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最終更新日:2025年12月12日

シナリオ型・機械学習型チャットボットの違い・メリットは?
~シナリオ作成の基本ステップも解説!

チャットボットとはチャットとロボットをあわせた言葉で、音声やテキストなどを利用して自動で会話するプログラムのことです。実際に、多くの企業がチャットボットを導入し、さまざまな業種で活用されています。自社でもチャットボットを導入したいと考えてはいるものの、チャットボットの種類や運用方法などよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、チャットボットの種類、シナリオ型・機械学習型それぞれのメリットやデメリット、どのようなシーンで活用できるかなどについて解説します。そのほか、チャットボットのシナリオ作成のコツや言葉遣いのポイントなどもまとめました。ぜひ参考にしてください。

1. チャットボットの種類「シナリオ型」「機械学習型」の特徴・違いは?

チャットボットにはシナリオ型、機械学習型、複合型などがあります。それぞれの特徴や違いについて解説します。

種類 メリット デメリット
シナリオ型(ルールベース型)
チャットボット
・あらかじめ問いかけに対する回答が決められているため、選択肢型、一問一答型などのアンケート形式の会話、よくある質問(FAQ)などに向いている
・徐々に絞り込んで目的の回答に到達するような対応もできる
・構築しやすく、比較的低コストでの運用が可能
・シナリオ型のチャットボットは質問と回答が想定される範囲内での運用となるため、複雑な質問に対して柔軟な会話をすることはできない
機械学習型(AI型)チャットボット  ・シナリオ型のチャットボットよりもさまざまな質問にも対応できる  ・データをもとに回答を決定するため、運用開始前に学習データを用意する必要がある
複合型チャットボット  ・シナリオ型のチャットボットと機械学習型のチャットボットの特徴を混合させたタイプ。型どおりの単純な回答ができるような質問にはシナリオ型、複雑な会話になってきたら機械学習型などと使い分けが可能 ・事前にシナリオや学習データを用意する必要がある
・シナリオ型から機械学習への引継ぎは人間を介入したほうがスムーズなケースも 

2. 導入・運用のしやすさならシナリオ型(ルールベース型)チャットボットがおすすめ

導入や運用のしやすさを重視するなら、シナリオ型のチャットボットを検討しましょう。ここでは、シナリオ型のチャットボットをおすすめする理由を解説します。 導入・シナリオの構築がしやすい アンケート型や、よくある質問の答えを導き出すような会話であれば、シナリオの構築は比較的容易です。学習データなどを集める手間や会話の精度を高める調整などは必要なく、すぐに導入できるでしょう。現在チャットボットを導入していない企業でも導入しやすいタイプといえます。

オペレーターなどの人件費削減が可能 シナリオ型チャットボットは単純な質問や会話であれば、オペレーターにとって代わる存在となります。そのため、オペレーターに必要な人数を減らし、人件費を削減できます。複雑で難しい質問はオペレーターが対応し、答えが決まっている単純な質問はチャットボットにするといった使い分けも可能です。

データ修正などの手間がかからない 実際の運用では、シナリオ型も常にブラッシュアップが必要です。そのため、リコーのチャットボットは使い慣れたExcelで簡単にできる修正のしやすさが人気です。

3. 対応の柔軟性・拡張のしやすさなら機械学習型(AI型)
チャットボットがおすすめ

導入・運用の手軽さでシナリオ型が選ばれる一方、機械学習型(AI型)チャットボットは、「対応の柔軟性」と「長期的な拡張のしやすさ」において大きな強みを持ちます。 ●曖昧な入力への対応と自然な会話 機械学習型の最大の特長は、AIがユーザーの入力した言葉の意図を理解しようとする点にあります。例えば、「料金はいくら?」「値段を教えて」「コスト感が知りたい」といった異なる表現(言葉の揺らぎ)を、AIが「料金に関する質問」として認識し、同じ回答へ導きます。シナリオ型でこれら全てを網羅しようとすると設定が膨大になりますが、AIを搭載したツールなら自動で対応可能です。この仕組みにより、ユーザーは質問の仕方を悩む必要がなく、より自然な対話が実現します。これにより、シナリオ型では回答にたどり着けなかったユーザーの疑問を解消し、顧客満足度の向上に貢献します。

●Q&A追加・修正のしやすさ(メンテナンス性) チャットボットは導入後も継続的なメンテナンスが不可欠です。シナリオ型の場合、新しい質問を追加したり、既存の回答を修正したりする際に、前後の分岐やフロー全体への影響を考慮して編集する必要があります。一方、機械学習型は、既存の仕組みに新しいQ&Aデータを追加学習させるだけで対応範囲を広げられるため、メンテナンスが比較的容易です。この拡張性の高さは、長期的な運用を見据えた場合に大きなメリットとなります。ただし、AIの回答精度を適切に保つためには、定期的に学習データの内容を見直す必要があり、そのための運用体制や費用も考慮に入れておくべき課題と言えるでしょう。

4. 【活用シーン】機械学習型チャットボットの主な活用例

機械学習型チャットボットは、その高度な会話理解能力と柔軟な対応力を活かし、多様な業務シーンで活用されています。AIを搭載することで、従来の仕組みでは対応しきれなかった課題の解決が期待できます。 ●カスタマーサポート 顧客からの問い合わせ窓口は、機械学習型が最も活躍するシーンの一つです。商品の仕様、トラブルシューティング、契約内容の確認など、問い合わせが多岐にわたり、シナリオ型では分岐が複雑になりすぎる場合に有効です。24時間365日、ユーザーの曖昧な入力に対してもAIが意図を汲み取り、適切な回答を提示します。これにより、オペレーターの負担を軽減しつつ、顧客の待ち時間を削減できます。解決しない場合は有人チャットへスムーズに引き継ぐ機能を併せ持つツールも多く、顧客満足度の全体的な向上に貢献します。

●社内ヘルプデスク 総務・人事・情報システム部など、バックオフィス部門への社内問い合わせ対応も主な活用例です。経費精算の方法、福利厚生の申請、PCの不具合対応など、部署ごとに異なる多様な質問にAIが対応します。従業員が自然な言葉で質問するだけで、膨大な社内規程やマニュアルの中から必要な情報を見つけ出して提示します。これにより、バックオフィス部門の担当者が定型的な質問対応から解放され、コア業務に集中できる環境を整えることができます。

●Webサイトでのナーチャリング Webサイトを訪問した見込み客に対し、適切なタイミングで情報を提供する「Web接客」としての活用も進んでいます。訪問者の行動履歴や質問内容に基づき、AIがその訪問者にとって有益と判断した情報(関連サービス、導入事例、料金プランなど)を能動的に提示します。単なるQ&A対応に留まらず、対話を通じて訪問者のニーズを深掘りし、比較検討を促すことで、コンバージョン率の向上を目指します。

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5. チャットボットのシナリオ作成の基本STEPとポイント

チャットボットのシナリオは事前に作成しておかなければなりません。その基本的な手順とポイントについて解説します。 チャットボット設置の目的を明確にする チャットボットを導入する前に、まず目的を明確にし、なぜ導入するのかを今一度確認しましょう。それによって、どのようなチャットボットを選ぶのか、活用方法をどうするのかなどが異なります。
導入後にやり直すようなことになると、手間もコストも無駄にかかってしまいます。チャットボットのメリットを引き出し、無駄なく活用するためにも目的設定は必須です。

ターゲットを定める チャットボットを設置するページに訪れるのはどのような人物なのか、ターゲットを定めましょう。ターゲットのおおまかな年齢層や性別だけではなく、どのような悩みを解決したいのかなど細かく設定します。
事前にターゲットを限定したくない場合は、導入後にどのような目的でチャットボッドが使用されたのかを分析してもよいでしょう。そこから微調整するという方法もあります。

設置場所を決める チャットボットをWebサイトのどこに設置するのかを決定します。問い合わせ目的でサイトを訪れる人が多いのであればトップページに置くとよいでしょう。サイト訪問者は問い合わせページがどこなのかを探さなくても済みます。
商品の詳細について問い合わせが多い場合は、商品詳細ページに設置すると効果的です。ターゲットの行動にあわせて設置場所を決めましょう。

チャットボットのシナリオの骨組みを作る 決定した目的、ターゲット、設置場所をもとにしてチャットボットのシナリオの骨組みを作りましょう。利用するチャットボットによっては、選択肢の個数や階層の深さに制限があることもあります。そういった事柄を確認しつつ、ユーザーの悩みにどこまでチャットボットが回答するのか、どのようなシナリオの骨組みにするのかを決めていきます。

会話を想定してチャットボットのシナリオを作成する 作成した骨組みに沿って、具体的にチャットボットのシナリオを作成します。実際にどのような会話になるのかを想定して作っていきましょう。チャットボットの場合は、コールセンターでの受け答えのようなしっかりとした敬語を使わなくても、ユーザーの満足度は高い傾向にあります。
親しみやすさを重要視するのであれば、キャラクターが発話しているように特徴的な語尾をつけ、敬語は使わないようにすることも可能です。また、同じ回答でも複数の言い方を用意し、ランダムに発言するようにすると、ロボットのようではなく人間らしさを演出できます。
会話の流れとしては、ユーザーの質問を聞き出し、答えるというものになります。新たに作成しなくても既存の「よくある質問」を流用してもよいでしょう。ユーザーが不愉快な思いをせずに疑問点が解消できるよう工夫しましょう。

運用開始後も随時検証・改善を行う チャットボットの効果を最大限発揮させるためには、運用後も随時検証を行い、メンテナンスしていきましょう。
チャットボットがユーザーの発言を間違って認識する、回答が的外れといったこともあります。機械学習型の場合は、間違えた状態で学習してしまうおそれもあります。そうなると、ストレスを感じるユーザーが増え、Webページの訪問者が減ってしまうかもしれません。常にチェックし更新しておくと、より効果的に利用できます。

6. 機械学習型チャットボットの最新トレンド

●生成AI(LLM)との連携・搭載 最も注目されるトレンドが、ChatGPTに代表される生成AI(大規模言語モデル:LLM)を搭載したチャットボットの登場です。従来の機械学習型が「登録されたFAQから最適な回答を探す」仕組みであったのに対し、生成AI連携型は「登録されたデータやマニュアルの内容を基に、その場で自然で分かりやすい回答文を生成」できます。これにより、FAQとして用意されていない未知の質問への対応力や、要約・翻訳といった機能が飛躍的に向上しました。一方で、AIが誤った情報を生成する「ハルシネーション」という課題もあり、いかに適切に制御するかがツール選定の鍵となります。

●ボイスボット(音声対話)への進化 テキスト入力だけでなく、音声での対話が可能な「ボイスボット」もトレンドの一つです。これは、コールセンターの自動応答(IVR)の高度化や、スマートデバイスの操作アシスタントとして活用が広がっています。音声認識技術と自然言語理解の仕組みを組み合わせることで、ユーザーはキーボード操作なしで、より直感的に情報を得ることが可能になります。

●導入・運用費用の多様化 かつて機械学習型チャットボットは、高額な初期費用とAIの専門知識が必要なため、導入のハードルが高いものでした。しかし現在では、SaaS(クラウド型)で提供されるツールが増加し、比較的安価な料金プランも多く登場しています。生成AIの搭載により、従来よりも少ない学習データで導入できるサービスも増えており、企業規模や目的に応じて多様な選択肢を比較検討しやすくなっています。

7. まとめ

チャットボットにはシナリオ型、機械学習型、複合型などの種類があります。どのような目的でチャットボットを導入するのか、ターゲットはどのような人なのかを明確にし、自社にあったチャットボットを導入していきましょう。
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