導入事例 CASE

プライバシーを保護しながら生成AIをフル活用!
「RICOH Chatbot Service for 生成AI」が医療機関のDXを推進

地域に根ざし地域住民の医療と健康に貢献することを目指す医療法人十全会 おおりん病院(以下、おおりん病院)様。同院では、医療機関が取り扱う情報の機密性や専門性の高さから、外部の第三者を交えての意見交換などが難しいという課題がありました。また、さまざまな年齢層の職員が在籍しておりITの習熟度や理解度の差が大きいため、全ての職員が率先してIT活用に取り組めるようなきっかけを必要としていました。同院は、リコーのChatGPT連携サービス「RICOH Chatbot Service for 生成AI」を活用してこの課題解決に臨みました。具体的にどのように活用しどう課題を解決していったのか、ご担当者の方にお話を伺いました。

医療法人十全会 おおりん病院

所在地:福岡県大野城市中央1丁目13番8号
病床数:341床
診療科目:内科、精神科、心療内科、消化器内科、呼吸器内科、放射線科
URL:https://oorin.org/

精神科、内科を中心にして、地域の皆さまの健康と医療ニーズに応えるおおりん病院様。最新の医療設備と豊富な診療科目を備えており、依存症専門医療機関としてアルコール・薬物・ギャンブル依存症の治療にも積極的に取り組んでいます。地域に密着し、地域の健康を支える病院としてこれからも役立てるよう尽力していきます。

これまでの課題

  • 1
    病院内で実施される各種会議などに、外部の第三者の意見を反映させることが難しかった
  • 2
    医療機関でAIを活用する際には、機密情報やプライバシーが外部に漏れることを防ぐ必要があった
  • 3
    病院内でITやAIをより積極的に活用するきっかけがほしかった

Chatbot導入効果

  • 1
    生成AIを活用することで自分たちが気づかなかった新しい視点を得ることができた
  • 2
    入力された情報はAIの学習対象にならない設定が可能なので、外部へ漏洩を心配することなくAI活用が可能になった
  • 3
    制限をあまりかけずにさまざまな目的でAIを活用させることで、職員自ら積極的にAIを活用しようとしている

プライバシー保護を最優先して「RICOH Chatbot Service for 生成AI」を採択

今回どういった背景で生成AIを病院内に導入しようと思われたのでしょうか。

「医療安全や指導方針などに関して病院内で実施される各種会議などは、医療関係者のみで話し合いが行われ、原則外部の方が参加することはありません。もちろん、内容によっては専門家の知識を結集することで、より良い結論を導き出すこともありますが、それらはあくまで医療関係者のみの意見。我々が出した結論が、患者様やその家族、その他の第三者から見て正しいのかどうかの判断が難しい場合があります。かといって病院で取り扱う情報を簡単に外部の方にアクセスいただくわけにもいきませんので、第三者の意見を聞くということができないのが悩みでした」

そのような課題を解決するために考えたのが、生成AIを第三者的な意見として活用することでした。AIが提示する意見を参考にしたり、人が出した結論をAIがチェックしたりすることなどを通じて、サービス品質をさらに向上していこうと考えました。また、職員の方の年齢層はさまざまで、中にはITを苦手とする方もおられることも課題の1つでした。そのような方に対しても苦手意識を克服して、積極的にパソコンに触れてもらうような機会として、生成AIが役に立つのではないかとも考えました。

採用するAIを選ぶ際にはどのような点を重視されましたか。

「まず、患者様のプライバシーなどを含めた機密情報が外部に漏れないことが最も重要でした。また、院内で使用する資料作成のための情報収集などにもAIを使いたいと考えていましたので、そこで扱う機密情報にも気を遣う必要がありました」

そこで今回選択したのが、リコーの「RICOH Chatbot Service for 生成AI」(以下、for 生成AI)でした。通常のChatGPTは入力情報をAIの学習に利用しますが、for 生成AIは、入力した情報がAIの学習に利用されない設定になっており、外部に流出することがありません。その他にも、月額固定料金で利用でき、利用ユーザーが増えても料金はそのままです。このように組織内で広く活用される場合には非常に有利です。

「少し遡っての話にはなりますが、以前は別のベンダーさんに院内のIT関連整備一式をお願いしていました。その頃にたまたま古いプリンターのメンテナンスに来られていたリコーの方に、別件のIT関連の相談したところ、ほぼ無償で支店の方も交えていろいろ動いていただいて非常に助かった経験があります。もちろん営業的な側面もあるでしょうが、それ以来担当が変わっても人間的な良さはずっと変わりません。常に信頼と安心を感じていたので、院内のパソコンなどもリコーさんにお願いするようになりました。今回も上記のような悩みを相談したところ、『ぴったりのものがある!』と紹介いただいたのが、for 生成AIでした」

比較的自由に利活用してもらうことで苦手意識を克服

生成AIを活用する上で運用上の工夫は何かされていますか。

「今回の生成AIの導入は、院内へのIT浸透策の1つとしても位置付けていますので、あえて利用目的は特に制限しないようにしています。『もう自由に使ってください!』というスタンスです。まだそれほど頻繁には使われていませんが、医療以外のことでも気軽に質問してみてくださいと伝えています。プライベートの質問も許容しているので、例えば『自分の体調が悪いときにどう対応したらよいのか』などの質問もされているようです。外部に情報が洩れる心配がなくユーザーごとで課金されるわけでもないので、そのような比較的自由な使い方が可能で、これが職員のITリテラシー向上にうまくつながれば良いと考えています」

生成AIにより、今まで考えつかなかった新たな気づきを得る

for 生成AIを具体的にどのようにお使いいただいていますか。

「生成AIを活用することで、今まで我々が気づかなかったような意見が出されることもあり、新たな気づきを得ることができています。もちろんAIが生成する回答やアイデアは必ずしも正しいとは言えません。従って、そのまま鵜呑みにするのではなく、『会議の新たな出席者の意見』である、という捉え方をしています。また、いろいろな文書の訂正箇所を指摘してもらったり、より分かりやすく書き直してもらったりするなどの使い方もしており、資料作成の際などの作業時間短縮につながっています。その他にも、ドクターが資料作成する際の事前の情報収集や臨床心理士の方がカウンセリングを行う際の内容確認・調査などにも活用しています」

今では会議の際にでも「AIで調べるとこのような結果が出ました」などの発言が出ることがあり、ITやAI活用に対する意識にも変化が生まれつつあります。このようなさまざまな活用が可能なのも、プライバシーがしっかりと保たれ外部漏洩の危険がないという前提だからこそ実現していることと言えるでしょう。

これから先、AIをどのように活用していこうとお考えですか。

「医療関連ではリアルタイムの情報に影響を受ける場合も多くあります。以前のコロナが5類に変わった場合の影響などがその例です。生成AIでは、現在そのようなリアルタイムの情報を反映することができませんが、将来的にはそのような情報も生成AIを通じて収集できれば一番ありがたいですね。その他にも、プレゼンソフトや表計算ソフトによる資料作成を直接サポートしてくれるようになればさらに便利になるのではと思います。例えば自動的にきれいに表組してくれたり、図の作成をサポートしてくれたり、さらに表計算での間違いを自動的に判別してくれたりすると助かる人も多いのではないでしょうか。私は当院のWebサイトを作成しているのですが、SEOのロジックが頻繁に変わるので、変更があった際に自動的にSEOチェックをAIが行ってくれると嬉しいですね」

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