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最終更新日:2025年11月17日

コールセンター業務の効率化とは?現場が抱えやすい課題点や効率化の進め方など詳しく解説

業務負担が大きいこともあり、人手不足に悩むコールセンターは少なくありません。この記事では、現場で働くオペレーターが抱えがちな課題から、コールセンター業務において発生しがちな問題点や解決策を解説しています。慢性的な人手不足やコールセンターの業務の効率化について悩んでいるなら、ぜひ役立ててください。

1. コールセンターの業務を効率化するには?

コールセンターの業務を効率化するには、オペレーター全員の負荷を均一にしてリソースを上手に利用する必要があります。経験や適性に応じて人員を再配置したり、機械的に処理している業務を自動化したりして、平均処理時間を短縮することが大事です。平均処理時間とは顧客からの質問に回答し、後処理するまでの合計時間のことです。

「生産性向上」との違い

生産性の向上とは、リソースを有効的に活用して、最大限に成果をあげることを指しています。一方で、業務の効率化には、オペレーター全員の能力をフル活用して、作業のムラをなくすという意味があります。資源を活かして成果をあげるか、人材や作業の見直しを行って作業効率を上げるかどうかが大きく異なる点です。
2. コールセンター効率化の重要指標(KPI)とは?

コールセンターの効率化は、感覚ではなく具体的な数値(KPI)に基づいて進める必要があります。KPIはセンターの健康状態を示すバロメーターであり、これらを正しく把握・管理することが改善の第一歩です。ここでは、効率化の文脈で特に重要となる4つのKPIを解説します。

平均処理時間(AHT)

平均処理時間は、1件の応対にかかる平均時間で、「平均通話時間(ATT)」と「平均後処理時間(ACW)」の合計です。オペレーターの生産性に直結する重要指標です。AHTが長い場合、通話・後処理のどちらに時間がかかっているか分析します。特に後処理(ACW)は、CRM入力作業など短縮の余地が大きい領域です。

稼働率

稼働率とは、オペレーターが給与支払い時間のうち、お客様対応関連業務(通話、後処理、待機時間を含む)に従事した時間の割合です。低すぎる場合はコスト増、高すぎる状態はオペレーターの疲弊を招き、応対品質低下や離職に繋がります。

応答率と放棄呼率

応答率は入電に応答できた割合、放棄呼率は繋がる前に切断された割合です。これらは表裏一体で、特に放棄呼率は顧客満足度に直結します。「繋がらない」ストレスは大きいためです。放棄呼率が高い場合、人員不足、入電予測のズレ、分かりにくいIVR(自動音声応答)などが原因として考えられます。モニタリングと問題特定が重要です。

一次完結率(FCR)

一次完結率は、1回の問い合わせで顧客の問題が解決した割合です。この数値が高いほど、オペレーターのスキルが高く効率的である証拠です。逆にFCRが低いと再入電が発生し、顧客の手間を増やしセンター全体の効率を悪化させます。FCR向上には、オペレーター教育、アクセスしやすいFAQやナレッジベースの整備、CRMへの正確な履歴登録が不可欠です。

3. コールセンター業務を効率化するメリット

コールセンターの業務を効率化するメリットについて解説します。

人件費などのコストを削減できる

コールセンターの業務を効率化すると、対応する人員・工数を削減できます。省人化が図れる上に、残業時間を減らすことに繋がるため、人件費を大幅にカットできるでしょう。また、少ないオペレーターで対応できるようになれば、複数ある問い合わせ窓口の統合化も図れます。

オペレーターの負担を軽減できる

コールセンターの業務を効率化すれば、オペレーターの顧客対応や後処理の労力を削減できます。実際に、自動メッセージ対応で問い合わせ内容を細かに振り分けたり、オペレーターの処理をアシストする機能を搭載することで、負担の軽減を図る企業は増えています。

収益向上につながる

コールセンターの業務を効率化することで省人化が図れるため、人件費を削減した分の利益を増やせるでしょう。また、オペレーターの作業負担が軽減されるので、他の業務にリソースを割けるようになり、さらなる収益を生み出すことが可能になります。

優秀な人材の確保につながる

コールセンターの業務効率化により負担を軽減できれば、オペレーターのモチベーションの向上を図れるので、優秀な人材の離職を防ぐのに役立ちます。また、効率化により会社の利益を上げることができれば、給与アップや福利厚生の充実化を目指せるでしょう。従業員の満足度の底上げができると、職場環境が改善され、優秀な人材の確保にもつなげられます。
4. コールセンターが抱えやすい課題点

ここからは、コールセンターが抱えやすい課題について説明します。

対応時間の短縮が難しい

コールセンターでは、どうしても顧客対応と後処理に時間が取られてしまうため、対応時間の短縮を図ることは至難の業です。また、電話以外に、チャットやWebフォームなどの問い合わせに対応できる手段が増えたことで、業務が煩雑化しマニュアルだけでは対処しづらいという側面もあります。

また、即答できない問い合わせがあったり、後処理により時間がかかる内容だったりと、イレギュラーな案件も多く発生します。オペレーターの経験によって対応時間は大きく左右されるでしょう。

規模拡大により業務分担がうまくいかない

コールセンターは、Webフォーム・チャット・電話・メール・SNSといった様々なチャネルから問い合わせがあるため、業務分担が上手くいかないケースがあります。チャネルが増えて規模が拡大する分、業務は複雑化しがちです。クレーム処理・金銭面の相談・登録内容変更・新規受付など、顧客の質問内容によって業務を振り分ける必要があるでしょう。

対応品質の均一化が必要

インターネット・SNSが普及したことで、企業に対するネガティブな意見はすぐに拡散されるようになりました。ブランドイメージの低下を防ぐには、安定した品質のサービスの提供が求められます。オペレーターによる対応のバラつきをなくすためにも、経験や能力によって最適な人員配置をする必要があります。ワークフォースマネジメントを行うことも大事でしょう。

恒常的な人手不足

コールセンターの業務は煩雑化しており、高度な処理スキルが求められるようになりました。受電も架電も、業務量が多い上にノルマもあり、業務上の負担がかなり大きいといえます。また、業務内容によっては法律が絡む問題を相談されるなど、幅広い知識が求められ、精神的なストレスで早期退職する人も少なくありません。コールセンター業界全体が、恒常的な人手不足となっています。

コールセンターの規模に準ずるコストの増加

コールセンターは、問い合わせ数に応じて規模を拡大する必要があります。当然ながら規模を拡大するほど、顧客対応のための人件費・通信費はかさみます。問い合わせ数が多い場合は、チャットボットでFAQに誘導し、顧客自らに対処させるのも一つの手です。
5. コールセンター業務の効率化を推進する方法

コールセンター業務の効率化を推進させる方法について詳しく解説します。

業務効率化のゴールを定め、共有する

コールセンターの業務の効率化を推し進めるには、目的やゴールを明確にすることが大事です。情報共有を常に意識しておかないと、オペレーター間で認識のずれが生じる恐れがあります。対応の優先順位をつけて効率良く作業をこなせるように、目的やゴールは企業内・コールセンター内であらかじめ共有しておくべきでしょう。

現場の声を聞く

業務を効率化させるには、現場で働くオペレーターの声を聞くことが重要です。電話対応しながらFAQを検索しにくい、履歴を残せず顧客に何度も同じ説明をしてもらう必要があるなど、不満や要望を吸い上げていきます。現場の声は、改善点を見出す上で非常に有効です。

「ECRSの原則」を活用する

業務効率の向上を目指すなら、ECRSの原則を参考にしてみると良いでしょう。ECRSの原則とは、取り除く(Eliminate)・まとめる(Combine)・整理する(Rearrange)・単純化する(Simplify)を順番に繰り返す方法です。業務の無駄を省いて複数の作業をまとめたら、今ある業務を整理し単純化させます。繰り返し行うことで、コアな業務に時間を割り振れるようになります。

適切なタイミングで施策を実行する

適切なタイミングで施策を実行するためにも、業務フローの作成や教育体制も整えておくべきです。しかし、繁忙期に取り入れると、オペレーターが変化に順応できず、余計に時間がかかる可能性があります。閑散期やスタッフを増員した後で一つずつ施策を実施していけば、大きなトラブルに発展することなく、施策の有用性を判断できます。

PDCAサイクルを回す

業務効率化のために打ち出した施策の効果を検証するためにも、PCDAサイクルを回すことが重要です。計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)の順に行い、計画を評価して改善を図りましょう。また、施策を実施した後は稼働率をチェックし、一部のオペレーターに負担がかかっていないかも確かめる必要があります。
6. コールセンターの業務効率化の具体的なフロー

ここでは、効率化におけるPDCAの回し方を3つのステップで解説します。

STEP1:課題の可視化とKPI設定

効率化の第一歩は現状把握です。コールセンターシステムやCRMのレポートでデータを分析し、「AHTが長い」「放棄呼率が高い」など課題を数値で可視化します。次にその理由を深掘りし(例:AHTが長いのは後処理が原因)、「後処理時間を20%短縮」「応答率90%以上」といった具体的かつ測定可能な目標(KPI)を設定します。このような明確なゴール設定が重要です。

STEP2:施策の実行と効果測定

設定したKPIを達成する施策を実行します。例えば「音声認識ツールでテキスト入力を自動化する」や「IVRのガイダンスを見直し自己解決を促す」といった対策です。重要なのは「やりっぱなし」にせず、施策実行と同時にKPI数値を継続測定し、変化を記録することです。施策の導入前後で数値を比較し、客観的に評価できるデータを集めます。

STEP3:評価と改善の継続

実行した結果を評価します。目標KPIが達成できたなら、成功要因を分析し、業務プロセスとして定着させます。未達成の場合は「ツールの使い方が浸透していない」など失敗の理由を特定します。この評価結果に基づき、「追加研修を行う」など新たな改善対策を立案し、再びサイクルを回します。この地道な継続が、管理者を中心としたセンター運営の質を高め、最終的に顧客満足度の向上にも繋がります。

7. コールセンター業務を効率化するためのポイント

コールセンターの業務を効率化するために、押さえておきたいポイントについて解説します。

顧客対応の平均処理時間と平均通話時間を短縮する

コールセンターでは、平均処理時間(AHT)と平均通話時間(ATT)を短縮すると、より業務を効率化できます。コール一件あたりのAHTを短縮するには、適正な保留時間・通話時間・処理時間を周知する必要があるでしょう。モニタリングしてオペレーターの弱点を把握し指導をすれば、処理時間の適正化を図れます。

一方で、ATTを短縮する場合は、作業を円滑に進めるトーク術も求められます。グループミーティングなどでお互いの課題を見つけて言い回しを改善するなど、通話時間の短縮に役立つ施策も実施しましょう。

返信テンプレートを効果的に利活用する

コールセンターの業務を効率化するためにも、返信テンプレートを有効に活用するべきです。用途に応じた返信テンプレートを直ぐに検索できる環境を構築すれば、スピーディーに回答できるようになります。また、スムーズに検索できれば、後処理時間の短縮化につながります。

平均後処理時間を見直す

平均後処理時間(ACW)とは、通話終了後の処理にかける平均時間を指しています。顧客の相談内容に応じて文書を入力したり、各部署に報告したりする時間を短縮できれば、業務を効率化できるでしょう。業務が煩雑化していて処理に時間がかかっているのか、オペレーターの処理能力の問題で時間がかかっているのかは見極める必要があります。

適材適所に人員を配置する

蓄積してきたデータをもとに、繁忙期や閑散期の問い合わせ数を予測して人員配置を行うことが大事です。問い合わせ数に応じて安易に増員するとコストがかさむため、今いる人数で混み合う時間帯をカバーできるかどうか調整をまずは図ってみましょう。人員を適材適所に配置できれば、増員を抑えられるほか、サービスの品質を維持しやすくなります。

社内教育でオペレーターのスキルアップを図る

コールセンターの業務を効率化するなら、オペレーターのスキルアップは欠かせません。円滑なコミュニケーションの取り方やクレーム処理の方法、各々の役割や作業分担について見直しを図り、効率的な顧客対応につなげましょう。

チャットボットを活用する

チャットボットを導入すると、既存のFAQコンテンツを上手く活用できるメリットがあります。顧客が入力した内容に応じて該当のFAQページに誘導できるので、電話の問い合わせ件数を減らすことに役立ちます。

オペレーターを増員しなくて済む上に、チャットボットで顧客が聞きたい内容を振り分けできるため、対応時間の短縮につながるでしょう。また、オペレーターが対応できない深夜や早朝の時間帯も活用できるなど、顧客対応の課題を解決できる機能も大きなメリットです。
8. コールセンターの業務効率化を図る上での注意点

ここでは、コールセンターの業務効率化を図る上での注意点を説明します。

目的や目標にマッチする方法を選択する

コールセンターの業務目的や目標に合わない施策を取り入れても、かえってコストや手間がかかり作業を効率化させにくくなります。オーバースペックなシステムや広範囲な施策を取り入れても効果は実感しにくいので、自社の目標や目的に合った手法を適切に選ぶようにしましょう。

サービスの質は保ちながら効率化を図る

コールセンターの業務を効率化するときは、効率化を重視しすぎてサービスの質を落とさないように気を配る必要があります。時間だけを気にしてクロージング率が下がったり、ミスが多発したりすれば、ブランドイメージを損ねる要因となります。

実行可能な施策を1つずつ取り入れる

並行して複数の施策を実施すると、効果が判定しにくくなる上に、オペレーターが対応しづらくなります。従来の施策と混同すれば、顧客対応でクレームが起きてしまう恐れもあるでしょう。今すぐに実行可能な施策であっても、評価をするためには、1つずつ取り入れるようにすることが重要です。
9. コールセンターにおける業務効率化の最新トレンド

コールセンターの業務効率化の手法は日々進化しています。以下では特に注目される最新トレンドを3つ紹介します。

AIによるリアルタイム支援の高度化

AIの活用は、単純な自動応答チャットボットから、さらに高度な領域へと進んでいます。代表的な例が、オペレーターの応対をリアルタイムで支援する機能です。顧客との会話内容をAIが即座に音声認識・分析し、オペレーターの画面に最適な回答候補や参照すべきFAQを自動表示します。これにより、オペレーターの経験年数によらず応対品質を均一化できるほか、保留時間や後処理時間の短縮にも直結します。

ビジュアルIVRによるセルフサービスの拡充

音声ガイダンスを待つ従来のIVR(自動音声応答)に代わり、スマートフォンの画面上でメニューを視覚的に操作できる「ビジュアルIVR」の導入が進んでいます。顧客は「音声」を聞きながら番号を押すストレスから解放され、WebのFAQページやチャットボット、手続きフォームなど最適な解決策へ直接誘導されます。これにより顧客の自己解決率が高まり、オペレーターが対応すべき複雑な問い合わせのみを入電させる「棲み分け」が可能になります。

在宅オペレーション管理の定着

多様な働き方への対策として、在宅コールセンターの運営が定着しました。このトレンドに伴い、クラウド型のコールセンターシステムやWFM(ワークフォースマネジメント)ツールが進化しています。管理者が遠隔からでもオペレーターの稼働状況や応対状況を正確に分析・管理できる環境が整備され、センター勤務と変わらない生産性とセキュリティを両立させる効率的な運営が進んでいます。

10. チャットボットはコールセンターの業務効率化に最適

コールセンターの業務効率化を実現させた事例の一つとしてチャットボットの導入があります。
チャットボットとはWebサイトやアプリ上に組み込むことで、Web上でユーザーの質問に自動で回答することができるプログラムのことです。
簡単な質問などをチャットボットに集約させることで、コールセンターの問い合わせ対応業務の削減を行うことができます。
またチャットボットを導入することで以下のような効果を得られることができます。

営業時間外の問い合わせが可能

チャットボットは24時間365日対応が可能なため、お客様の満足度向上につながります。

顧客対応の品質均一化

一次対応をチャットボットが請け負うことで、対応品質の均一化を図ることができます。

顧客接点の増加

チャットボットから様々なチャネルへ展開することでお客様との顧客接点を増やすことができます。
11. まとめ

コールセンターの業務を効率化するなら、オペレーターの業務負担を軽減し、1件あたりの作業時間を短くする必要があります。やみくもに人員を増やしてもコストも増加しがちです。今いる人員で対応するための施策を探しているなら、チャットボットの活用を検討してはいかがでしょうか。

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