したうえで翻訳され、依頼する際は普段使う日本語で気軽に依頼できるため、活用のハードルを下げることにつながっています。

その他、SNS投稿やメールマガジンの記事作成支援にも活用されております。すべてを生成AIに任せることはできませんが、生成AIが出力したアイデアをもとに作成していくことで、ゼロから作り上げるよりも格段にスピードアップでき、工数負担も削減できています。

「他人が作成したエクセルファイルの関数を解釈させたり、弁護士に相談する前に相談内容を精査したりするなど、我々が特に何も言わなくても自分たちで工夫していろいろな使い方を考えて、試してもらえているところがとてもうれしいですね」

ポイントは、「あれダメ、これダメ」と禁止事項ばかり強調するのではなく、「こういう面白い使い方がある!」「こんな成果が上がってる!」などの成功事例を共有して活用を促進していくこと。それらの活用促進策などにより、利用率が高まっており 、サービス開始当初から倍増しています。

「サービス開始時はクレーム対応などの、『差し迫った業務』の解決を生成AIに求めていましたが、最近は企画案の創出などの前向きな業務の支援がより多く求められるようになってきています。それだけ日常業務に生成AIが浸透してきたのではないか、と感じています」

社内活用からお客様サービスへの活用へ

「当社では、生成AIを社員に慣れ親しんでもらうことをまず第1フェーズと位置付けて進めてきました。全社員が使えるようになったうえで、自社の情報を生成AIに学習させて社内情報に関して回答させようというのが第2フェーズです。さらにその先の第3フェーズとして考えているのが、お客様サービスに生成AIを活用することです。今はまだ文書生成AIのみですが、選択肢はそれだけではありません。画像AIや動画AIなどを利用することも考えていくことになります。今後も恐らく私たちが予測できない形でテクノロジーが発展していくと思いますので、第3フェーズをより良い形で実現できるよう、さまざまな可能性を試していきたいと考えています」

直近では第2フェーズに向け、生成AIを活用した社内データ活用サービス「RICOH デジタルバディ」を、社内問い合わせ向けに試用を進めています。同サービスは、RAG(検索拡張生成)技術によりハルシネーション(事実に基づかない情報を生成する現象)を抑制できるのが特長です。社内問い合わせの本格運用が開始すれば、人事やシステムなどの社内問い合わせを無人対応かつ、高精度に行えるようになり、大幅な業務効率化を実現することができます。

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