チャットボットでデータを活用するために重要なことは?

チャットボットを導入して業務効率化や問い合わせ対応工数削減などの成果を出した事例は多く存在します。そのような中、チャットボットで取得したデータを活用することでも、成果につなげることが可能です。
そこで今回は、チャットボットで取得したデータの活用のための基礎知識と、具体的にどのように活用できるのかをご紹介します。
チャットボットでは、ユーザーから寄せられた質問と、それに対してチャットボットが回答した内容すべてのログデータを取得することができます。しかしチャットボットのログデータを取得しても、何から手を付けるべきか、どう評価し、どうまとめるべきか分からないこともあるでしょう。
そこで、RICOH Chatbot Serviceで取得できる指標を例にとり、指標ごとにチャットボットで取得したデータでどのような活用ができるのかご紹介します。
チャットボット(Chatbot)とは?│初心者にもわかりやすく解説
1.ダッシュボードでとれる情報
●問合せ対応件数
(満足/不満足/回答できなかった/評価なし/オペレーター対応)
チャットボットが問い合わせ対応を行った件数です。問い合わせに対して、チャットボットがどのような回答をして、どのような結果になったのか、そしてユーザーからの評価も取得できます。チャットボットでは対応しきれない内容である場合、オペレーター対応に途中から変わるケースもあります。
この問い合わせ対応件数からは、チャットボット導入前の有人問い合わせ対応件数と比較することで、有人問い合わせ件数がどのくらい削減できたのかが見えてきます。これにより、業務工数削減効果を知ることができます。
ユーザー評価のデータを活用すれば、チャットボットの問い合わせ対応レベルを知ることができます。もし低い評価が多いのであれば、評価の低かった回答を分析し、改善策を取ることができます。回答できなかったものについては回答を追加すれば精度が高まります。
●カテゴリ別質問数の推移(件数)
カテゴリ別に、質問数が日々、どのように変化するのかを知ることができます。例えば質問が多いカテゴリのQ&Aを追加することで、より精度を上げることができます。
また「土日はほとんど問い合わせがない」「平日の営業時間内の問い合わせが多いが夜10時以降も多少多い」など、時間ごとの問い合わせ件数もわかるので、ユーザー行動の動向を知ることも可能です。時間帯を選んでプロモーションを行いたい場合などの参考になります。
●カテゴリ別の回答状況(件数)
カテゴリ別の回答件数は、特に回答できなかった質問の多かったカテゴリの見直しに役立てることができます。
●問い合わせの多い質問
問い合わせの多い質問を知ることができれば、それらに集中して改善すれば全体の回答精度を上げていくことができます。また関連する質問への回答を拡充することも可能です。
問い合わせの多い質問上位10位くらいを並べてみて、それぞれ満足度を比べてみるのもおすすめです。上位にあるのに満足度が低い回答については優先的に変更することで、満足度の底上げが期待できます。
反対に、問い合わせが多いのにもかかわらず満足度の低い回答については、重点的に改善していくことで全体の満足度向上につながります。
2.過去チャットをダウンロードした際に取得できる情報
・質問ID
・問合せ日時
・カテゴリ
・チャットボットの回答
・質問者の入力
・評価
・質問者
・質問者からのコメント
・リファラー(チャットボットが起動したページ)
過去チャットをダウンロードした際に取得できる情報は、ダッシュボードでとれる情報を分析しているときや、より詳しく内容をチェックしたいときに役立ちます。
また、チャットボットが起動したページ、つまりユーザーがどのページで疑問に思い、チャットボットを利用したのかを知ることができます。この過去のチャットボットのログデータをもとに、ページ内情報を見直したり、コンバージョンページまでの導線を見直したりして、コンバージョンにつなげることも可能です。

チャットボットで収集したデータは、特定の部門だけでなく、企業全体にとって価値ある資産です。ここでは部門ごとの具体的なデータ活用シーンを紹介します。
マーケティング・営業部門
顧客との直接の接点であるチャットボットの会話ログは、見込み客のニーズや課題の宝庫です。例えば、特定の製品ページで「価格」や「導入事例」に関する質問が頻発している場合、それは顧客の関心が高い証拠です。このデータを分析し、見込み客の検討段階をスコアリングする機能を設けることで、インサイドセールスが適切なタイミングでアプローチできるようになります。顧客の温度感に合わせた効率的な営業活動を実現する上で、データ活用は欠かせないポイントです。
カスタマーサポート部門
カスタマーサポート部門では、問い合わせの削減と顧客満足度の向上が常に課題となります。チャットボットの会話データを分析することで、「よくある質問(FAQ)」に登録すべき新たな項目を発見したり、顧客が自己解決できずに離脱しているシナリオの分岐点を特定したりすることが可能です。これにより、FAQコンテンツとチャットボットの回答精度を継続的に改善できます。オペレーターの対応履歴とチャットログを連携させれば、より高度なサポート品質の向上を実現できるというメリットもあります。
人事・総務部門
社内向けに設置されたチャットボットも、データ活用の重要な舞台です。各種申請手続きや福利厚生に関する質問データを分析すれば、社員がどの情報にアクセスできず困っているかが明確になります。この分析結果に基づき、社内ポータルの導線を改善したり、分かりにくい手続きのマニュアルを改訂したりすることで、問い合わせ対応の工数を削減し、社内業務の効率化が図れます。社員満足度を向上させるためにも、データの活用が必要です。
データの活用は大きなメリットをもたらしますが、注意すべきポイントも存在します。安全かつ効果的にデータを活用するために、以下の点に留意することが必要です。
個人情報の取り扱いとセキュリティ
ユーザーとの会話の中には、氏名や連絡先などの個人情報が含まれる可能性があります。これらの情報を収集・管理する際は、個人情報保護法を遵守し、適切なセキュリティ対策を講じることが企業としての大前提です。利用目的をプライバシーポリシーで明記し、ユーザーの同意を得ることが不可欠です。また、不要な個人情報を安易に登録させないようなチャットボットの設計も求められます。
「データの質」の担保
収集したデータがすべて有用とは限りません。目的と無関係な雑談や、入力ミスによるノイズデータが多量に含まれていると、分析結果の精度が著しく低下します。質の高いデータを集めるためには、ユーザーを適切に導き、目的の情報を入力してもらうシナリオ設計が重要です。また、定期的にデータをクレンジング(整理・精査)し、分析に耐えうる状態を維持する運用体制の構築が必要です。

チャットボットを導入する場合は、ユーザー側のインターフェースはもちろん、運用者側で利用する管理画面・ダッシュボードのインターフェースも併せて確認することをおすすめします。データが一目でわかるようなチャットボットであれば、導入後に、より一層効率的・効果的に運用することが可能です。
RICOH Chatbot Serviceは、ダッシュボードで各種データを確認することが可能です。
オンラインデモでは、製品のご説明及びダッシュボードの画面回りをご覧いただけます。また、無料トライアルで試しにお使いいただき、実際にうまく運用できそうか、効果が出そうかを確認いただくことも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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チャットボットの導入事例19選!業界別の事例や導入手順・費用も解説

ここでは、先進的な企業が取り組み始めているAIチャットボットによるデータ活用の最新トレンドをいくつか紹介します。
生成AI連携による潜在ニーズの抽出
従来のシナリオ型と異なり、生成AIを搭載したチャットボットは、より人間らしく自由な会話を実現します。これにより、ユーザーが明確に言語化していない悩みや願望といった「潜在的なニーズ」を会話の文脈から抽出することが可能になりました。この高度な機能は、新たな商品開発やサービスの改善に直結するインサイトを得る上で非常に大きなメリットがあり、多くの企業が注目しているポイントです。
予測分析によるプロアクティブな顧客体験の実現
蓄積された膨大な会話データをAIが継続的に学習することで、顧客の次の行動を予測する動きが加速しています。例えば、「特定の質問をした顧客は、1ヶ月以内に解約する確率が高い」といった予兆を検知し、問題が深刻化する前にサポート部門から能動的にアプローチすることが可能です。このようなプロアクティブ(先回り)な顧客対応は、顧客ロイヤルティを高め、ビジネスの効率を最大化するために不可欠な要素となりつつあります。
チャットボットお役立ち資料
RICOH Chatbot Serviceのサービス資料はもちろん、
導入事例集、チャットボットの基礎知識が学べる資料など
チャットボットに関する様々な資料をご用意!
是非、ダウンロードして御覧ください。

以下のような資料をご用意しています。
- チャットボットの種類とそれぞれのメリットデメリット
- チャットボットサービスを正しく賢く選ぶコツ
- RICOH Chatbot Service 導入事例集
- RICOH Chatbot Service サービス資料
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