チャットボットを活用したBtoB企業のマーケティング成功事例
近年、注目を集めるチャットボットですが、チャットボットは主にカスタマーサービスやコンタクトセンター、コールセンターの代わりとして活用されるケースが多く見られます。
しかし現在では、Webサイトを活用したマーケティング活動を行う企業が増加しており、マーケティング分野におけるチャットボットの導入効果を期待し、チャットボットを活用する企業が増えてきました。
本コラムでは、BtoB企業におけるチャットボットを活用したマーケティング成功事例をご紹介します。
チャットボットとはWebサイトやアプリなどに設置することで、利用者の質問に対して自動的に回答を返すことができるシステムです。チャットボットは社内のヘルプデスクや、お客様の受付窓口として利用され、問い合わせ業務の削減に活用されています。
また、近年はマーケティングにおける活用例も多く見られるようになり、チャットボットの導入により、CVRを向上させることに成功した企業もございます。
チャットボットには「ルールベース型」と「機械学習型」の大きく2種類が存在します。「ルールベース型」は事前に人間が設定したルールやシナリオ通りに応答します。逆に言えば決めた言葉以外ではチャットは機能しません。一方「機械学習型」は統計的に正しいであろう回答をAIが考えて、ユーザーに回答を返します。AIは学習をするため、使えば使うほど情報を蓄積し、賢くなっていき、より正しい回答ができるようになります。もしチャットボットの導入を検討している企業があれば、その目的や用途により、どちらの型を導入すべきかを検討されると良いでしょう。
チャットボットをBtoB企業がマーケティング用途で利用することによって、どのような効果が出るのでしょうか。主な5つの効果をご紹介します。
●接点増加による新規顧客の開拓
従来、顧客との接点が電話や問い合わせフォーム、メールしかなかった場合、チャットボットが加わることで接点が一つ増えるため、そこから新規顧客の開拓につながる可能性があります。
●問い合わせの心理的なハードルを下げる
チャットボットは、顧客にとって24時間365日、時間を選ばず、夜間・休日であっても問い合わせができますし、問い合わせフォームやメールと比べて手軽に利用できるので、問い合わせの心理的なハードルを下げます。結果、問い合わせ数向上や見込み客への移行、新規顧客開拓など多様な効果が期待できます。
●直帰率・離脱率の低下と回遊率・コンバージョン率の向上
ホームページ上にチャットボットを設けることで、訪問客は気軽にホームページ訪問中に質問が可能となるため、直帰率・離脱率の低下が見込めます。回遊率・コンバージョン率の向上にもつながる可能性があります。
●ログ取得・分析により顧客理解が深まる
チャットボットでの会話ログは、貴重な顧客ニーズ分析のデータとなります。顧客理解が深まり、結果的に良好なコミュニケーションを取ることができるようになり、売上・契約数UPや顧客満足度UPにつながる可能性があります。
●自動化によるコスト削減
チャットボットが代わりに問い合わせ対応を行ってくれれば、問い合わせ対応の人的、時間的コスト削減につながります。結果、問い合わせ対応者の業務効率化につながります。
ルールベース型のチャットボットは「多くの人から何度も同じような質問をされる企業」に適していると言えます。例えば、「Aという商品の重さはどれくらいですか?」という問い合わせが多い場合には、知りたいこと>商品>重さ>Aという順番でお客様を誘導できるシナリオを組んでおけば、チャットボットがお客様に「Aは920グラムです」という的確な回答をしてくれます。
ルールベース型チャットボットは、質問に対する回答やシナリオを事前に登録しますので、知りたい情報が比較的明確な質問への対応に適しています。人ではなく機械が返答を行うため、人件費削減には大いに貢献するでしょう。
BtoB企業のマーケティングの導入成功事例としては、損害保険会社の法人専門部署がオペレータの人員が少なくなる夜間~深夜時間帯において、自動車保険の見積もり依頼や相談にチャットボットで対応したものが挙げられます。保険に関する質問はほぼ事前に推察できるため、ルールベース型チャットボットの導入により人件費削減、お客様満足度向上、保険契約数増などのメリットを得ています。
機械学習型のチャットボットは、「顧客接点を増やしたい企業」に適しています。特にBtoB領域では、何か知りたいことが出てきても「しつこく営業をかけられたら嫌だ。」という思いからお客様はなかなか問い合わせや資料請求をしてくれません。
チャットボットならば、お客様は個人情報をさらさずに自分の知りたい情報に関する質問をして、リアルタイムに企業から回答を得ることができるため、気軽に質問をしてくれるようになります。
機械学習型はルールベース型と違い、お客様が入力された内容を基に、以下のステップで正しい回答をAIが算出します。
ステップ1:お客様が入力した内容を形態素解析という自然言語処理で理解する
ステップ2:お客様の質問の意図や聞いている内容をこれまでの「経験」に照らして理解する
ステップ3:質問に対する回答の候補を抽出し、一番正しいであろう回答を導き出す
ルールベース型は「知りたい情報は次の内のどれですか?」という紋切型のチャットになりがちですが、機械学習型ならば、「お困りのことは何ですか?」という質問をして、お客様が曖昧な答えを返してきても、「それならば、この中に知りたいことはありますか?」など、あたかも人間と会話をしているようなチャットを行うことが可能です。
BtoBマーケティングの導入成功事例としては、銀行がWebサイト上で商品やサービスに関する質問への初期応対をチャットボットで行うことで、顧客満足度向上と人件費削減の2つを同時に実現している、というものがあります。これは一般客に対するものだけでなく、例えば融資希望の法人が相談に行く際に準備しておくべき書類に関してチャットボットで案内をする、ということなども行っています。
この場合も機械学習型ならば「融資相談時に持参すべき書類は?」という質問と「融資相談のために準備するものは?」という質問は同じことを聞こうとしているのだなと判断し、同一の回答をすることができます。
金融機関にとって、優良な融資先を新規開拓することは非常に重要なマーケティング業務です。他行は15時以降には窓口で質問ができないのに対して、チャットボットを導入している銀行はたとえ夜中でもお客様からの質問に答えられるため、非常に大きな差別化要因となり、融資先開拓につながるのです。
さらに、チャットボットとMA(Marketing Automation)を組み合わせることで、お客様のことをより深く理解することが可能です。お客様のWeb閲覧履歴をMAで把握するだけでなく、「AとBのページをご覧になったお客様がこの質問をしてこられた場合は、Cについて知りたいはずだ」など、お客様が本当に知りたいことを推察した上で商談を進めていけば、より御社への信頼度は高まることでしょう。
MAにより把握できる「お客様の行動データ」とチャットボットによる「会話データ」を組み合わせたマーケティング手法で、お客様の真意とニーズを把握した上でリアルなコミュニケーションが実現します。
この組み合わせにより、チャットボットはお客様に聞かれたことに関して単純に返答をする「説明担当」ではなく、お客様の課題解決をお手伝いし、ホット化したお客様を見つけ出す「マーケティング担当」になっていくことができるのです。
ただし、機械学習型のチャットボットは最初に「教師データ」と呼ばれる、お客様からされる質問とそれに対して何をどのように答えるべきかのデータを準備する必要があります。また、正答率を高めるために、どのような質問に対してどのような回答をしたか、その回答内容は適切だったか、といった確認と、チューニングを継続的に行うなどの学習が重要です。
最初は少しだけ手がかかるchatbot君ですが、かしこくなるためにお勉強に付き合ってあげさえすれば、24時間文句を言わずにしっかりとお客様対応をしてくれる働き者に成長してくれます。
チャットボットの導入を検討されている企業は、ルールベース型か機械学習型のどちらが自社に合っているかを検討したうえでぜひ使ってみてくださいね。
チャットボットお役立ち資料
RICOH Chatbot Serviceのサービス資料はもちろん、
導入事例集、チャットボットの基礎知識が学べる資料など
チャットボットに関する様々な資料をご用意!
是非、ダウンロードして御覧ください。
以下のような資料をご用意しています。
- チャットボットの種類とそれぞれのメリットデメリット
- チャットボットサービスを正しく賢く選ぶコツ
- RICOH Chatbot Service 導入事例集
- RICOH Chatbot Service サービス資料
など様々な資料をご提供中!