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最終更新日:2025年12月12日

不動産業におけるチャットボット活用方法とは?
業務効率化の進め方

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、不動産市場や人々の住宅に求める条件が大きく変化しました。不動産業においては、非対面営業へのニーズの高まりや問い合わせ件数増加に伴い、リモート接客ツールの導入が進んでいます。
今回は、不動産市場や不動産業の現状や課題と共に、課題解決となるリモート接客ツールをご紹介します。中でも、チャットボットは不動産業の業務効率化を実現する有用なツールです。その理由もご紹介します。

1. コロナ禍の影響を受ける不動産市場

不動産市場は、コロナ禍の影響を大きく受け、変化しました。

首都圏の新築分譲マンションの供給数や契約数のデータを見ると、緊急事態宣言などが発令された2020年上半期は軒並み減少し、大きな影響が出ました。しかし2021年上半期には、供給数と契約数ともに前年より増加し、反動による増加の様子も見られます。

また賃貸住宅管理会社においても、2020年上期の来客数、成約件数はともに減少し、マイナスにもなりました(※1)が、2020年下期より徐々に増加に転じ、成約件数はプラスに振れました(※2)。

このように、不動産市場は一時期ではありますが、コロナ禍の影響を大きく受けました。

2. 顧客の住宅に求める条件が変化

市場の変化と共に、不動産業の顧客ニーズの変化も起きました。

コロナ禍で在宅勤務をする人が増えたことで、住宅に求める条件が変化したのです。

リクルート住まいカンパニーが2020年12月に実施した『住宅購入・建築検討者』調査 (2020年)の結果、コロナの拡大によって、検討者の4%が「検討を中止した」と回答した一方、「影響はない」と回答した人は41%となっており、住まい探しへの影響は限定的となっています(※3)。

コロナ拡大による住宅に求める条件として、在宅勤務を想定した仕事専用スペースなどが上位に挙がり、住宅の広さや設備環境のほか、住み慣れたエリアにこだわる人が増加しました。また、一戸建てを検討する人も増えてきています。

●住まい探しの手段も変化 また、2020年9月~11月の調査(※4)では、物件情報入手経路として「インターネット」が60.9%で最も多く、次いで「不動産店へ直接行く」で 32.2%となっており、詳細な情報までインターネット上で収集したいというニーズがさらに高まっています。

3. 不動産業の非対面営業へのニーズの高まり

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、不動産業の企業は経営や業務への影響に対して、さまざまな対策を講じていますが、その対策の中でも「リモート接客」 と「オンライン内見を導入」が4割以上となり、前期から大きく上昇したという調査データもあります(※5)。

このような非対面営業へのニーズの高まりを受け、不動産業の各社ではリモート接客ツールの導入が進んでいます。導入されているツールとしては、次の3種類が主となっています。

・VR内見ツール VR(バーチャルリアリティ)の技術を用いて、物件の内見を画像や映像を通じ、オンライン上で提供するツールです。顧客はインターネット上から内見ができるメリット、企業側はリモートで接客ができるメリットがあります。

・リモート接客システム リモート接客システムとは、従来、店舗などで実施していた接客を、オンラインで完結するためのツールです。ビデオ通話システムと似ていますが、顧客からの予約機能や、データ収集・分析機能など、接客に特化した機能を持つのが特徴です。

・チャットボット チャットボットとは、Webページやアプリ上で機能する無人のチャットシステムです。顧客が知りたい情報を自ら入力すると、自動でロボットが適した回答を返します。非対面のオンラインで接客できるほか、24時間365日の接客を可能にし、完全に無人対応も可能なケースにおいては、特に省人化や業務効率化などのメリットも見込めます。

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4. 問い合わせ件数増加で業務効率化が必須に

不動産業では、コロナ禍の影響によって非対面営業への対応を余儀なくされているほか、問い合わせ件数の増加に伴う、業務効率化も求められています。

先述の調査(※6)においては、経営及び業務への影響として「クレーム・問い合わせが増加」が5割以上となりました。

コロナ禍でのステイホーム、在宅勤務の増加によって、住宅環境への関心が大きくなっていることがうかがわれます。

このような背景から、問い合わせへの迅速な回答により顧客満足度を高めることや、本来の業務を圧迫しないように問い合わせ対応業務を効率化することが重要になっています。

5. チャットボットが不動産業の業務効率化の課題解決のカギに

先に取り上げたリモート接客ツールの中でも、チャットボットは、不動産業における契約前、入居後の問い合わせ対応が可能となり、非対面営業や業務の効率化に役立つツールです。

●チャットボットで可能な問い合わせ対応 チャットボットでは具体的に次のような問い合わせを受けることができます。

・契約前のサービスについての問い合わせ サービスやサポートの内容はどうなっているのか、店舗の営業時間など、契約前のサービスに関する問い合わせ全般に対応可能です。

・不動産売買や賃貸に関する問い合わせ 不動産売買や賃貸契約を目的とするユーザーが、物件を検索する前に決めておくべきことや、物件の探し方、 内見のポイントなどのアドバイスを提供することができます。

・入居後の問い合わせ 物件に入居した後に知りたい、ゴミの出し方、駐車場の契約方法、水漏れなどのトラブルが起きてしまったなどの問い合わせに対応できます。

●チャットボットのメリット また、チャットボットには、次のようなメリットがあります。

【企業側】 1.よくある問い合わせに自動回答できるので、業務効率化が可能。
2.電話やメールフォームより気軽に問い合わせしてもらえる。
3.問い合わせデータが残るため、ユーザーの関心事がわかる。
4.チャットボットをホームページ上に設置することで、ユーザーが欲しい情報をチャットボットでタイムリーに伝えることができ、ユーザーに興味を持ってもらい、さまざまなページを見てもらうことが可能。ホームページの滞在時間が増え、資料請求増加なども期待できる。

【顧客(ユーザー)側】 1.電話やメールフォームより問い合わせがしやすい。
2.待ち時間なく疑問をスピーディーに解決できる。
3.FAQ等を参照元するよりも、検索がより簡単にできる。
4. 24時間365日問い合わせができる。

6. 不動産業におけるチャットボットの選び方

不動産業界向けのチャットボットは機能や価格帯が多様で選択肢が多いため、自社の目的に合致したものを選ぶことが重要です。単に人気があるからという理由で選ぶと、現場のニーズと乖離してしまう可能性があります。

導入目的とカバーする業務範囲の明確化 まず、「集客(新規問い合わせの獲得)」「既存顧客(入居者)のサポート」「社内業務(仲介会社向け情報の案内)」など、主な導入目的を明確にします。例えば、Webサイトでの物件案内に利用するのか、入居者からの「お湯が出ない」といった緊急性の高い質問に対応するのかで、求められる機能や応答速度は異なります。業務範囲を定めることで、必要な機能が絞り込めます。

物件データベースや基幹システムとの連携性 特に物件の案内や空室確認の自動化を目指す場合、物件データベース(基幹システム)との連携は不可欠です。連携ができないと、チャットボットが古い情報を回答してしまい、かえって顧客満足度を下げかねません。専門的なITの知識がなくても、データの連携や管理がスムーズに行えるかを確認しましょう。

Q&A(シナリオ)の作成と管理の容易さ 不動産業界特有の専門用語や、法改正、季節的な質問(例:「更新手続きについて」)に柔軟に対応できるかが鍵となります。導入時に完璧なシナリオを作成するのは困難です。そのため、現場の担当者が専門知識を活かし、質問と回答のセットを簡単に追加・修正できる管理機能があるか、また、運用が便利になるようなサポート体制が整っているかを選定の基準にすることが、継続的な活用のために重要です。これにより、回答精度の向上が見込めます。

7. 不動産業のチャットボット導入でよくある失敗

チャットボットは業務効率の向上に大きく寄与する可能性を持ちますが、導入計画が不十分だと期待した効果が得られません。不動産業界で特に多い失敗例を知り、事前に対策を講じることが成功の鍵です。

目的が曖昧なまま「とりあえず導入」してしまう 最も多い失敗が、「競合他社が導入しているから」といった曖昧な理由で導入を進めるケースです。どの業務の負担を軽減したいのか、どの顧客体験を向上させたいのかが不明確なままでは、費用対効果を測定できません。結果として、Webサイトに設置したものの、ほとんど利用されず、なぜ効果が出ないのかも分析できない状態に陥りがちです。

回答シナリオ(Q&A)の準備・管理が不十分 チャットボットの回答精度は、事前に準備するQ&A(シナリオ)の質と量に大きく依存します。特に不動産業界は専門用語や複雑な手続きに関する質問が多いため、シナリオ作成の負荷が高くなりがちです。この準備を怠ると、顧客が知りたい質問に全く答えられない「使えないボット」になってしまいます。また、導入後に寄せられた新しい質問に対応せず、情報を更新しないことで、徐々に回答精度が低下していくケースも散見されます。

導入後の運用・分析体制がない チャットボットは導入して終わりではなく、むしろ導入後からが本番です。顧客からどのような質問が入力されたか(ログ)を定期的に分析し、回答できなかった質問のシナリオを追加・修正していく継続的な管理と改善活動が不可欠です。「どの業務をどれだけ自動化できたか」を測定する体制を構築しなければ、投資対効果を把握することも、サービスを改善することもできません。

8. チャットボットが不動産DXを加速させる

チャットボットは、単なる問い合わせ対応の自動化ツールに留まりません。不動産業界が推進するDXにおいて、顧客接点と社内業務の両面から変革を加速させる重要なITソリューションです。

顧客接点のデジタル化とデータ蓄積 Webサイトやポータルサイトにチャットボットを設置することで、顧客は24時間365日、時間や場所を問わずに質問や物件検索が可能になります。これにより、顧客体験(CX)は飛躍的に向上します。さらに重要なのは、チャットボットに寄せられる「顧客の生の声」という膨大なデータが蓄積される点です。これらの質問データを分析し、潜在的なニーズやサービスの課題を可視化すること、このデータの利用こそがDXの第一歩となります。

他システム連携によるシームレスな体験 チャットボットをCRM(顧客管理システム)や物件データベース、内見予約システムと連携させることで、顧客体験はさらに向上します。例えば、サイト上で希望条件を質問された際、チャットボットがそのままデータベースと連携して最適な物件を案内し、気に入ればその場で内見予約までシームレスに完結できます。このような一気通貫で便利な体験の提供は、顧客の離脱を防ぎ、成約率アップに貢献します。

社内業務のDX推進 チャットボットの利用価値は、顧客対応だけに限りません。社内ポータルに設置し、各種申請フローの案内や、仲介会社からの物件確認、社内規定に関する質問対応など、バックオフィス業務の自動化にも活用できます。これにより、従業員がより付加価値の高いコア業務に集中できる体制を構築すること、それ自体が企業のDX推進と生産性向上に直結します。

9. まとめ

コロナ禍で、不動産店舗側では、営業活動・顧客とのコミュニケ―ションのオンライン化を進めて商談機会を増やしています。一方で、問い合わせ対応業務が増大してしまい対応に追われるという、新たな課題にも直面しています。

お客様とのコミュニケーション強化により、多様化するニーズへの対応と商談機会のロスをなくしていくことが必要になっています。非対面かつ問い合わせ対応業務の効率化の両方を実現するチャットボットは、不動産業にとって有用なツールです。

リコーの「RICOH Chatbot Service」は、不動産業の企業様の導入実績が豊富にあります。ぜひお気軽にご相談ください。

不動産業のチャットボット活用シーンはこちら RICOH Chatbot Service紹介資料はこちら

※1:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』 2020年10月~2021年3月」
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan25.pdf

※2:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第24回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』 2020年4月~2020年9月」
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan24.pdf

※3:リクルート住まいカンパニー「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20210603_housing_01.pdf

※4:(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全国宅地建物取引業保証協会 「不動産の日アンケート」 住居の居住志向及び購買等に関する意識調査」
https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/02/2020-fudousan-anke-to.pdf

※5:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』 2020年10月~2021年3月」
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan25.pdf

※6:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』 2020年10月~2021年3月」
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan25.pdf

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