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最終更新日:2025年11月17日

チャットボットの効果測定のポイント - 評価指標や事例を紹介

チャットボット導入後、目的は達成できているのか、また達成できていない場合、あとどのくらい足りないのかなどを知りたい場合、効果を測定することが必要です。ここではチャットボットの効果はどのように計測することができるのか、そして具体的な評価指標の例、効果測定の事例をご紹介します。

1. チャットボットとは

チャットボットの基本的な定義

チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた言葉です。テキストや音声を用いて、自動で会話を行うプログラム全体を指します。近年、多くの企業が公式ウェブサイト、ECサイト、あるいは社内ポータルなどに導入を進めています。

導入の目的

導入の主な目的は、顧客や従業員からの質問に対し、人間のオペレーターに代わって24時間365日、即座に回答を実現することにあります。これにより、ユーザーは時間や場所を問わずに必要な情報を得られるため、利便性が大きく向上します。同時に、企業側にとっては、問い合わせ対応に関する業務負担の軽減が期待できます。

チャットボットの主な種類

チャットボットは、その仕組みによって大きく二つのタイプに分類されます。一つは、「シナリオ型(ルールベース)」と呼ばれるタイプです。これは、あらかじめ想定される質問と回答の内容をセットで定義し、設定されたルールやシナリオに沿って応答するものです。正確な情報提供を可能にするメリットがあります。もう一つは、AI(人工知能)を活用した「AI搭載型」です。こちらは、過去の対話データから学習する機能を持ちます。文脈を理解し、シナリオ型よりも自然で柔軟な会話が可能です。

2. チャットボットを導入することで得られる効果

チャットボットを導入するメリットは多岐にわたり、企業活動の様々な側面でポジティブな効果が期待できます。

問い合わせ対応の効率化とコスト削減

最大の効果は、問い合わせ業務の効率化です。これまでオペレーターが対応していた頻繁な、あるいは定型的な質問への回答をチャットボットが代行します。これにより、オペレーターはより専門性が高く、複雑な内容のサポートにリソースを集中できるようになります。結果として、人件費の最適化やコールセンターの混雑緩和が実現され、業務全体の生産性向上に貢献します。

顧客満足度の向上

チャットボットは、24時間365日、顧客の都合の良いタイミングで即時応答が可能です。営業時間外や休日の「すぐに知りたい」というニーズに応えることで、顧客が抱える問題の早期解決を促します。待ち時間のストレスから解放されることは、顧客体験の改善に直結し、企業への信頼感や顧客満足度の向上をもたらします。

顧客ニーズの可視化とサービス改善

運用を通じて蓄積される顧客との対話ログは、貴重な「生の声」の宝庫です。これらのデータを分析することで、顧客がどのような質問や課題を持っているのか、既存のサービスや製品にどのような改善点が求められているのかを具体的に把握できます。この分析結果をサービスやFAQの内容充実にフィードバックすることで、継続的なサービスの質的向上を図ることが可能です。

3. チャットボットの効果測定方法とは

せっかくチャットボットを導入しても、その効果が分からない、どう効果測定して良いか不明といった課題があると、チャットボットを導入した意味がありません。

チャットボットの効果測定をするには、導入前と導入後の比較をすることが重要となります。
例えば、チャットボット導入前の電話による問い合わせ件数がどのくらいで、導入後に電話の問い合わせ件数がどのくらいの減ったのかというのは、一つの効果測定方法です。
まずはチャットボットの効果測定に必要な評価指標を選びます。その後、チャットボット導入前の問い合わせ件数などの数値を用意し、チャットボット導入後の数値と比較します。 これにより、効果測定が可能になります。

4. チャットボットの効果測定の評価指標例

効果測定を行うためには、どの評価指標を使用するかが重要になってきます。自社のチャットボット導入の目的や求める成果に応じて、適切な評価指標を選びましょう。

例えば、効果測定の評価指標としては以下のようなものがあります。

1.チャットボットの利用率


チャットボットの利用率とは、チャットボットがどのくらい利用されているのかの指標です。チャットボットの利用率を計測するには、チャットボットが利用ユーザーに表示された回数に対して、利用ユーザーによって何らかのアクションが行われた回数がどのくらいの割合なのかを算出することで可能です。

2.チャットボットの導入前後の有人問い合わせ対応数


例えば、今まで、電話やメールなどでお客様から問い合わせを受けて対応していたところ、チャットボットを導入して、問い合わせの一部をチャットボットに担わせるといったことはよく行われています。その場合、これまで有人で受けていたよくある問い合わせの対応件数がどれくらい減ったのか、また、全体の有人の問い合わせ対応の中で、よくある問い合わせが占める割合がどれくらい減ったのかといったことを見ていきます。これにより、チャットボットにより、問い合わせ対応工数の削減がどのくらい貢献したのかを知ることができます。

3.社員の勤務時間の変化


チャットボットを導入することで、有人の問い合わせ対応数が減少した場合には、よりその工数削減効果を知るために、勤務時間の変化も指標とすると良いでしょう。勤務時間の短縮につながったということもチャットボット導入の一つの大きな成果となります。

5. チャットボット導入で電話問い合わせ比率が約90%から約50%に低減

では実際、チャットボット導入効果をどのように測定するのか、事例を通して確認していきましょう。

リコージャパンでは、社内の営業を支援するコールセンターにチャットボットを導入しました。課題として、電話だけでなく複数の対応手段を持つオムニチャネル化の必要性や、自己解決型チャネル導入の必要性などがありました。

チャットボット導入前は月当たり合計で約4,000件発生していた問い合わせのうち約90%が電話によるものでしたが、導入して約1年後、電話の比率は約50%に低減しました。
これは、従来の確認の操作よりもチャットボット操作のほうが答えに行き着くまでの時間が短縮されたことによるものです。

チャットボット導入の効果測定を「電話の問い合わせ比率」で測った事例として参考になります。

電話比率が90%から50%に削減した事例の詳細はこちら

6. チャットボットの最新トレンドと今後の動向

チャットボットの技術は日々進化しており、企業と顧客のコミュニケーションをさらに変革しようとしています。

生成AIの台頭と対話能力の向上

最も注目されるトレンドは、生成AIの活用です。従来のチャットボットが苦手としていた、シナリオ外の曖昧な質問や複雑な文脈の理解が飛躍的に向上しました。生成AIは、学習した膨大なデータに基づき、その場で最適な回答を生成する機能を持ちます。これにより、単なる情報提供を超え、顧客の意図を汲み取った、より人間に近い自然な対話の実現が進んでいます。

パーソナライゼーションの深化

今後は、より「個」に最適化された対応が主流となるでしょう。CRMシステムなどと連携し、顧客の過去の購買履歴、閲覧履歴、過去の問い合わせ内容といったデータを参照します。これらの情報に基づき、個々の顧客に合わせた製品レコメンドやサポート情報を提供することで、一人ひとりのニーズに寄り添った体験を実現し、顧客満足度の向上に貢献します。

他システム連携による業務自動化の拡大

チャットボットの役割は、質問に回答するインターフェースだけに留まりません。RPAや基幹業務システムと連携し、運用の幅が広がっています。例えば、顧客からの住所変更依頼をチャットボットが受け付け、RPAがバックエンドの業務システムへ自動で登録変更を行うといった機能です。このような連携により、業務プロセスの抜本的な改善と自動化が期待されます。

7. まとめ

チャットボット導入後、効果測定を行う際には、導入前後を比較すること、適切な指標を選び、測定することがポイントとなります。自社が求める成果の達成具合を知るために、継続して測定を実施していきましょう。

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