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最終更新日:2025年12月15日

カスタマーディライトとは?実現方法・実現するメリット・デメリット・注意点を徹底解説

近年、マーケティング業界においてはカスタマーディライトの実現が重要だといわれています。「カスタマーディライト」という言葉が気になっている人へ向けて、この記事では言葉の概要や実現方法を解説していきます。カスタマーディライトを実現するメリットなども紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

1. カスタマーディライトとは?

まずはカスタマーディライトとは何かについて、概要を解説します。

顧客に感動・喜びの気持ちを与えること

ディライトとは、「喜び」や「楽しみ」を表す言葉です。つまり、カスタマーディライトとは、サービスの提供などによって顧客に大きな喜びや楽しみ、感動を与えることを示しています。期待以上のものが得られたときに感じる感動や喜びは、非常に大きなものがあります。このカスタマーディライトを提供し続けることで顧客が増えています。

カスタマーサティスファクション(CS)との違い

カスタマーディライトと似た意味を表す言葉として、カスタマーサティスファクション(CS)があります。カスタマーサティスファクションとは「顧客満足度」を指す言葉です。カスタマーディライトは顧客満足度だけではなく「感動」も与えるという点でカスタマーサティスファクションと異なっています。
2. カスタマーディライトが重要視される理由

続けて、カスタマーディライトが重要視される理由を解説します。

満足感以上のサービスを期待する顧客の増加

様々な商品やサービスのクオリティが上がったことによって、顧客が商品やサービスに求めるレベルも年々上がる傾向にあります。つまり、満足度を満たすだけでは、顧客がサービスを利用するとは限らなくなっているのです。そのため、満足で終わらずに「他者に勧めてもらうレベル」まで、顧客のサービスに対する気持ちを高める必要性が重要になっています。

顧客満足度だけでは得られない競争優位性

多くの企業は顧客を獲得するために様々な取り組みを行っていますが、それは顧客満足度を重視する企業が増えてきているからです。こういった市場の中では、顧客を満足させる以上のサービスを行わなければ、競争に勝つことができません。顧客満足度+αまで獲得するための取り組みを行わなければならないのです。
3. カスタマーディライトとカスタマーサクセスの関係性

カスタマーディライトとカスタマーサクセスは、どちらも顧客満足を向上させ、企業との長期的な関係を築くことを目指す考え方ですが、アプローチの方向性に違いがあります。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、顧客自身の目標や「成功」を達成できるように、企業側から能動的に働きかけるプロセスです。目標達成に向けたオンボーディング支援、定期的な利用状況の分析と活用促進が主な行動です。これは、契約後の解約防止とLTV(生涯価値)の最大化を目的としており、予測可能で再現性のある体験の提供に重点を置きます。

カスタマーディライト

一方、カスタマーディライトは、顧客の体験が期待水準をわずかに上回る「満足」に留まらず、予想をはるかに超える「感動」レベルに達することを目指します。カスタマーサクセスが顧客の「必然的な成功」を支える活動だとすれば、カスタマーディライトは「不意の体験を通じた感動」を生み出し、顧客との情緒的な関係を深める考え方です。カスタマーディライトは、カスタマーサクセスの基盤の上に、顧客の感情を動かす行動やサービスを上乗せすることで、向上したロイヤルティを築きます。

4. カスタマーディライト実現のカギを握る「従業員満足度」の重要性

カスタマーディライトは、マニュアル通りではない、顧客の期待を上回る柔軟な行動やサービス提供によって実現されます。そのため、現場で顧客と直接接する従業員のモチベーションと裁量権が極めて重要であり、従業員満足度(ES)の向上がカスタマーディライトの実現を左右します。

従業員エンゲージメントの強化

従業員が自社の製品や考え方に愛着を持ち、自身の仕事に誇りややりがいを感じている状態を「従業員エンゲージメント」といいます。エンゲージメントが高い従業員は、自発的に顧客の感情を察し、マニュアルを超えた「感動」を生み出す行動をとる傾向にあります。企業は、適切な評価制度、柔軟な働き方、そして顧客からのポジティブなインタビューやフィードバックを共有する機会を設けることで、従業員のモチベーション向上を図る必要があります。

現場への権限委譲(エンパワーメント)

感動的な体験は、その場での迅速な判断と行動によって生まれることが多くあります。従業員に一定の裁量権(エンパワーメント)を与えることで、上層部の承認を待つことなく、顧客の期待を超えるサービスをタイムリーに提供することが可能になります。これは、従業員にとって「顧客を幸せにする責任と機能」を与えられたという意識につながり、結果的に従業員満足度を向上させ、より深い顧客との関係を築く土台となります。

5. カスタマーディライトの実現で得られる効果

ここからは、カスタマーディライトを実現させることによって得られる効果を解説します。

顧客ロイヤリティの獲得

カスタマーディライトを実現させることで、顧客ロイヤリティを獲得できます。顧客ロイヤリティとは、商品やサービスに対して大きな信頼を寄せているユーザーのことです。競合との差別化を図り、自社のサービスを「お気に入り」と考えてくれる顧客を増やしていくことが大切です。

リピーターの増加

ブランドロイヤリティを増加させ、リピーターを増やしていくことも大切です。一般的にどの企業も、新規顧客獲得にかかる販促に大きな費用をかけている傾向にあります。しかし、リピーターを増やすことで新規顧客獲得に100%注力する必要はなくなります。より安定的に収益を伸ばしていけるといえるでしょう。

情報の拡散

カスタマーディライトによって顧客の感動を喚起していくことによって、好意的な情報が拡散されていきます。SNSなどによる投稿や口コミによるシェアは、ときに広告よりも大きな宣伝効果を持つことがあるため、積極的にサービスへのファンを増やしていきましょう。
6. カスタマーディライトを実現させるための方法

続いて、カスタマーディライトの実現に向けて行うべき施策を紹介します。

顧客が何を期待しているかを調べる

まずは、サービスや商品に対して顧客が何を求めているのかをリサーチしましょう。求められていることや期待していることを正確に把握しておくことは、サービスの拡充に大きな効果を発揮します。顧客とのコミュニケーションやアンケートなどによって、顧客の声を拾える体制を整えておきましょう。

顧客が期待している以上のサービスを提供する

顧客が持っている期待値に加えて付加価値を提供することで、カスタマーディライトを実現しやすくなります。付加価値の代表例としては、購入後のアフターフォローや問い合わせ対応の品質向上などが挙げられます。上記以外にも、ユーザーコミュニティを充実させる、アクティブサポートを行うといった取り組みを行うといいでしょう。

顧客の声や情報を社内で共有する

顧客の声や情報を社内で共有することで、そのような取り組みを今後行っていくべきかの意識が社内全体で高まる効果があります。そのために、顧客から頂いた喜びの声や成功事例を共有するといいでしょう。そのほか、顧客嗜好のデータ化やサービスのマニュアル化なども有効な方法です。

蓄積された情報から新たなアイデアを導き出す

サービスや商品に対する顧客の声やアンケートを集めていくことは重要な取り組みです。しかし、大切なのはその情報をどのように活かしていくかです。情報を蓄積するだけで終わらせず、情報を活かして顧客の期待を上回るアイデアを常に考える姿勢を持っておくことをおすすめします。

自己裁量によるサービス提供を認める

社内で取り組みを進めるにおいてマニュアル化は大切ですが、マニュアル通りに行かないことも中にはあります。そういった状況下においては、個人の裁量や権限でマニュアル以外のことが行えるようにしておくことも大切です。顧客に対して柔軟に対応していける体制を整えておきましょう。

One to Oneマーケティングを行う

カスタマーディライトの実現のためには、One to Oneマーケティングを行うことも重要です。One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりの購買傾向からニーズを読み取り、パーソナライズ化されたコミュニケーションを行うマーケティング活動のことです。顧客に対して「あなたに向けてこのサービスは提供されています」と伝えることは非常に大切です。
7. カスタマーディライトの実現のために気をつけたいポイント

カスタマーディライトを実現するにあたって、気をつけるべきポイントを理解しておきましょう。

顧客に感動を与えることを常に考える

カスタマーディライトを実現するためには、顧客のことを常に考え続けることが重要です。顧客一人ひとりのことを考え、感動を与えるためには何ができるのか、どのような価値を提供できるのかといった点を常に意識することをおすすめします。

顧客の期待に応えられるサービスを創意工夫する

顧客に提供したい感動を考えた後には、その実現のために創意工夫を凝らしていきましょう。顧客個人の嗜好など情報を十分に吟味した上で、情報のフィードバック方法やプライバシーを侵害しない方法を考えていくことも大切な取り組みです。顧客に不快な思いを与えず、誰にでも喜ばれるサービスを開発していきましょう。

短期間でやめるのではなく継続的に実施する

カスタマーディライト獲得への取り組みは、一朝一夕に効果が得られるものではありません。長期的な視点を持って取り組みを進めていき、効果検証を実施しつつ根気よく続けていくものなのです。短期間では結果が出にくいため、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ改善を図っていきましょう。
8. カスタマーディライトの実現における課題

ここでは、カスタマーディライトの実現における課題を解説します。

個人情報の取り扱い

カスタマーディライトの実現においては、顧客の個人情報の取り扱いに十分な配慮を行いましょう。個人の嗜好を探りすぎることで、その取り組みを不快に感じる顧客が存在する可能性も一定数あります。どこまでプライバシーに深入りできるかは、内容によって注意をする必要があります。顧客に合わせて対応を変えられるように、様々なケースを検討しておきましょう。
9. チャットボットを活用しカスタマーディライトを実現

カスタマーディライトを実現させるためには「顧客とのコミュニケーション」が重要であると、前述にてご紹介させていただきました。昨今の情勢も踏まえて「顧客とのコミュニケーション」を増やす手段の一つとして、チャットボットを活用する企業が増えています。
チャットボットとは、Webサイトやアプリなどに組み込むことで、Web上でユーザーからの質問に24時間365日自動回答を行うツールです。
チャットボットを導入することで、素早い顧客対応ができ、また24時間365日対応が可能となるため、顧客のニーズに合わせたコミュニケーションをとることができます。そういったコミュニケーションを継続的にとることで、カスタマーディライトの実現で得られる効果としても紹介をした、顧客ロイヤリティの獲得やリピーターの増加につなげることが可能となります。

10. カスタマーディライトにおけるDX・データ連携のトレンド

現代におけるカスタマーディライトの実現は、もはや属人的なホスピタリティだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるデータ基盤の整備と高度な分析機能が不可欠です。

顧客データの「サイロ化」解消と360度ビューの作成

顧客が様々なチャネル(Webサイト、電話、SNS、実店舗など)で企業と接点を持つ現代において、チャネルや部門ごとにデータが分断されている状態(サイロ化)では、顧客の全体像を把握できず、一貫した感動的な体験を提供できません。DXを推進し、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)などを活用して、すべての顧客データを統合することが重要です。この統合されたデータ(顧客360度ビュー)を基に、個々の顧客に最適化された行動やメッセージを作成できるようになり、パーソナライズの精度が向上します。

予測分析とプロアクティブなアプローチ

最新のトレンドでは、単に過去の行動を分析するだけでなく、機械学習を用いて顧客の将来的なニーズや潜在的な不満を予測分析することが可能になっています。これにより、顧客が問題を感じる前に、企業側から先回りして解決策や特別なオファーを提案するプロアクティブなサービスが実現します。この「先回りした体験」こそが、現代の顧客が期待する「感動」の新しい考え方であり、ロイヤリティ向上に直結する機能となります。

11. まとめ

この記事では、カスタマーディライトを実現するための方法やメリットなどを紹介しました。カスタマーディライトを実現するためには、チャットボットの導入が非常に有効です。顧客に感動を与えるためのサービス導入を行い、顧客ロイヤリティ・リピーターの増加を目指しましょう。

チャットボットは、24時間365日問い合わせが可能であり、さらに回答のばらつきがない点などから、顧客の満足度を上げることが期待できます。問い合わせ内容から、顧客が求めているサービスのヒントを得ることも期待できます。RICOH Chatbot Serviceは、導入も運用も簡単で、導入時・導入後も専任スタッフによる伴奏支援があるので安心です。チャットボット活用をぜひご検討ください。

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